都内近郊の美術館や博物館を巡り歩く週末。展覧会の感想などを書いています。
はろるど
2018年9月に見たい展覧会〜小原古邨・ボナール・渡邊省亭〜
暑かった夏も終わりに近づき、空は秋の気配を見せています。8月中は展覧会こそ見て回れたものの、少し時間に追われていて、ブログへスムーズにアウトプット出来ませんでした。更新も滞りました。
そのような中、知られざる木版画家の魅力を伝えていた「木版画の神様 平塚運一展」(千葉市美術館)や、琉球に花開いた芸術に感銘させられた「琉球 美の宝庫」(サントリー美術館)、さらに幕末明治の浮世絵師、月岡芳年の作品が一堂に会した「芳年—激動の時代を生きた鬼才浮世絵師」(練馬区立美術館)などが印象に残りました。
さて9月です。まさに芸術の秋到来と言ったところかもしれません。多くの展覧会がスタートします。今月に見たい展覧会をリストアップしてみました。
展覧会
・「杉浦邦恵 うつくしい実験」 東京都写真美術館(~9/24)
・「涯(ハ)テノ詩聲(ウタゴエ) 詩人 吉増剛造展」 渋谷区立松濤美術館(~9/24)
・「内藤 礼―明るい地上には あなたの姿が見える」 水戸芸術館(~10/8)
・「没後50年 藤田嗣治展」 東京都美術館(~10/8)
・「禅僧の交流 墨蹟と水墨画を楽しむ」 根津美術館(9/1~10/8)
・「AUDIO ARCHITECTURE:音のアーキテクチャ展」 21_21 DESIGN SIGHT(~10/14)
・「横山操展 ~アトリエより~」 三鷹市美術ギャラリー(~10/14)
・「マジック・ランタン 光と影の映像史」 東京都写真美術館(~10/14)
・「いわさきちひろ生誕100年 Life展 あそぶ plaplax」 ちひろ美術館・東京(~10/28)
・「没後160年記念 歌川広重」 太田記念美術館(9/1~10/28)
・「キリシタン―日本とキリスト教の469年―」 國學院大學博物館(9/15~10/28)
・「狩野芳崖と四天王」 泉屋博古館分館(9/15~10/28)
・「仙がい礼讃」 出光美術館(9/15~10/28)
・「原安三郎コレクション 小原古邨展—花と鳥のエデン—」 茅ヶ崎市美術館(9/9~11/4)
・「阿部展也ーあくなき越境者」 埼玉県立近代美術館(9/15〜11/4)
・「モダンアート再訪 ダリ、ウォーホルから草間彌生まで 福岡市美術館コレクション」 横須賀美術館(9/15~11/4)
・「日本画の挑戦者たち—大観、春草、古径、御舟—」 山種美術館(9/15~11/11)
・「1968年 激動の時代の芸術」 千葉市美術館(9/19~11/11)
・「京都・醍醐寺—真言密教の宇宙—」 サントリー美術館(9/19~11/11)
・「横山華山」 東京ステーションギャラリー(9/22~11/11)
・「ヨルク・シュマイサー 終わりなき旅」 町田市立国際版画美術館(9/15~11/18)
・「白磁」 日本民藝館(9/11~11/23)
・「仏像の姿~微笑む・飾る・踊る~」 三井記念美術館(9/15~11/25)
・「アルヴァ・アアルト もうひとつの自然」 神奈川県立近代美術館葉山(9/15~11/25)
・「超えてゆく風景」 ワタリウム美術館(9/1~12/2)
・「オルセー美術館特別企画 ピエール・ボナール展」 国立新美術館(9/26~12/17)
・「リー・キット展」 原美術館(9/16~12/24)
・「カール・ラーションスウェーデンの暮らしを芸術に変えた画家」 東郷青児記念損保ジャパン日本興亜美術館(9/22~12/24)
ギャラリー
・「宮本佳美 消滅からの形成」 ポーラ ミュージアム アネックス(9/7~9/24)
・「竹中大工道具館企画展 南の島の家づくり-東南アジアとうしょ島嶼部の建築と生活」 ギャラリーA4(~9/28)
