HIBARIピアノ教室レッスン日記♪

ピアノのレッスン日記、その他ヒバリ先生が見聞きした音楽関係・芸術関係etcの日記。

楽譜を見る人・見ない人

2013年02月19日 | ブルクミュラー
Tちゃん(小5):
ブルクミュラー「スティリエンヌ」、イントロ~Aメロ~Bメロ まで、ゆっくりと弾くことができるようになりました。

ピアノの学習者には 視奏(楽譜を読んで弾くこと)に関して2つのタイプがあります。
それは、
 A.楽譜にきっちり視線を当てて弾くタイプ
 B.手元に視線を当てて弾くタイプ  の二種類です。

みんな、程度の多少はあっても、どちらかのタイプに属し、Aの「楽譜を見ながら」弾くタイプは、楽譜から目を離すのが不安なので手元がヤマカンになり、Bの「手元を見ながら」弾くタイプは、手元から目を離すのが不安なので楽譜がヤマカンになります。
本当は 楽譜を見ながらでも弾けて、そのあと早く暗譜して、複雑なポジションの移動などは 手元を見て弾いたりもできる、というように 両方使い分けることができるのが理想ですが、なかなかそうもいかない。

で、Tちゃんは、小学生には数少ない「A.楽譜を見て弾くタイプ」なのです。
そのおかげで、新曲でも指の間違いなどしないし、先生にとっては 変てこな自己流指使いを直したりしないですむ、手のかからない生徒といえます。
けれどさっき書いたように、反面 手元がヤマカンになるという弱点ももっているわけです。

今回やっている「スティリエンヌ」は、けっこう音の跳躍が多いので、手元を見ないと ジャンプのミスが多くなり、その分弾き方がだんだん弱気になって、速いテンポで弾けないとか 音が恐る恐るになる、などの弊害が表れてくるのです。

慎重に、楽譜を見ながらゆっくりとBメロを弾いたTちゃんに、先生は言いました。
「Tちゃん、ためしに、楽譜見ないで弾いてごらん。手の方みながら・・・その方が弾きやすいと思うよ」
「えー、弾けるかなあ」
と言いながらTちゃんは、思い切って楽譜から目を離し、メロディーや伴奏を思い出しながら弾いてみました。
思った通り、楽譜を見ながら弾いてるより、ずっと上手に、軽やかに弾けた!
「ほらっ、見ない方が簡単でしょ」
「ほんとだ。曲、ちゃんとおぼえてた」
Tちゃんは、信じられない、というようにびっくりしています。
「初めから弾いてごらんよ。楽譜見ないで」
最初から、Tちゃんが自分で曲を思い出しながら弾くと、今まで楽譜を見ていたときには迷っていたところや、ミスタッチしていたところが、魔法のようにアッサリ 軽やかに弾けてしまいました。
「じゃ、その勢いで、最後に残ってるCメロをやってみよう。最初に楽譜をよく頭にいれて・・・さあ、わかったら弾いてみて」
なんと、初めて弾いたCメロも、楽譜を見ないで なんなく弾くことができました。

楽譜をよく見る人は、楽譜に頼りきっていて、自分の頭や手で曲を記憶するんだという気持ちが弱いことがあります。
そこで、ちょっと荒療治に出て、「なるべく楽譜を見ないように」とミッションを与えてみると、これまで意識していなかった 視覚的に鍵盤を記憶することや、耳でメロディーを覚えることや、体でジャンプの加減を覚えることに気が付きます。
Tちゃんも、ほんとはもう耳も体も、曲を覚えていたのに、楽譜にじゃまされて 自分の完成度に気が付いていなかったのです。

で、来週までのTちゃんの宿題は、
「スティリエンヌを暗譜で仕上げてくること」!
がんばれ。



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