都内近郊の美術館や博物館を巡り歩く週末。展覧会の感想などを書いています。
はろるど
「博物館でお花見を」 東京国立博物館
東京国立博物館
「博物館でお花見を」
3/14~4/9
お花見の季節がやって来ました。東京国立博物館で開催中の「博物館でお花見を」を見てきました。
春の恒例のお花見企画です。本館常設展において、桜に因んだ様々な作品が展示されています。
狩野長信「花下遊楽図屏風」 江戸時代・17世紀
まずは国宝室。狩野長信の「花下遊楽図屏風」でした。右隻が満開の八重桜です。人々が宴会に興じています。樹木に比べて人の姿が大きいのも特徴です。のちの寛永の風俗画に受け継がれたと指摘されています。中央が欠落していました。何でも大正時代の修理の最中に、関東大震災によって焼失してしまったそうです。左隻は海棠です。お堂の下の踊りを見物しています。艶やかな着物も目を引きました。
尾形乾山「桜に春草図」 江戸時代・18世紀
乾山に優品がありました。「桜に春草図」です。丸みを帯びた桜や草花はいかにも乾山風。ツクシやタンポポを描いています。桜の花びらがまるで紫陽花のように広がっているのも面白いところです。和歌を記した書も実に流麗でした。
木島桜谷「朧月桜花」 昭和時代・20世紀
木島桜谷の「朧月桜花」も魅惑的ではないでしょうか。薄い墨による夜の景色です。満月が桜の木の向こうにぼんやりと浮かんでいます。幹はシルエット状に浮かぶ一方で、花や葉の姿は幾分に写実的です。幻想的な世界が広がっていました。
飯島光峨「花下躍鯉」 明治7(1874)年
鯉が桜に向かってジャンプしていました。飯島光峨の「花下躍鯉」です。視点は2つ。月は下から眺めているのに対し、鯉は上からの視点で捉えています。桜花はリアルです。薄いピンク色を帯びています。
仁阿弥道八「色絵桜楓文木瓜形鉢」 江戸時代・19世紀
工芸にも注目です。一際、鮮やかであるのが、仁阿弥道八の「色絵桜楓文木瓜形鉢」でした。内は紅葉、外側が桜です。器の両面で春と秋の2つの季節を表現しています。
「色絵桜花鷲文大皿」 江戸時代・18世紀
「色絵桜花鷲文大皿」も桜が主役です。伊万里の金欄手です。見るも華やかです。染付に色絵を施しては細かな意匠を展開しています。
「小袖(紅綸子地八重桜土筆蒲公英燕模様)」 江戸時代・19世紀
小袖でも桜の模様は好まれました。地は朱色です。刺繍で花を象っています。タンポポも咲き、空にはツバメも飛んでいました。江戸時代には宮中の女性も普段着に小袖を着用するようになったそうです。春を迎えては着飾ったのかもしれません。
「不動明王立像」 平安時代・11世紀
「不動明王立像」も桜に因んだ作品です。両目を剥いては険しい表情をしています。直立不動で堂々としています。しかし何故に桜なのでしょうか。直接には見当たりません。答えは素材でした。つまりサクラの木で出来ているわけです。
西垣勘平「流水に桜透鐔」 江戸時代・17世紀
ほか小品ながらも「流水に桜透鐔」なども桜のモチーフです。本館をぐるりと一周、桜を探し歩いては楽しみました。
恒例の「さくらスタンプラリー」が開催中です。館内の5つのスポットでスタンプを押すと、オリジナルの缶バッジがプレゼントされます。
春の庭園開放も始まりました。本館裏手の庭園には「さくらカフェ」もオープン。コーヒーを片手に桜を愛でることも出来ます。また3月31日(金)、4月1日(土)、7日(金)、8日(土)は夜7時半までライトアップも行われます。
私が出かけた際はまだ花を開いていませんでしたが、既に東京でも桜の開花が発表されました。見頃は来週の半ば以降でしょうか。月末には満開を迎えるかもしれません。
東博はお花見シーズンもさほど混みません。上野の穴場的なスポットでもあります。
4月9日まで開催されています。
「博物館でお花見を」 東京国立博物館(@TNM_PR)
会期:3月14日(火)~4月9日(日)
休館:3月21日(火)。
料金:一般620円(520円)、大学生410円(310円)、高校生以下無料。
* ( )内は20名以上の団体料金。
時間:9:30~17:00
*毎週金・土曜日は20時まで開館。
*4月2日(日)、4月9日(日)は18時まで開館。
*入館は閉館の30分前まで
住所:台東区上野公園13-9
交通:JR上野駅公園口より徒歩10分。東京メトロ銀座線・日比谷線上野駅、京成電鉄上野駅より徒歩15分。
「博物館でお花見を」
3/14~4/9
お花見の季節がやって来ました。東京国立博物館で開催中の「博物館でお花見を」を見てきました。
