「水野里奈 思わず、たち止まざるをえない。」 ポーラミュージアムアネックス

ポーラミュージアムアネックス
「水野里奈 思わず、たち止まざるをえない。」
2019/7/12〜7/28



ポーラミュージアムアネックスで開催中の「水野里奈 思わず、たち止まざるをえない。」を見てきました。

1989年に愛知県で生まれた水野里奈は、国内の個展やグループ展で作品を発表し、2015年のVOCA展では奨励賞を受賞するなどして活動してきました。


「青い宮殿」 2019年

壁一面に広がる一枚の大きな絵画に目を奪われました。それが「青い宮殿」と題した作品で、水墨によってトグロを巻く雲のようなモチーフを背景に、草花や山水、ないしソファーといった家具や、壺らしき装飾品の置かれた室内空間などが、極めて鮮やかな色彩によって描かれていました。また背景の水墨は、壁へ直に描かれていて、キャンバスの部分と半ば一体化していました。


「青い宮殿」 2019年

ともかくあまりにも大きな作品ゆえに、全体を一目で捉えるのも難しいほどでしたが、まるで万華鏡の中を覗き込むかのような華やかな色彩と、具象的でありながら強い装飾性を伴っているのが印象に残りました。


「青い宮殿」 2019年

水野は絵画において、「中東の細密画の装飾性・伊藤若冲の水墨画における筆致の要素・キャンバス地」(*)の3点を重視し、画面空間をまさに「レイヤーに置き換えて」(*)表現しているそうです。確かに水墨の力強い筆触は、若冲、ないし蕭白画を連想させる面もあるのではないでしょうか。また一部に、若冲の花鳥画における羽のような表現も見ることが出来ました。*ともに解説より


「青い宮殿」 2019年

大胆でかつ緻密さを兼ね備えた絵画は、まさに「思わず、立ち止まざるをえない。」と言えるのかもしれません。全体を引きで何とか捉えつつも、近づいては複雑に絡み合う緻密なモチーフに見入りました。


「細密ドローイング」 2019年

なおこれらの油彩とは一転し、「細密ドローイング」と題した小品の連作にも魅せられました。ここでは草花や装飾物などをボールペンで表現していて、線は細く、素早く引かれていて、さも画面全体へ散るような動きも感じられました。

また先の絵画同様、壁にも線や草花のモチーフが断片的に描かれていました。やはりドローイングでもレイヤー状の構成を重視しているのかもしれません。


「SCENT」 2016年

会場でもタブレットで紹介されていましたが、「青い宮殿」の背景の制作風景を捉えたダイジェスト映像も興味深いものがありました。


7月28日まで開催されています。

「水野里奈 思わず、たち止まざるをえない。」 ポーラミュージアムアネックス@POLA_ANNEX
会期:2019年7月12日(金)〜7月28日(日)
休館:会期中無休
料金:無料
時間:11:00~20:00 *入場は閉館の30分前まで
住所:中央区銀座1-7-7 ポーラ銀座ビル3階
交通:東京メトロ有楽町線銀座1丁目駅7番出口よりすぐ。JR有楽町駅京橋口より徒歩5分。
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )
« 「メスキータ... 「中山英之展 ... »
 
コメント
 
コメントはありません。
コメントを投稿する
ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません
 
名前
タイトル
URL
コメント
コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。