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へんたい みやけ さんの仮想世界? 理想郷

「陸王」 池井戸潤

2016-07-30 | 本と雑誌


集英社 590ページ 1700円+税

埼玉県で100年続く老舗足袋業者のこはぜ屋は業績はじり貧で社長 宮沢は常に資金繰りに頭を悩ませていた。宮沢は自社の足袋の製造技術を活かして素足感覚のランニングシューズを開発・販売するという新規事業にとりかかる。数名の社内プロジェクトチームを立ち上げ開発に着手するが、ノウハウ無く、営業網無く、資金も無い。しかし、社内の仲間の熱い心がシューフィッター、陸上選手などの心を動かせて。。。

池井戸潤の「下町ロケット」に代表される企業もの。今回も魅力ある登場人物がたくさんいます。弱者(二十数名の企業)、融資してくれない銀行、社内の経理担当の番頭さんや江戸っ子のおばさんたち、これに巻き込まれていく社外の協力者、一筋縄ではいかない癖の強い特許を持った元経営者、こはぜ屋の前に立ちはだかる大メーカー、社長の息子。
ランニングシューズの市場規模、トップアスリートに使わせてこの宣伝効果で販売を進めるマーケティング。技術面ではソール、アッパーの素材に求められる機能、アスリート単位で、またレースの種類、コースに合わせてのソール作りという物語に臨場感を与える調査をその書き込みも池井戸潤ならでは。そして、登場人物が怒り、笑い、そして泣く。本作も好く泣きますね。これに読者もついつい引っ張られてしまいます。

ものつくりの心を大切にする企業理念、これに加えて経営者とその息子達の人の成長がサブテーマとして 描かれた面白い作品。本作も読み終えて「良かったなぁ」と心暖まります。

陸王 (集英社文芸単行本)
クリエーター情報なし
集英社
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