・「Yesterdays 黒と白の狂詩曲 立木義浩写真展」 CHANEL NEXUS HALL(9/1~9/29)
・「SEITEIリターンズ!!~渡邊省亭展」 加島美術(9/15〜9/29)
・「good design company 1998-2018」 クリエイションギャラリーG8(9/12~10/18)
・「横尾忠則 幻花幻想幻画譚 1974-1975」 ギンザ・グラフィック・ギャラリー(9/5~10/20)
・「絵と、 vol.2 村瀬恭子」 ギャラリーαM(~10/27)
・「海を渡ったニッポンの家具—豪華絢爛仰天手仕事」 LIXILギャラリー(9/6~11/24)
・「眠らない手 エルメスのアーティスト・レジデンシー展」 メゾンエルメス(9/13~1/13)
チラシからして目を引くのではないでしょうか。茅ヶ崎市美術館にて、版画家、小原古邨の展覧会が開催されます。
「原安三郎コレクション 小原古邨展—花と鳥のエデン—」@茅ヶ崎市美術館(9/9~11/4)
明治10年に生まれた小原古邨は、当初、日本画家として活動したものの、のちに木版画を手がけると、「TIMES」誌に掲載されるなどして、主に欧米で人気を集めてきました。
その反面、日本では必ずしも良く知られておらず、同じく新版画の川瀬巴水らと比べると、評価が定まっているとは言えません。
浮世絵のコレクターとして知られた、実業家、原安三郎の旧蔵品による、国内最大級の小原古邨展です。出展数も230点に及びますが、前後期(前期:9/9〜10/8、後期:10/11〜11/4)で全ての作品が入れ替わります。まずは前期を見てくるつもりです。
実のところ、今年に開催される西洋美術展の中で、一番楽しみにしていました。フランスのナビ派の画家、ピエール・ボナールの回顧展が、国立新美術館ではじまります。
「オルセー美術館特別企画 ピエール・ボナール展」@国立新美術館(9/26~12/17)
ボナールは、何も見る機会が少ないわけではなく、国立西洋美術館でも何点か常に公開されているほか、過去に国内で行われたナビ派関連の展示でも、複数の作品が出展されました。
しかし今回ほどの大規模な回顧展は久しぶりです。油彩、素描、版画に挿絵、それに写真を交え、計130点の作品にてボナールの画業を俯瞰します。また、日本初公開の30点を含む、パリのオルセー美術館からも作品がやって来て、質量ともに不足のないボナール展となりそうです。
ブームも再びわき起こるのでしょうか。日本画家、渡邊省亭の展覧会が、加島美術にて開催されます。
「SEITEIリターンズ!!~渡邊省亭展」@加島美術(9/15〜9/29)
幕末の江戸に生まれた画家、渡邊省亭は、パリ万国博覧会で銀牌も獲得し、赤坂離宮迎賓館の「花鳥の間」の七宝の下絵を描くなどして活動したものの、不思議と画業を網羅するような回顧展が行われませんでした。
しかし昨年、同じく加島美術の「蘇る!孤高の神絵師 渡辺省亭」にて、はじめて作品がまとめて紹介され、美術ファンの間で話題を集めました。
以来、約1年ぶりの展覧会です。今回は省亭の作品のみならず、七宝に表した濤川惣助の作品も同時に展示されます。精緻な描写で、四季の花鳥などを洒脱に表現した省亭の魅力を、再び味わえる良い機会となりそうです。
9月からは、ブログの更新を少しづつ前のペースへ戻したいと思います。引き続きお付き合い下されば嬉しいです。
それでは今月もどうぞ宜しくお願いします。
そのような中、知られざる木版画家の魅力を伝えていた「木版画の神様 平塚運一展」(千葉市美術館)や、琉球に花開いた芸術に感銘させられた「琉球 美の宝庫」(サントリー美術館)、さらに幕末明治の浮世絵師、月岡芳年の作品が一堂に会した「芳年—激動の時代を生きた鬼才浮世絵師」(練馬区立美術館)などが印象に残りました。
さて9月です。まさに芸術の秋到来と言ったところかもしれません。多くの展覧会がスタートします。今月に見たい展覧会をリストアップしてみました。