春の恒例のお花見企画です。本館常設展において、桜に因んだ様々な作品が展示されています。
狩野長信「花下遊楽図屏風」 江戸時代・17世紀
まずは国宝室。狩野長信の「花下遊楽図屏風」でした。右隻が満開の八重桜です。人々が宴会に興じています。樹木に比べて人の姿が大きいのも特徴です。のちの寛永の風俗画に受け継がれたと指摘されています。中央が欠落していました。何でも大正時代の修理の最中に、関東大震災によって焼失してしまったそうです。左隻は海棠です。お堂の下の踊りを見物しています。艶やかな着物も目を引きました。
尾形乾山「桜に春草図」 江戸時代・18世紀
乾山に優品がありました。「桜に春草図」です。丸みを帯びた桜や草花はいかにも乾山風。ツクシやタンポポを描いています。桜の花びらがまるで紫陽花のように広がっているのも面白いところです。和歌を記した書も実に流麗でした。
木島桜谷「朧月桜花」 昭和時代・20世紀
木島桜谷の「朧月桜花」も魅惑的ではないでしょうか。薄い墨による夜の景色です。満月が桜の木の向こうにぼんやりと浮かんでいます。幹はシルエット状に浮かぶ一方で、花や葉の姿は幾分に写実的です。幻想的な世界が広がっていました。
飯島光峨「花下躍鯉」 明治7(1874)年
鯉が桜に向かってジャンプしていました。飯島光峨の「花下躍鯉」です。視点は2つ。月は下から眺めているのに対し、鯉は上からの視点で捉えています。桜花はリアルです。薄いピンク色を帯びています。
仁阿弥道八「色絵桜楓文木瓜形鉢」 江戸時代・19世紀
工芸にも注目です。一際、鮮やかであるのが、仁阿弥道八の「色絵桜楓文木瓜形鉢」でした。内は紅葉、外側が桜です。器の両面で春と秋の2つの季節を表現しています。
「色絵桜花鷲文大皿」 江戸時代・18世紀
「色絵桜花鷲文大皿」も桜が主役です。伊万里の金欄手です。見るも華やかです。染付に色絵を施しては細かな意匠を展開しています。
「小袖(紅綸子地八重桜土筆蒲公英燕模様)」 江戸時代・19世紀
小袖でも桜の模様は好まれました。地は朱色です。刺繍で花を象っています。タンポポも咲き、空にはツバメも飛んでいました。江戸時代には宮中の女性も普段着に小袖を着用するようになったそうです。春を迎えては着飾ったのかもしれません。
「不動明王立像」 平安時代・11世紀
「不動明王立像」も桜に因んだ作品です。両目を剥いては険しい表情をしています。直立不動で堂々としています。しかし何故に桜なのでしょうか。直接には見当たりません。答えは素材でした。つまりサクラの木で出来ているわけです。
西垣勘平「流水に桜透鐔」 江戸時代・17世紀
ほか小品ながらも「流水に桜透鐔」なども桜のモチーフです。本館をぐるりと一周、桜を探し歩いては楽しみました。
恒例の「さくらスタンプラリー」が開催中です。館内の5つのスポットでスタンプを押すと、オリジナルの缶バッジがプレゼントされます。
春の庭園開放も始まりました。本館裏手の庭園には「さくらカフェ」もオープン。コーヒーを片手に桜を愛でることも出来ます。また3月31日(金)、4月1日(土)、7日(金)、8日(土)は夜7時半までライトアップも行われます。
私が出かけた際はまだ花を開いていませんでしたが、既に東京でも桜の開花が発表されました。見頃は来週の半ば以降でしょうか。月末には満開を迎えるかもしれません。
東博はお花見シーズンもさほど混みません。上野の穴場的なスポットでもあります。
【花見で一句】桜咲く庭園や桜をモチーフにした作品をテーマに一句詠んでみませんか? 「博物館でお花見を」期間中毎日、構内の投句ポストで受付中。投句ポストは、本館エントランス、本館ラウンジ、平成館エントランス、庭園応挙館前に設置しています。 pic.twitter.com/x48CQLmKTZ
— トーハク広報室 (@TNM_PR) 2017年3月18日
4月9日まで開催されています。
「博物館でお花見を」 東京国立博物館(@TNM_PR)
会期:3月14日(火)~4月9日(日)
休館:3月21日(火)。
料金:一般620円(520円)、大学生410円(310円)、高校生以下無料。
* ( )内は20名以上の団体料金。
時間:9:30~17:00
*毎週金・土曜日は20時まで開館。
*4月2日(日)、4月9日(日)は18時まで開館。
*入館は閉館の30分前まで
住所:台東区上野公園13-9
交通:JR上野駅公園口より徒歩10分。東京メトロ銀座線・日比谷線上野駅、京成電鉄上野駅より徒歩15分。
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