毎日毎日、飽きもせず・・・

韓国のドラマ・映画・音楽を楽しんでいます。
そんな小さな楽しみを綴っていきたいと思います!(完全ネタバレしています)

『親切なクムジャさん』

2006-11-09 21:07:25 | MOVIE
出演:イ・ヨンエ、チェ・ミンシク
監督:パク・チャヌク
2005年
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 無実の罪によって13年の刑期を終えたクムジャ。
刑務所の中の彼女はとても親切で皆から「親切なクムジャさん」と
呼ばれていた。
しかし彼女のその親切は“復讐”するための仲間を得るために
13年間を費やした長い前フリ。
出所した彼女は早速復讐へと・・・


パク・チャヌク監督の『復讐者に憐れみを』『オールド・ボーイ』に続く
復讐三部作と呼ばれるもののラスト。

まずオープニングのシーンから白・黒・赤の色彩がとても印象的で
美しく描かれている。
全編を通してクムジャさん同様の強い美意識が感じられました。

 クムジャが逮捕されるくだりは、誘拐犯が若くて美人だったという事で
マスコミに取り上げられ、マスクをはめて警察に連行されるシーンは
大韓航空機事件のキム・ヒョンヒが逮捕された時のニュース映像の様な
感じがしました。

 服役中、クムジャはいろいろな親切をします。
本当の意味での親切ではない事もします。
全ては出所後の復讐に向けての下準備です。
クムジャは本当にこの“復讐する”事だけを生きる糧として
生きていたのでしょう。
だって親切にしてあげた囚人たちだって結局は復讐のための
駒に過ぎないわけですから。


 遺族達を集めていざ復讐を、というシーンでも
恐ろしい心理状態ながらも、みんながお揃いのレインコートを
着るところなんてどこかユーモラスに描かれています。
そしてその時のクムジャの黒ずくめの服は、やはりそこにも
クムジャの美意識が感じられるようでした。
(あの格好と赤のアイシャドーは良かった


でも一番気になっていたのが、あそこまでクムジャが復讐を
企てる割にはその原因が弱いんじゃないかなと言う事でした。
でも監督のインタビュー記事を見て納得。
 
 「あえてこの復讐には弱い動機を設定していますが、
  なぜそうしたかというとクムジャは罪の意識には
  非常に敏感な人間だということを表現したかったからです。
  クムジャが行っている復讐というのは怒りを解消したいからではなく、
  あくまでも“贖罪”の意味における復讐になるのではと思います。」
 
この文章を読んで「なるほど~」と思いました。
クムジャの子供が殺された訳ではないのに、あそこまでするのは
何なのか?と思っていたのでこれで少し理解ができました。
「復讐」という言葉が強くてそっちに気を取られがちですが、
「復讐三部作」のラストに復讐よりも「贖罪」というものを
描いていたのでしょうか。
それはやっぱり女性が主役だったっていうこともあるのかも
知れませんね。 
 
 ちなみに私はこの復讐三部作を全部見たのですが、一番印象的だったのは
『復讐者に憐れみを』でした。