香月泰男 「水鏡」 東京国立近代美術館

東京国立近代美術館
常設展示
「香月泰男 - 水鏡 - 」(1942)



特に好きだというわけではないのですが、見れば見るほど、脳裏に焼き付くように印象深くなる作品です。この少年(?)の覗き込む水槽の中には、一体、何が潜んでいるのでしょうか。今、東京国立近代美術館の常設展示に出品されている、香月泰男(1911-1974)の「水鏡」(1942)です。

香月泰男は、この作品を制作した年にいわゆる満州へと出征しました。そして終戦を奉天(現在の瀋陽)で迎え、その後、シベリアにて2年間にも及ぶ過酷な抑留生活を送ります。(その時の体験を絵画表現へと転化したのが、彼の代表作として名高い「シベリア・シリーズ」です。)この作品には、そんな香月の悲惨な戦争体験を予感させる、半ば不安と恐怖が包み隠されているように見えました。胸に強くのしかかるような重々しさを感じます。

「水鏡」と題されていますが、その水面には、覗き込む彼の顔を殆ど確認することが出来ません。また水槽左上には、まるで得体の知れない生き物のようなツタが、乾涸びて群がりながら水面を浸食していました。そして水の深み。まるで底なし沼のようです。手をつけたら引きずりこまれてしまうかのように、ぽっかりと口を開けています。

香月泰男については、郷土の山口県長門市にある「香月泰男美術館」のWebサイトが詳しいようです。また2004年には、現在長期休館中の東京ステーションギャラリーでも回顧展が開催されました。是非一度まとめて拝見してみたいです。
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