「絵画、それを愛と呼ぶことにしよう vol.1 山田七菜子」 ギャラリーαM

ギャラリーαM
「絵画、それを愛と呼ぶことにしよう vol.1 山田七菜子」
4/14-5/19



ギャラリーαMで開催中の「絵画、それを愛と呼ぶことにしよう vol.1 山田七菜子」へ行ってきました。

昨年度は「成層圏」と題し、主にインスタレーションの展示を続けたギャラリーαMですが、本年度は一転、文字通りペインティングを前面に押し出したシリーズへと切り替わりました。

その第一弾を飾るのが山田七菜子です。



いわゆる正規の美術教育ではなく、半ば独学で絵画表現を切り開いた山田は、これまで名古屋から関西方面のギャラリーの個展やグループ展などに参加してきました。

ともかく一目見て印象的なのは、非常に鮮烈な色彩感と、直接指をキャンバス面へ触れて作るという力強いストロークに他なりません。

とりわけ深い海をのぞき込むような青や燃え盛る夕陽のような赤からは、どこかドイツ表現主義の画家、ノルデの画風を思わせはしないでしょうか。

それに横に波のように揺れ、大きなカーブを描いてとぐろを巻くストロークは時にムンク画のような不穏な気配を呼び起こします。

また多様な支持体も見逃すことが出来ません。



作品は会場をぐるりと取り囲むように展示されていますが、そこには大小様々なキャンバスの他、木片に油缶、さらには瓶やパレットなどまでが登場しています。これらの素材は全て山田が使ったものや拾ってきたものだそうです。

また配列は限りなくランダムです。絵を見ていたつもりが、いつの間にかキャップなどへ変わっています。一点一点のキャンバスと向き合うというよりも、全体の作品の流れ、またその変化も楽しめるのではないでしょうか。

モチーフには海辺の景色や不思議と親密な間柄を伺わせる人物などが登場します。その描かれた作品を順に追っていくと、一つのストーリー、ような何らかの物語を読んでいるような気がしてなりませんでした。



ちなみに物語性とも繋がりますが、山田は会場に詩も残しています。少し分かりにくいかもしれませんが、会場内の柱に直接詩が記されています。また詩のファイルも置かれていました。そちらも作品世界への共感の切っ掛けとなりそうです。



それにしてもこの「絵画、それを愛と呼ぶことにしよう」というテーマは大いに目を引きます。東京国立近代美術館の主任研究員の保坂健二朗氏をキュレーションに迎えた本年度のαM企画、また期待出来るのではないでしょうか。

αM2012企画 
『絵画、それを愛と呼ぶことにしよう Crazy for Painting』
ゲストキュレーター:保坂健二朗(東京国立近代美術館主任研究員)

2012年4月14日(土)~5月19日(土)山田七菜子
2012年5月26日(土)~6月23日(土)俵萌子
2012年6月30日(土)~7月28日(土)安藤陽子
2012年8月4日(土)~9日15日(土)浅見貴子(休:8/12~27)
2012年9月21日(金)~10月20日(土)小西紀行
2012年10月27日(土)~11月24日(土)衣川明子
2012年12月1日(土)~2013年1月12日(土)増田佳江(休:12/23-1/7)
2013年1月19日(土)~2013年2月2日(土)田中功起
2013年2月9日(土)~2013年3月23日(土)小林正人+杉戸洋

なお昨年度は震災の影響を鑑み、時間を短縮しての展示でしたが、今年度から通常通りの時間に戻りました。開廊は11時、閉廊は19時です。

5月19日まで開催されています。

「絵画、それを愛と呼ぶことにしよう vol.1 山田七菜子」 ギャラリーαM@gallery_alpham
会期:4月14日(土)~5月19日(土)
休廊:日・月・祝。
時間:11:00~19:00
住所:千代田区東神田1-2-11 アガタ竹澤ビルB1F
交通:都営新宿線馬喰横山駅A1出口より徒歩2分、JR総武快速線馬喰町駅西口2番出口より徒歩2分、日比谷線小伝馬町駅2、4番出口より徒歩6分。
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )