今回の神戸の締めくくりは、日本酒バー「たちきや」へ。業界でいつもお世話になっている方の先輩が営まれている、日本酒にこだわったお店ということで以前から伺ってはいたのですが、この度ようやくお邪魔することができました。
カウンターのみの純和風なお店。カウンターや棚には珍しい限定日本酒がずらりと並んでおり、それだけで楽しみになります。
まずは冷奴をお供に地元兵庫県のお酒から。加古川市に唯一残る、創業140年の酒蔵、岡本本家の純米吟醸SEITEN生原酒(冒頭写真)。近ごろはさっぱりとしてキレのある純米酒が好みですが、それなりに食べ飲んだ後でもあるので、ややインパクトのあるお酒の方が良いというのもありました。そういう意味では、すっきりとした中にも、微妙に乳酸系の爽やかさを感じるこのお酒は飲みやすかったです。
続いて、角右衛門ひやおろし特別純米酒。秋田、木村酒造のお酒。秋のお酒のイメージがあるひやおろし。以前ブログでもお話ししましたように、ひやおろしは出荷前の二度目の火入れ(加熱殺菌)をしないことから「冷や卸し」と呼ばれているのだそうですが、こちらも角右衛門特別純米酒を、春に一度瓶燗火入れしてひと夏熟成させたものです。低温で熟成させたため、フレッシュ感のある飲みやすい仕上がりになっています。
三杯目は愛媛、中条本店の城川郷純米原酒。ここへきてまろやかでお米の甘みがしっかりとつづくお酒に。
岡山県備前地区の原料米「雄町」を使用した、龍勢ひやおろし雄町特別純米(藤井酒造)。聞きそびれてしまいましたが、こちらのお店は旧店名を「備前たちきや」といったことから、地元と関係あるのでしょうか?こちらはしっかりとしたお米の旨味が感じられる、厚みのあるお酒です。
最後は、再び兵庫県に戻り、江井ヶ島酒造の日本魂(やまとだましい)純米無濾過生原酒みずもと仕込み。みずもと(水酛)についても以前ブログでお話ししましたが、生米と蒸米を水につけて乳酸菌を増殖させ、その水を仕込み水として利用して酒母を作る、復刻した古来の仕込み法を言います。水酛は全国でも珍しく、米由来の旨味、甘み、酸味も雑というのではなく、何というか本来の日本酒といった自然感がありました。
またゆっくり、じっくりとお邪魔したいと思います。
たちきや
兵庫県神戸市中央区北長狭通2-9-4 西島ビル 1F
繻るに衣袽あり、ぼろ屋の窪田でした
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