かすかな記憶だが、子供の頃「ソイレントグリーン」という映画を観た記憶がある。主演が当時いろいろな映画に出ていたチャールトン・へストンだったと思う。
映画「ソイレント・グリーン」
未来社会を扱ったSFスリラーもので、ネタ晴らしになるかもしれないが、ラストシーンが「工場で大量生産されている食料品の原料は、人間の肉だ!」と叫んでいたと記憶している。
インターネットでこの映画を検索してみると、あらすじも確認できた。
2022年の近未来の話で、食糧不足となったため、庶民はプランクトンから合成した「ソイレントグリーン」という人口食品の配給で命をつないでいた。
主人公の刑事が調べていった結果、多数の死体がトラックでソイレント社の工場に運び込まれ、人間の死体からソイレント・グリーンが生産されている事実を突き止める。
その後、暗殺者の襲撃を受け、彼らを倒したものの自身も深手を負ったソーンは、病院に搬送されながら叫ぶ。
「ソイレント・グリーンの原料は人間だ。早く何とかしないと、今に食糧生産のために人間を飼うようになる。その前に何とかしなくてはならないんだ!」
子供ながらに、恐ろしさを感ずる後味で、楽しい映画ではなかった。
話変わって、ハンバーガーのことも、ふと思い出した。牛肉をミンチしたパテと呼ばれるハンバーガーとレタスやトマトなどをバンというパンで挟んだファストフードである。美味しい食べ物だが、私は多くても年に2度ほどしか食べない。
理由は、これももう何十年も前に、確か文芸春秋という雑誌で読んだレポート記事の所為だ。インターネットで検索してみたが、それらしいものは見つからなかったので、私の記憶のソースは曖昧である。
どういう記事であったかというと、ハンバーガーチェーンのハンバーガーは牛肉100%となっているが、あれには養殖ミミズが使われていて、南米のミミズ養殖場で大量生産されて、生産量と需要数もほぼ一致していることも判明したという記事だった。
その記事を読んだとき、確かに牛肉を使用している割にはあんな低価格で販売されているのも変であったが、なるほどそうだったのかと妙に納得したものだった。
またまた話し変わって、私がアメリカのカリフォルニア州でホームステイしていた時の話。
その小さな街はサンフランシスコ近郊のサリナスといい、「怒りの葡萄」や「エデンの東」で有名な作家、スタインベックの生まれ育ったところだった。『エデンの東』の中でも出てくるレタスの産地として有名で、郊外には広々とレタス畑が見渡せる街だ。
しかし、そのレタス畑には雑草が全く見当たらない。これには驚いた。まさかこの広い面積を、手作業で除草するはずがないと思って訳を聞くと、除草剤を散布するからだという。
「えっ?レタスは枯れないんですか?」と聞くと、「レタスはキク科の植物。そのキク科の植物は枯らさない除草剤を空中から一斉に散布するんだ。」という答えだった。
ほ場には雑草が一本も見当たらず、みずみずしいレタスの列だけだったが、そのわけを聞いてしまうと、ここでとれたレタスはあまり食べたくないなあ、と思った私だった。
長々と思い出話を綴った理由は、我が国の主要農作物の種子を守ってきた『種子法』という法律の廃止が決定したからだ。
『種子法』という法律は、「自治体が、農家に安価で優良な農作物の種子を提供することを義務付ける法律」である。
民間企業が営利目的で農家に好き勝手に種子を売りつけたりすることを禁止している。
種子は特有文化である
単純に素直に考えれば、この法律がなくなることで、除草剤をかけても枯れなかったり、害虫が葉っぱをかじるとコロッと死んでしまうなどという、得体の知れない遺伝子組み換え作物の種子が自由に好き勝手に販売できることになる。
私が学生だった頃から、カーギルとかコンチネンタルという巨大「穀物商社」が主要穀物の種子を独占し始めて、種子が戦略物資となったと注目されていた。
米国では、植物にも特許取得が認められ、F1と呼ばれる「一代交配種」の種子を独占販売することで、莫大な利益をあげるようになっていた。F1の種子からは次年度のタネを確保することはできない。
正確にいうと、多収穫とか病気に強いとかいう性質は、一代限り表れる種子であるため、農家はその種子を毎年買い換えなければならないのである。
F1種子
除草剤ラウンドアップでお馴染みのモンサント社は、巨大穀物商社カーギルの種子部門を買収した。そして、そのモンサント社は間もなくアスピリンでお馴染みの世界的な科学工業(薬品)メーカーであるバイエル社に買収されることになっている。
今のままでは、やがてメキシコで起きたように、在来の農作物が遺伝子組み換え作物に取って代わり、セットで農薬や肥料が農家に販売されていき、消費者はそういう得体の知れない化け物のようなモノ、あるいはそれから作られる加工食品を食べさせられる。
自動車工業の黎明期に、ジェネラルモータースや石油会社が、カリフォルニア州にあった鉄道会社を買収し、自動車やガソリンの消費に邪魔だと、鉄道を廃止してしまった。
アングロサクソンは、そういうことを平気でやってのける人種なのである。
彼らの収量が増えてコストダウンにもなるという甘言は、初めだけでその後は実に様々な予期できない問題が発生して、結局農家は莫大な借金を背負い、農地は汚染されろくな結果にならないことは、世界各地で実例が多数ある。
この問題が抱える深刻な点は、そういう遺伝子組み換え作物が一箇所ででも作られると、花粉が風で運ばれたり、鳥や昆虫によって日本中に瞬く間に蔓延してしまうことが避けられないということだ。
国会で今大問題にすべきは、国の安全保障に関わる種子法廃止であり、野党やマスコミがこのことを全く報じない日本は、どうしようもない異常事態である。
故意に無視しているのではないのだろうが、これは取り返しがつかない大問題である。
