ヨーロッパは、日本から見て遠くに位置していますが、統合の裏に見え隠れする「EU加盟国家の深刻な対立」から、重要な問題点が見えてきて、私たち日本人にも考えさせる何かがあるかも知れません。
ギリシャ財政問題、加盟国のEU離脱問題、域内の各国対立、それに「合法移民問題・不法難民問題」が加わったのでしょうか。
難民問題が浮き彫りにしたEUの無力・不仲・冷酷...加盟国が非難合戦
[ブリュッセル 6日 ロイター] - 欧州は現在、中東やアフリカ、アジアから流入する難民にどう対応するかをめぐり、各国間で深い亀裂を抱えている。難民問題をめぐる各国の不和は欧州連合(EU)の価値を揺るがし、ユーロ圏改革などへの一致団結した行動力も弱める可能性がある。・・・・
難民危機は、約10年前に中東欧10カ国がEUに加盟して以降初めて、東西の亀裂を引き起こした。新たな加盟国のほとんどは、難民受け入れ枠の割り当てに反対しており、一部の国は宗教的な理由をはっきりと掲げている。
一方、オーストリアのファイマン首相は、東側各国が負担を引き受けないのであれば、こうした国への将来的な資金援助もEUは考え直すべきだと反発した。
かつて共産政権による弾圧で大量の難民が西側に逃れたハンガリーとチェコやスロバキアも現在、難民受け入れ枠の設定には強硬に反対している。・・・・
(米シティのアナリスト)フォーダム氏はまた、英国のキャメロン首相が進めるEUとの関係見直し交渉にも、難民問題が影響を与える可能性があると指摘。キャメロン首相は2017年末までにEU離脱の是非を問う国民投票を実施するとしているが、「負担を受け入れなかったと受け止められれば、国民投票を前に(EUから)譲歩を引き出す力をキャメロン首相から一段と奪うかもしれない」と述べた。
そのキャメロン首相は4日、「数千人」のシリア難民を受け入れる方針を示した。トルコ海岸で溺死した幼児の写真が欧州全体で大きな波紋を呼び、難民受け入れに消極的だったキャメロン首相の姿勢を変えた形となった。:Paul Taylor記者 2015年09月07日 19時39分
かつてソ連に属し
ついこの間、ソ連共産党政権の人権無視の弾圧によって、多くの難民を西側へ出してしまった旧東欧諸国がソ連ロシア圏を脱して今ではEUに所属していながら、外国からの難民を受け入れないのはなぜでしょうか。
どんな事情があるにせよ、身勝手だと非難されることでしょう。
またEU離脱をちらつかせていた
イギリスが難民を受け入れないと、「離脱をちらつかせて有利な条件を得るという戦術が使えなくなる」、とは興味ある見方ですね。
とにかく
イスラム教徒の合法移民・不法難民をたくさん受け入れた結果が、ヨーロッパ諸国の治安悪化につながったと仮定するならば、人道上の移民・難民受け入れ理念と、国内の受け入れ態勢との間に、整合性がみられない、と言えます。
もちろんそこには、アメリカの対アフガニスタン・イラク対応の稚拙さが、関係しているでしょうが。
また似た問題があり、有利な条件を引き出そうとして離脱をちらつかせるのが
- EUから離脱しようとする英国
- 英国から離脱しようとするスコットランド
- スコットランドは英国から離脱し単独でEU加盟か
つまり
英国は難民受け入れやEU運営で有利な条件を要求しそれが得られなかったらEUから離脱するぞとし、スコットランドは大幅な自治権などの有利な条件を要求してそれが得られなかったら英国から独立するぞとし
あいかわらず対立が続いています。
どちらに転ぶか分りませんが
キャメロン首相が、英国のEU離脱問題とスコットランド独立問題について、どのような手腕をみせるのか見もの
ということにしておきます。その程度しか分りませんから(笑)。