「宮本佳美 Canon」 イムラアートギャラリー東京

イムラアートギャラリー東京
「宮本佳美 Canon」
2/27-3/23



イムラアートギャラリー東京で開催中の宮本佳美個展、「Canon」を見て来ました。

モノクロームの空間に溶けては乱れ咲く花の世界。

1981年に福岡で生まれた宮本佳美は、2008年に京都市立芸術大学大学院の美術研究科絵画専攻を修了。在学中より主に関西の画廊で個展を開催。2012年にはVOCA展にも参加しました。

東京では初めての個展だそうです。展示されているのはほぼ花を捉えたモノクロの絵画。大作が目立ちます。一部人物をモチーフとしたものもありました。

さてその作品、まず印象深いのは花の描写がどこか幻想的でもあること。と言うのも確かに一見して花であることはすぐ分かりますが、例えば花弁に茎、さらには棘でしょうか、それらが空間の前後を行き来するかのように描かれている。動的と言って良いかもしれません。近い距離で見ているのか、そうでないのか。時に歪んだ空間。そもそも花はどこから捉えられたのか。半ばシュールでもあります。


「poppy」2013年 水彩、アクリル、綿布

また花の命というべき色をあえて除いてのモノクロの世界。光の陰影が非常に際立ちます。明るい白は眩しいほどの光を放つ。黒の色調も深みがあり、また多様。瑞々しさも感じられます。

何でもこれらは特殊な溶液に浸し、水分を抜いて長期に保存するために作られた花、つまりプリザーブドフラワーを描いているのだそうです。溶液に浸した花を下から見上げた作品もある。先にも触れた歪んだ空間とは、液体を通して揺らぐ花の姿だったのかもしれません。


「silent」2013年 水彩、アクリル、綿布

花に混じっての唯一のポートレートも目を引きます。横顔の女性。こちらは特定のモデルを描いたのではなく、ネット上から収集した画像なのだそうです。宮本は以下のように述べています。

「プリザーブドフラワーは(略)、いわば死んだ花。女はまた、情報としては既に死んでいるネットに残された残像。」(会場内リリースより)

ともに共通する何とも言い難い儚さ。花と同様に幻影を見ている。そんな感覚も受けました。

なお作家は本年度の「第25回五島記念文化賞美術新人賞」に選出されました。

「平成26年度(第25回)五島記念文化賞・公演助成決定」@五島記念文化財団

3月23日まで開催されています。

「宮本佳美 Canon」 イムラアートギャラリー東京(@imuraartgallery
会期:2月27日(木)~3月23日(日)
休館:月・火・祝祭日
時間:12:00~19:00
住所:千代田区外神田6-11-14 アーツ千代田3331 206
交通:東京メトロ銀座線末広町駅4番出口より徒歩2分、東京メトロ千代田線湯島駅6番出口より徒歩4分、都営大江戸線上野御徒町駅A1番出口より徒歩8分、JR御徒町駅南口より徒歩8分。
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