Heart and Aqua

優しい時間~ゆっくりしていってください。

貧困と飽食と・・・

2008-01-08 | こころ
年末年始のお休みに、録画したままなかなか見ることができなかったドラマなどを
見ることができました。

NHKスペシャルワーキングプアIII ~解決への道~ 「ワーキングプア」
この番組もずいぶん前に放送されたのですが、やっと見ることができました。

これまで、Ⅰ、Ⅱと放送されて、「ワーキングプア」という言葉ももう聴きなれない言葉、
ではなくなったように思います。

「ワーキングプア」とは、正社員並みにフルタイムで働いても、
ギリギリの生活さえ維持が困難、もしくは生活保護の水準以下の収入しか得られない就労者の社会層のことだそうです。



生活保護水準以下で暮らす家庭は、日本の全世帯のおよそ10分の1の
400万世帯とも、それ以上とも言われているのだそうです。

景気が回復したと言われていますが、
原油の高騰でいろんなものがずいぶんと値上がりして
まったく景気が回復したような実感はないなぁという気がします。

都会では“住所不定無職”の若者が急増し、
大学や高校を卒業してもなかなか定職に就けず、
日雇いの仕事で命をつないでいる人は多く、正社員は狭き門で、
3人に1人が非正規雇用で働いているそうです。

派遣社員という言葉ももうずいぶんと定着していますが、
派遣社員になりたくてなっている、という人はほとんどいないのではいないのではないでしょうか。



この番組の中で、30歳過ぎの男性の方が紹介されています。
前回も紹介され、以前は路上生活をしていた彼のその後を追っています。

彼は、以前はコンビニなどのゴミ箱から古本を拾って1日400円くらいで生活していたそうですが、
今は、同じホームレスの仲間に仕事を紹介してもらい、路上清掃の仕事をはじめたということです。

以前は、お風呂も公園などのお手洗いでざっと流す程度、
食事も一日一食だけだったそうですが
今は、ちゃんと銭湯に通い、
食堂で、大盛りのあったかい白いご飯が食べれるようになったということです。
あったかいご飯を食べる様子を見て、なんだかとってもうれしくなりました。

彼が、番組の最後で話した言葉、
『今までは人を信じることができなかったけれど、
今は人を信じることができる』

涙ながらに言葉を詰まらせながら話す彼の姿を見て、
わたしも波が出てしまいました・・

『あなたを必要としている人は必ずいます、だから、がんばってください!』って
エールを送りたい気持ちになりました!



働いても働いても豊かになれない…。どんなに頑張っても報われない…。

そんな風に思っている人は、きっと少なくはないのだと思います。
でも、人は、ただ食べるために働いているわけではなく、
もちろん食べるため、生活するために働いているけれども、
ただそれだけで働いているのだったら、
人はいつか疲れてしまって働けなくなってしまうのではないでしょうか。

『働くということは、人の尊厳にかかわること』、
とナレーターの方が言われましたが、
人は働くことによって、人とのかかわり、人の優しさ、
自分が社会の一員であるという実感、
自分が誰かの役に立っている、誰かに必要とされているという自信や満足感、
それらがあるからこそ、がんばって働くことができるのではないかと思います。。。

働くことの意味は、本当は難しいことではなくって
もっと単純で、もっと純粋なものなのかもしれません。。



そして、この番組を見た後で、たまたま『大食い対決』というような特別番組が放送されていました。
この番組を見て、ワーキングプアの実際とのあまりの落差に憤りを感じずにはいられませんでした。。

こんなに多くの食べ物を食べなければ生きていけない、というわけではないでしょうに・・
豪華な食事、有り余る量の食べ物・・
食べ物を無駄にしているとしか思えなくって。。
これらをもっと何か別なものに有効に使えることはできるのではないでしょうか。。。

貧困と飽食のあまりの格差に、
なんだかなぁ、ほんとうにこれでいいのだろうかと思わずにはいられませんでした。。

なんだか考えてしまう対照的な2つの番組でした。。。
両極端な日本の姿なのかなぁ~って。。。

新年早々・・・、いえ、新年早々だから、考えてね、って
私に見る機会をくれたのかなぁと思いました。。。