展覧会
・「杉浦邦恵 うつくしい実験」 東京都写真美術館(~9/24)
・「涯(ハ)テノ詩聲(ウタゴエ) 詩人 吉増剛造展」 渋谷区立松濤美術館(~9/24)
・「内藤 礼―明るい地上には あなたの姿が見える」 水戸芸術館(~10/8)
・「没後50年 藤田嗣治展」 東京都美術館(~10/8)
・「禅僧の交流 墨蹟と水墨画を楽しむ」 根津美術館(9/1~10/8)
・「AUDIO ARCHITECTURE:音のアーキテクチャ展」 21_21 DESIGN SIGHT(~10/14)
・「横山操展 ~アトリエより~」 三鷹市美術ギャラリー(~10/14)
・「マジック・ランタン 光と影の映像史」 東京都写真美術館(~10/14)
・「いわさきちひろ生誕100年 Life展 あそぶ plaplax」 ちひろ美術館・東京(~10/28)
・「没後160年記念 歌川広重」 太田記念美術館(9/1~10/28)
・「キリシタン―日本とキリスト教の469年―」 國學院大學博物館(9/15~10/28)
・「狩野芳崖と四天王」 泉屋博古館分館(9/15~10/28)
・「仙がい礼讃」 出光美術館(9/15~10/28)
・「原安三郎コレクション 小原古邨展—花と鳥のエデン—」 茅ヶ崎市美術館(9/9~11/4)
・「阿部展也ーあくなき越境者」 埼玉県立近代美術館(9/15〜11/4)
・「モダンアート再訪 ダリ、ウォーホルから草間彌生まで 福岡市美術館コレクション」 横須賀美術館(9/15~11/4)
・「日本画の挑戦者たち—大観、春草、古径、御舟—」 山種美術館(9/15~11/11)
・「1968年 激動の時代の芸術」 千葉市美術館(9/19~11/11)
・「京都・醍醐寺—真言密教の宇宙—」 サントリー美術館(9/19~11/11)
・「横山華山」 東京ステーションギャラリー(9/22~11/11)
・「ヨルク・シュマイサー 終わりなき旅」 町田市立国際版画美術館(9/15~11/18)
・「白磁」 日本民藝館(9/11~11/23)
・「仏像の姿~微笑む・飾る・踊る~」 三井記念美術館(9/15~11/25)
・「アルヴァ・アアルト もうひとつの自然」 神奈川県立近代美術館葉山(9/15~11/25)
・「超えてゆく風景」 ワタリウム美術館(9/1~12/2)
・「オルセー美術館特別企画 ピエール・ボナール展」 国立新美術館(9/26~12/17)
・「リー・キット展」 原美術館(9/16~12/24)
・「カール・ラーションスウェーデンの暮らしを芸術に変えた画家」 東郷青児記念損保ジャパン日本興亜美術館(9/22~12/24)
ギャラリー
・「宮本佳美 消滅からの形成」 ポーラ ミュージアム アネックス(9/7~9/24)
・「竹中大工道具館企画展 南の島の家づくり-東南アジアとうしょ島嶼部の建築と生活」 ギャラリーA4(~9/28)
・「Yesterdays 黒と白の狂詩曲 立木義浩写真展」 CHANEL NEXUS HALL(9/1~9/29)
・「SEITEIリターンズ!!~渡邊省亭展」 加島美術(9/15〜9/29)
・「good design company 1998-2018」 クリエイションギャラリーG8(9/12~10/18)
・「横尾忠則 幻花幻想幻画譚 1974-1975」 ギンザ・グラフィック・ギャラリー(9/5~10/20)
・「絵と、 vol.2 村瀬恭子」 ギャラリーαM(~10/27)
・「海を渡ったニッポンの家具—豪華絢爛仰天手仕事」 LIXILギャラリー(9/6~11/24)
・「眠らない手 エルメスのアーティスト・レジデンシー展」 メゾンエルメス(9/13~1/13)
チラシからして目を引くのではないでしょうか。茅ヶ崎市美術館にて、版画家、小原古邨の展覧会が開催されます。
