「小川信治『French Milk Crown,2001』」 ヴァイスフェルト

ヴァイスフェルト港区六本木6-8-14 コンプレックス北館3階)
「小川信治『French Milk Crown,2001』」
1/9-1/27

マックス・ヘッドルーム展(2005年10月開催)では、ダ・ヴィンチの「岩窟の聖母」から聖母を鮮やかに消し去った小川信治が、今回、全く趣の異なった絵画を展開しています。ミルクの滴が落ちる瞬間に出来るミルククラウンを、さながら時間を切り取ったかのようにキャンバスへと写し描いていました。それが展示室をグルリと一周、取り囲むように配されています。



どれもほぼ同じ形態のミルククラウンが描かれていますが、良く目を凝らして一枚ずつ拝見すると、王冠の先端の部分に一つだけ、極小の白いビーズのようなミルクの粒が飛び出していることが分かります。それが展示順に、あたかも王冠の上を回転するかのように描かれているのです。その存在が、個々のミルククラウンに異なった表情を与え、絵画全体に流れや動きをもたらしていました。飛び回るように跳ねるミルクの粒を追って見ることに、何やら喜びすら感じさせてしまうような作品です。

ミルククラウンはまさにミルク色の柔らかな温もりに包まれていますが、またすぐに消えてしまうような儚さをも表現しています。王冠の一つ一つは、それが出来た瞬間だけに残る僅かな記憶です。まるで彫像を象ったかのような質感(液体のミルクが迸っているというよりも、もっと粘性の帯びたような感触が感じられます。)と、丁寧に施された陰影、そして宙を凛と舞う粒が静かに佇んでいました。

小川に、古典絵画をモチーフとした「WITHOUT YOU」のイメージがあった私にとっては、少々面食らってしまう展示でもありました。今月27日までの開催です。(1/17鑑賞)

*関連エントリ
「マックス・ヘッドルーム -頭上注意の絵画- 」 ヴァイスフェルト 10/27

*関連リンク
小川信治展(国立国際美術館・大阪) 2006/9/30-12/24
コメント ( 2 ) | Trackback ( 0 )
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コメント
 
 
 
まるで (Tak)
2007-01-27 12:00:13
生き物のようにも観えました。
ミルククラウンにぐるりと
囲まれたあの空間自体も良かったです。
 
 
 
Unknown (はろるど)
2007-01-27 22:44:50
Takさんこんばんは。
コメントとTBをありがとうございます。

>ミルククラウンにぐるり

そうですね。順に王冠を追うような形で見るのが面白かったです。
ヴァイスフェルトの展示は毎回目が離せませんね!
 
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