ウクライナのゼレンスキー大統領がウクライナ軍のザルジニー司令官を解任した。ロシア軍に占領された地域の奪還が進まないことで、両者の間に確執があったという観測記事が流れたが、詳しいことはわからない。
アメリカの大統領選挙に出馬予定のトランプ前大統領の側近である元テレビ司会者タッカー・カールソン氏がロシアに行きプーチン大統領と面談した。ウクライナとロシアの戦争は24時間で止めることができる、と法螺を吹いたトランプ氏と、ロシアのウクライナ侵攻を正当化しようとするプーチンの思惑が一致し、カールソン氏がメッセンジャーをつとめたヤラセ番組のように見えるが、これも詳しいことは報道されていない。
バイデン米大統領が副大統領時代に機密文書を自宅に持ち帰っていた問題で、ロバート・ハー特別検察官はこの件でバイデン大統領を訴追しないと公表した。ついでにバイデン氏のことを「高齢で記憶力が乏しい」と評した。むかしブレジネフ政権下のソ連・モスクワで、泥酔した市民がブレジネフはバカ者だと叫びながら通りを歩いていたところ、物陰から秘密警察が現れて、国家機密漏洩でその市民を逮捕した。市民はブレジネフがバカ者だと言っただけだと抗議した。秘密警察は答えて曰く。「それが国家機密なのだ」。古い政治冗談。
トランプ氏の2023年中の政治献金のうち約70億円以上が彼自身の裁判費用に充てられていた、とアメリカで報道された。トランプ氏が裁判まみれになっているのは明らかだが、どのような手品を使えば政治献金が裁判費用に使えるのか、日本の新聞を読んでいる限り種明かしの説明はない。それにしてもアメリカの弁護士費用は途方もない額だ。
2月14日にインドネシア大統領選挙が行われる。ジョコ政権のプラボウォ国防相がジョコ大統領の息子でスラカルタ市長のギブラン氏を副大統領に立てて3度目の大統領選挙に挑む。現地の世論調査会社の調査ではプラボウォ氏の支持は50パーセントを超えているとか。2月12日の朝日新聞朝刊はインドネシア大統領選挙候補者の紹介でプラボウォ氏について「過去の人権侵害事件に関与した疑い」と書いている。参考までに英紙ガーディアンの記事をどうぞ。
30年も前の事だが、ソ連の崩壊を目撃したフランシス・フクヤマ氏は『歴史の終わり』を書いて一躍時の人になった。歴史とは民主主義と共産主義の政治イデオロギー上の対決過程であり、それは民主主義の勝利となり、歴史は終わった。そういう趣旨だった。終わったはずの歴史が、今度は逆流を始めている。歴史の勝利者であるはずのアメリカにはトランプ氏が頭をもたげ、敗者となったソ連後継のロシアにはプーチン氏が現れた。プーチン氏はNATOによるロシア包囲を恐れてウクライナに侵攻した。トランプ氏は大統領在任中にNATO加盟国に対して防衛費の増額を要求し、それに応えない国にはロシアに容赦ない攻撃してもらうと告げたことがあった、とさきごろ共和党の集会で公言した。ホワイトハウスは正気の発言ではない、と驚きの声明を出した。
日本では政治パーティー券と統一教会の問題に関わった自民党議員が次々と明るみに出て、自民党は与党の機能をはたせなくなっている。日米戦争の日本敗戦を機に、占領軍のアメリカが種をまいた戦後民主主義の生育過程が終わり、日本の政治過程が昭和・大正・明治へと先祖返りしている不気味さがある。
(2024.2.12 花崎泰雄)
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