「原安三郎コレクション 小原古邨展—花と鳥のエデン—」@茅ヶ崎市美術館(9/9~11/4)
明治10年に生まれた小原古邨は、当初、日本画家として活動したものの、のちに木版画を手がけると、「TIMES」誌に掲載されるなどして、主に欧米で人気を集めてきました。
その反面、日本では必ずしも良く知られておらず、同じく新版画の川瀬巴水らと比べると、評価が定まっているとは言えません。
【予告】茅ヶ崎市開館20周年記念「版の美」シリーズ第2弾として9月9日(日) ~11月4日(日)、「原安三郎コレクション 小原古邨展 -花と鳥のエデン-」を開催します。実業家・原安三郎旧蔵の小原古邨作品230点を世界初公開!(前期・後期で全点入れ替え)https://t.co/vEToks7je5 pic.twitter.com/vzNVwK1c83
— 茅ヶ崎市美術館 (@chigasakimuseum) 2018年8月26日
浮世絵のコレクターとして知られた、実業家、原安三郎の旧蔵品による、国内最大級の小原古邨展です。出展数も230点に及びますが、前後期(前期:9/9〜10/8、後期:10/11〜11/4)で全ての作品が入れ替わります。まずは前期を見てくるつもりです。
実のところ、今年に開催される西洋美術展の中で、一番楽しみにしていました。フランスのナビ派の画家、ピエール・ボナールの回顧展が、国立新美術館ではじまります。
「オルセー美術館特別企画 ピエール・ボナール展」@国立新美術館(9/26~12/17)
ボナールは、何も見る機会が少ないわけではなく、国立西洋美術館でも何点か常に公開されているほか、過去に国内で行われたナビ派関連の展示でも、複数の作品が出展されました。
しかし今回ほどの大規模な回顧展は久しぶりです。油彩、素描、版画に挿絵、それに写真を交え、計130点の作品にてボナールの画業を俯瞰します。また、日本初公開の30点を含む、パリのオルセー美術館からも作品がやって来て、質量ともに不足のないボナール展となりそうです。
ブームも再びわき起こるのでしょうか。日本画家、渡邊省亭の展覧会が、加島美術にて開催されます。
「SEITEIリターンズ!!~渡邊省亭展」@加島美術(9/15〜9/29)
幕末の江戸に生まれた画家、渡邊省亭は、パリ万国博覧会で銀牌も獲得し、赤坂離宮迎賓館の「花鳥の間」の七宝の下絵を描くなどして活動したものの、不思議と画業を網羅するような回顧展が行われませんでした。
しかし昨年、同じく加島美術の「蘇る!孤高の神絵師 渡辺省亭」にて、はじめて作品がまとめて紹介され、美術ファンの間で話題を集めました。
加島美術で開催される渡邊省亭展「SEITEIリターンズ!!〜渡邊省亭展〜」に先駆けまして、省亭に関するコラムを紹介して参ります。第一弾は、「明治宮殿の天井画下絵」について。惜しくも失われたその幻の姿とは・・。https://t.co/BbvV6QrYNu#渡邊省亭 #watanabeseitei #加島美術
— 加島美術 / Kashima Arts (@Kashima_Arts) 2018年8月23日
以来、約1年ぶりの展覧会です。今回は省亭の作品のみならず、七宝に表した濤川惣助の作品も同時に展示されます。精緻な描写で、四季の花鳥などを洒脱に表現した省亭の魅力を、再び味わえる良い機会となりそうです。
9月からは、ブログの更新を少しづつ前のペースへ戻したいと思います。引き続きお付き合い下されば嬉しいです。
それでは今月もどうぞ宜しくお願いします。
コメント ( 3 ) | Trackback ( 0 )
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ラーション展、私も先日行ってきました。
生活用品も素敵でしたよね!
もう少し絵が見たいかなあとは思いましたが、良かったです。