「写真はものの見方をどのように変えてきたか 第4部 -混沌- 」 東京都写真美術館 10/29

東京都写真美術館(目黒区三田)
「写真はものの見方をどのように変えてきたか 第4部 -混沌- 」
9/17~11/6

東京都写真美術館による「写真はものの見方をどのように変えてきた」シリーズの第4部「混沌」。この企画もついに最終回を迎えました。

今回は、日米欧における、1970年代以降の写真表現を追っかけます。会場には、いくつかのテーマに分かれた、それぞれに代表的な写真家の作品が並びますが、当然の如く、その表現の方向性は多種多様です。一連のこのシリーズ企画の中では、最もまとまりのない展示。これこそ「混沌」です。芸術としての地位を確立した写真。それへの安住の危うさも抱えながら、写真は世界や人間を、まさに体内の毛細血管のように覆い尽くして、「第三の目」を通り越した表現を追求します。

展示作品は、主に70年代以降のものですが、既に過去となってしまったその時代の潮流を、色濃く反映するものも目立ちました。80年代のアメリカで「ヤッピー」と呼ばれた新たな富裕層の出現は、写真へも新たな風をもたらします。HIV患者を写した作品のように、タイムリーな問題提起を行うものから、自身をスターのようにして写したポートレートまで、「写真はどこへいくのか。」という問いすら無駄に感じてしまうほど、雑多に表現が広がります。

会場で最も印象に残ったのは、日本人写真家のコーナーです。森山大道の「猪豚」(1975年)と、荒木経惟「写真論」(1988-1989年)の猫。森山ファン(?)の私としては、ここは「猪豚」を推したい所ですが、荒木の猫も、何気ない前足の仕草を捉えた様が非常に魅力的で、深く心に残ります。撮られることが嫌とでも言いたそうな、ややふてくされた猫の表情は、荒木だからこそ引き出されたものなのでしょうか。

他には、どの展覧会にあっても非常に目立ち、すぐに視界へ飛び込んで来る森山泰昌の作品や、今、森美術館で個展を開催中の杉本博司の劇場シリーズの一点、それにオノデラユキの古着を写した作品などが印象に残りました。

4月から毎回楽しみにして見続けた、この展覧会シリーズが終了してしまうことは、とても名残惜しいのですが、まずは、切り口鋭くコレクションを見せてくれた東京都写真美術館に大いに感謝したいと思います。来月6日までの開催です。
コメント ( 2 ) | Trackback ( 0 )
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コメント
 
 
 
こんばんは! (Honey)
2005-11-06 22:04:45
やっと行ってまいりました。



そして、そして、

友の会会員にもなりました

大変お得ですし、これからは小冊子を見て、獲物を逃さないようにします!



ご紹介、ありがとうございました。

 
 
 
Re.こんばんは! (はろるど)
2005-11-07 22:32:32
Honeyさん、こんばんは。

お出向きになられましたか!



>友の会会員にもなりました



なんと!会員になると何か特典があるのでしょうか。

ノーチェックでした…。



>大変お得ですし、これからは小冊子を見て、獲物を逃さないようにします!



写真美術館は、なかなか見せてくれる展覧会ばかりですし、

毎回の企画展に足を運びたいですよね。



>ご紹介、ありがとうございました。



いえいえ、とんでもありません。

私の拙い記事が少しでもお役に立てれば、

とても嬉しいです。
 
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