老後の練習

しのび寄るコドクな老後。オヂサンのひとり遊び。

『Food, Inc.』

2010-01-18 00:30:23 | 映画
忙しくしているあいだにウッディ・アレン特集は終わってしまい今日はコレ。毎日食べている食べモノは危ないモノだという、知らぬがホトケだった世界を暴きだしたような映画。アメリカ映画だからそうとう割り引いて見ないと、コレがすべて正しいなんてことはあり得ない。映画一本でノーベル平和賞までもらったアノ大統領なりソコねの人の環境問題告発モノもそうだが、モノの見方が限定的かつ断定的で一歩間違えば海賊のシーシェパードだかジョーンシェパードだかと一緒のようなところもある。それがドキュメンタリーのむずかしいところで、単なるジコ顕示欲丸出しの宣伝映画にならないためにどう踏みとどまっているかが見どころと言えば見どころ。

内容的には遺伝子組み換え食品の安全性について疑問を呈しているのが中心にあって、それがブッシュ政権の裏金政治によって肯定され助長されてきたこと。つまり大食品産業との癒着とかそれを見逃す専門機関とか、まあアメリカ社会全体がテロとの戦い、とか言って無意味で無駄な仕返し合戦に熱中していたすきにどんどんゆがんで悪がはびこった、みたいなことがあって、その一例として食の世界ではもうこんなところまで来ているということを言っている映画。
そのへんを客観的にいえばいいところをやたらショッキングな映像とか子どもが食べモノが原因で死んだ母親が出てきて涙ながらに訴える映像とかでいかにも誇張している。そういう大袈裟さが見るモノを疑わせる。

結局、アメリカだけの話ならそれはそれでしっかりやれば、って見ていればいいが、アメリカから世界中にそういうモンダイが出回っていて、それぞれのクニにもいろんな癒着とか目に見えないチカラが働いて覆い隠されたり誇張されたり。わかりにくさが増幅されるだけで世の中、ホントのことなんてわからない。
そういう世の中の複雑さを深めているのがこういう映画も含めたマスコミで、話が変わるがあのシーシェパードのことなんか、世界の大半がニッポンが悪者だと受け取っている。結局はメディアを支配したモノが勝ちという世界。

さらに話は変わるが今の検察と政権党との闘いも、そもそもは道で拾った100円玉くらいのものを届けたか届けなかったくらいの問題であるのに、深いところで表には見えない癒着があって、連日検察の裏口からリークされた情報が、それもまたいろんな癒着の中で生き延びてきたマスコミによってタレ流される。検察が政権を抑え込んでいったいどうしようと言うのか、その先がむしろ問題で、隣のカンコクと同じで結局は検察・警察が一番強いということになってしまったらニッポンは本当の暗黒シャカイで、こんな食品のコトなんか誰も何も言わなくなる、黙っているのが一番の世界になるんじゃないかと。

情報とはジブンの目で見たモノ以外は結局は誰かの価値基準で加工されたものだから、正しい情報、といういい方もヘンだが、それでも仮にそういうモノがあったとして、それをいかに選別して正しく世界を組み立てていくか、そういう練習のためにはこういう偏ったものを見るのもいいかもしれない。決して悪質なモノではなかった。

2008年、アメリカ映画。