カンムリワシ、ワシは名ばかり、言うばかり

20年前探せばカンムリワシがいて、10年前そこにはカラスがいて、いま両方ともいません。よって最近ではそれ以外の話題に。

漢字「手」の読み方

2015年02月12日 09時30分51秒 | 似た言葉

将棋NHK杯の番組解説〔NHKEテレ2015/01/18放送〕で

  • 佐藤:穴熊にすると少し偏ってしまうきらいがあるんですね。
  • 清水:やはり手数(すう)がかかるという・・・・。
  • 佐藤:手数(かず)がかかります。 

「手数」を、聞き手の清水市代女流六段が「てすう」とし、解説の佐藤天彦八段は「てかず」としております。

佐藤(福岡市出身1988- )は遅咲きの有望株で近年、タイトルホルダーに何回も勝っている実力者。

一方、佐藤康光九段という名人位も経験した羽生世代の棋士もいるので、佐藤(天)と佐藤(康)とでも区別しましょうか。

佐藤(天)は2ヶ月後の2015年4月に始まる順位戦からA級八段として戦うことになっており、すでに竜王戦では1組に在籍しその実力を発揮しています。 

広辞苑第六版では 

てすう【手数】(→)「てかず」に同じ。 

てかず【手数】

①それに施すべき手段の数。てすう。
②その物事または他人のために特に力を尽くすこと。
③ボクシングで、パンチを繰り返す回数。 

としております。 


ところで将棋界では、妙なことですが「手」を2通りに読み分けており、

  • ・・・・「先手後手・7手詰・手番」を「せんてごて・ななてづめ・てばん」
  • しゅ・・・・「好手・悪手・妙手」を「こうしゅ・あくしゅ・みょうしゅ」

と読ませています。

正しいかどうかは別問題で、どちらかが正解というものではなさそう。つまり習慣上そうなっている、ということでしょう。

そしてその「習慣上の違い」を、それぞれの人がなんとか理由付けをして「こちらが正しい」と主張して譲りません。これが日本語のおもしろいところでしょうか(笑)。

つまり、元々の和語/外来の漢語のちがいでしょうか。

  • たび(旅)/旅行
  • お造り/刺身
  • やま/山 〔やま登り/登山〕

など無数にみられるようです。 


そういえば英語にも和語と漢語に似た

元々のアングロサクソン語/外来のラテン語系

の違いがあるらしい。

和語と漢字の違いと同様に、微妙に違うと言いたがる人(異なる前例に意味づけをするだけの場合もある)がいますが、大ざっぱに言えば同じ意味なのでしょう。

和語と漢語を使い分けるのと同様に、これらを使い分けることができればいいですね。 

「自由」の意味で

freedom〔フリーダム〕 /liberty〔リバティ〕

「動機」の意味で

motivation〔モチベーション〕/incentive〔インセンティブ〕

最近とみにみられるのが

「モチベーション」で、使う人によっては、何となく品がなさそうな気も・・・・(笑)。

そういえば、「かっこう」を付けたがる人は「モチベーション」「もったいぶる」人は「インセンティブ」と言っているような気がします(笑)。これから注意して聞いてみてくださいね。

疑い深い人のために、辞書にあたっておきましょうか。 

motivation
━ 【名】

  【U】 [具体的には 【C】] 〈…する〉動機(づけ), 刺激, やる気 〈to do〉

incentive
━【名】
 Ⅰ 【U】 [具体的には 【C】]
  1 〔行動などへの〕刺激, 動機 〔to〕(類語 ⇒motive 1)
  2 〈…させる〉誘因 〈to do〉
 Ⅱ 【C】 奨励金; 報奨物.
━ 【形】
 Ⅰ 刺激的な, 鼓舞する.
 Ⅱ 【A】 (能率向上などの)奨励(用)の; 報奨(用)の 

語源 ラテン語「(歌で)励ます」の意

 

New College English-Japanese Dictionary, 6th edition (C) Kenkyusha Ltd. 1967,1994,1998 


将棋を離れて「手」を見ると

手弁当 手書き 手当たり次第 お手洗い 手入れ 

手薄 手品 手習い 手紙 手厳しい 手切れ金

手に汗を握る 手配師 手はず 手前

しゅ

手記 手術 手段 手中 手話 手裏剣 手芸

などがあります。

もしも、どういう日本語や外来語を使うか、によって、その人の素性や人となりを直感できる、とするならば、なかなか興味深いものですね(大笑)。


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