「トーキョーワンダーウォール公募2009入選作品展」 東京都現代美術館

東京都現代美術館江東区三好4-1-1
「トーキョーワンダーウォール公募2009入選作品展」
6/6-28



35歳以下の若手美術作家による公募展、トーキョーワンダーウォールの本年の入選者、計113名の作品を一堂に紹介します。東京都現代美術館で開催中の「トーキョーワンダーウォール公募2009入選作品展」へ行ってきました。

まず本年の入賞者、及び作品画像は下記リンク先をご覧下さい。(東京都HP)

入賞者一覧(入賞者コメント)/入賞作品画像

時間の都合でじっくり見ることは叶いませんでしたが、以下、受賞の有無をとわず、私が印象に残った作品を挙げてみます。メモ程度になりますが、ご参考いただければ幸いです。

高松明日香「フォレスト」(画用紙、アクリル、木製パネル)
アクリルを用いながらも比較的マットな色彩にて、池越しの森の景色を断片的なイメージとして描く。木漏れ日の差し込む白の色遣いが美しかった。

岩竹理恵「Liriodendron tulipifera L,#1」(紙、インク)
葉を落として、どこか健気に佇む木の幹と枝を、精緻なペンにて表す。下から見上げたような独特な遠近感が効果的。背景の白い画面はまるで冬の空のようだった。

大村芳輝「last dance」(木材、布、ペンキ、アクリル)
暗がりに浮かぶ人物像。骨までが透き通って見える不気味さがむしろ面白い。

箕輪千絵子「触れた瞬間に」(銅版画)
人が獣と向き合い、いつしか手を取り合って一体となるような幻想的なモチーフ。銅版の細やかな質感表現が素晴らしい。

平川ヒロ「square cotton」(oil on cotton)*大賞*
部屋の角にチェーン状のレースがかかるような不思議な景色が描かれている。薄緑色の透明感のある色彩と、まるで飴細工のようなレースの描写が美しい。

大石麻央「ひとつぶの神様」(綿、羊毛、はりがね、鉛など)
壁の片隅にて後ろを向いて立つ全身毛むくじゃらの人形。兎の被り物でもしているのだろうか。薄気味悪く笑うような仕草に後ろ髪を引かれた。

冨士洋子「パニック」(油彩)
一見、カラフルな幾何学模様の並ぶ抽象画のようにも思えるが、タイトルを眺めて改めて絵に目を向けると、全く違う景色が広がってきた。そのイメージの差異が少し面白い。

寺嶋悟「モンスター」(木パネル、アクリル)
真夜中の草地に突然に停まる一台の車。ボンネットの上には素足の女性の半身だけがうつり、車の前には懐中電灯を持った男が一人、大きな目でこちらをじろりと見ながら立っている。二人の関係はどのようなものなのか。背景に何故か見える牛をはじめ、若干デルヴォーを連想させるシュールな夜の景色が好印象だった。

磯貝知哉「MOROZOFF」(キャンバスに油彩)
積み重なる三つのガラスのコップだけが描かれている。うっすらと肌色を帯びたその姿は、モランディ絵画のように静謐だった。

MASAKO「24/7」(アクリル、水性ペンキ)
ギャラリーショウでも鮮烈な印象を受けたMASAKOの一枚。黒をバックに、お馴染みの流れるような激しいタッチで人物を象る。家族が談笑する様は、昔見た映画のワンシーンのように懐かしかった。

脇田桃子「帰路で動揺を堪える」(キャンバスにアクリル)
風を切るような線が束になって大きな人影を描く。その躍動感は圧倒的。

失礼ながらも、惹かれる作品とそうでないものとの差が大きく、見ているうちに若干の戸惑いを覚えたのは事実でしたが、これから世へ飛び出さんとする若いアーティストたちの「今」を見られる展覧会ではなかったでしょうか。

28日までの開催です。なお入場は無料です。
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