映画「ソイレント・グリーン」
未来社会を扱ったSFスリラーもので、ネタ晴らしになるかもしれないが、ラストシーンが「工場で大量生産されている食料品の原料は、人間の肉だ!」と叫んでいたと記憶している。
インターネットでこの映画を検索してみると、あらすじも確認できた。
2022年の近未来の話で、食糧不足となったため、庶民はプランクトンから合成した「ソイレントグリーン」という人口食品の配給で命をつないでいた。
主人公の刑事が調べていった結果、多数の死体がトラックでソイレント社の工場に運び込まれ、人間の死体からソイレント・グリーンが生産されている事実を突き止める。
その後、暗殺者の襲撃を受け、彼らを倒したものの自身も深手を負ったソーンは、病院に搬送されながら叫ぶ。
「ソイレント・グリーンの原料は人間だ。早く何とかしないと、今に食糧生産のために人間を飼うようになる。その前に何とかしなくてはならないんだ!」
子供ながらに、恐ろしさを感ずる後味で、楽しい映画ではなかった。
話変わって、ハンバーガーのことも、ふと思い出した。牛肉をミンチしたパテと呼ばれるハンバーガーとレタスやトマトなどをバンというパンで挟んだファストフードである。美味しい食べ物だが、私は多くても年に2度ほどしか食べない。
理由は、これももう何十年も前に、確か文芸春秋という雑誌で読んだレポート記事の所為だ。インターネットで検索してみたが、それらしいものは見つからなかったので、私の記憶のソースは曖昧である。
どういう記事であったかというと、ハンバーガーチェーンのハンバーガーは牛肉100%となっているが、あれには養殖ミミズが使われていて、南米のミミズ養殖場で大量生産されて、生産量と需要数もほぼ一致していることも判明したという記事だった。
その記事を読んだとき、確かに牛肉を使用している割にはあんな低価格で販売されているのも変であったが、なるほどそうだったのかと妙に納得したものだった。
またまた話し変わって、私がアメリカのカリフォルニア州でホームステイしていた時の話。
その小さな街はサンフランシスコ近郊のサリナスといい、「怒りの葡萄」や「エデンの東」で有名な作家、スタインベックの生まれ育ったところだった。『エデンの東』の中でも出てくるレタスの産地として有名で、郊外には広々とレタス畑が見渡せる街だ。
しかし、そのレタス畑には雑草が全く見当たらない。これには驚いた。まさかこの広い面積を、手作業で除草するはずがないと思って訳を聞くと、除草剤を散布するからだという。
「えっ?レタスは枯れないんですか?」と聞くと、「レタスはキク科の植物。そのキク科の植物は枯らさない除草剤を空中から一斉に散布するんだ。」という答えだった。
ほ場には雑草が一本も見当たらず、みずみずしいレタスの列だけだったが、そのわけを聞いてしまうと、ここでとれたレタスはあまり食べたくないなあ、と思った私だった。
長々と思い出話を綴った理由は、我が国の主要農作物の種子を守ってきた『種子法』という法律の廃止が決定したからだ。
『種子法』という法律は、「自治体が、農家に安価で優良な農作物の種子を提供することを義務付ける法律」である。
民間企業が営利目的で農家に好き勝手に種子を売りつけたりすることを禁止している。
種子は特有文化である
単純に素直に考えれば、この法律がなくなることで、除草剤をかけても枯れなかったり、害虫が葉っぱをかじるとコロッと死んでしまうなどという、得体の知れない遺伝子組み換え作物の種子が自由に好き勝手に販売できることになる。
私が学生だった頃から、カーギルとかコンチネンタルという巨大「穀物商社」が主要穀物の種子を独占し始めて、種子が戦略物資となったと注目されていた。
米国では、植物にも特許取得が認められ、F1と呼ばれる「一代交配種」の種子を独占販売することで、莫大な利益をあげるようになっていた。F1の種子からは次年度のタネを確保することはできない。
正確にいうと、多収穫とか病気に強いとかいう性質は、一代限り表れる種子であるため、農家はその種子を毎年買い換えなければならないのである。
F1種子
除草剤ラウンドアップでお馴染みのモンサント社は、巨大穀物商社カーギルの種子部門を買収した。そして、そのモンサント社は間もなくアスピリンでお馴染みの世界的な科学工業(薬品)メーカーであるバイエル社に買収されることになっている。
今のままでは、やがてメキシコで起きたように、在来の農作物が遺伝子組み換え作物に取って代わり、セットで農薬や肥料が農家に販売されていき、消費者はそういう得体の知れない化け物のようなモノ、あるいはそれから作られる加工食品を食べさせられる。
自動車工業の黎明期に、ジェネラルモータースや石油会社が、カリフォルニア州にあった鉄道会社を買収し、自動車やガソリンの消費に邪魔だと、鉄道を廃止してしまった。
アングロサクソンは、そういうことを平気でやってのける人種なのである。
彼らの収量が増えてコストダウンにもなるという甘言は、初めだけでその後は実に様々な予期できない問題が発生して、結局農家は莫大な借金を背負い、農地は汚染されろくな結果にならないことは、世界各地で実例が多数ある。
この問題が抱える深刻な点は、そういう遺伝子組み換え作物が一箇所ででも作られると、花粉が風で運ばれたり、鳥や昆虫によって日本中に瞬く間に蔓延してしまうことが避けられないということだ。
国会で今大問題にすべきは、国の安全保障に関わる種子法廃止であり、野党やマスコミがこのことを全く報じない日本は、どうしようもない異常事態である。
故意に無視しているのではないのだろうが、これは取り返しがつかない大問題である。
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