「奈良原一高 作品展 消滅した時間」 FUJIFILM SQUARE

FUJIFILM SQUARE
「奈良原一高 作品展 消滅した時間」
第1部:6/1~7/31、第2部:8/1~9/30



FUJIFILM SQUAREで開催中の「奈良原一高 作品展 消滅した時間」を見てきました。

1931年に福岡に生まれた写真家、奈良原一高。表題の「消滅した時間」は、1975年に出版した写真集の名に由来します。

舞台はアメリカです。1970年から出版の前年にかけて撮影されました。その写真集を展示では分岐点に設定。初期、1950年代から1974年までを第1部、そして後から近年へ至る作品を第2部に分けて紹介しています。

冒頭、「人間の土地」からして迫力がありました。こちらを見やる一人の鉱夫。おそらくは軍艦島の作業員です。やせ細っていて肋骨が浮き出ています。それでいて表情はやや虚ろです。とは言え、目はクワッと見開いています。強い実在感。汗の臭いも伝わるかのようです。さらに軍艦島そのものを斜めから写した作品も面白い。まさしく荒波を突き進む軍艦のようにも見えます。


「色」 <ジャパネスクより> 1968年

一転して鮮やかな色彩が目に飛び込んできました。「ジャパネスク」です。奈良原は1962年に渡欧。フランスからイタリア、スペインを旅しては写真を撮り続けます。写真集の表紙を飾った作品でしょうか。座るのは裸の女性です。下半身のみしか伺えません。その上を赤いドレスが逆さに広がっています。大きな花が咲いているようでした。

「消滅した時間」によって奈良原は国際的な評価を得ることが出来たそうです。疾走する車のシルエット。砂漠です。空は広い。車の影は光に溶けています。この世から消えていく姿のようにも映ります。


「アメリカ・インディアン村の二つのゴミ缶」 <消滅した時間>より 1972年

「アメリカ・インディアン村の二つのゴミ缶」も有名な一枚ではないでしょうか。もちろんオリジナルのプリントです。例のゴミ缶が宙で浮いているように見えます。さらに彼方には白い雲が浮かびます。まるで綿あめです。空に引き裂かれたように散っていました。

会場はミッドタウン内のFUJIFILM SQUARE。ショウルームの一角での展示です。作品数も10数点ほどに過ぎません。六本木界隈の美術館へお出かけの際に立ち寄っても良いのではないでしょうか。

なお会期は先にも触れたように2期制です。第1部と第2部で全ての作品が入れ替わります。

第1部:「近くて遥かな旅 1954〜1974」 6月1日(水)~7月31日(日)
第2部:「眺めの彼方 1970〜2002」 8月1日(月)~9月30日(金)

奈良原は2002年から病床についているそうです。今年4月には文集の「太陽の肖像」を出版しました。そちらも一度あたってみたいと思います。

「太陽の肖像/奈良原一高/白水社」

第1部は7月31日まで開催されています。

「奈良原一高 作品展 消滅した時間」 FUJIFILM SQUARE
会期:第1部 6月1日(水)~7月31日(日)、第2部 8月1日(月)~9月30日(金)
休館:会期中無休
時間:10:00~19:00 *入場は閉館の10分前まで
料金:無料
住所:港区赤坂9-7-3 東京ミッドタウン・ウエスト1階
交通:東京メトロ日比谷線六本木駅4a出口より徒歩5分。 都営大江戸線六本木駅8番出口より直結。 東京メトロ千代田線乃木坂駅3番出口より徒歩5分。
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