「うーん、どれがいいかな。これとあれとそっちもいいな~はんべーさん着てみてくださーい」
「こちらの試着室へどうぞ」
「見た感じと着た感じでは違いますね、はんべーさんにお買いもの付き合ってもらったおかげでいいものが買えました」
「蛍殿のお役に立てたのならよかったです。街には随分と沢山の人がいるのですな」
「人が多くてびっくりでしょう、特に明日はクリスマスイブだから賑わってるんですよ」
「くりすます?」
「キリストの生まれた日なんですよ、でもキリスト教徒じゃなくても皆でおめでとう~て言ってお祝いするんです。世界的に広まってる行事ですよ」
「なるほど、皆が楽しそうでくりすますというのはよいものだな、これも平和な世があってのことなのだろうが」
「はい~でもいつも楽しいわけじゃないし、大変な人もいると思います」
「そうなのか?」
「心が病気の人も少なくはないし、お金がなくて生活が大変な人もいるし、信じられないような事件が起きたりします」
「なんと・・・」
「でもやっぱり今の私たちは幸せで恵まれてるんだと思います。私は歴史が苦手なんですが、自分の国の歴史を知ることは大事なことだってぶちょおが言うから私も少し勉強しました。といっても分かりやすいぶちょおの説明を聞くだけなんですけどね(笑)沢山の人の血と汗と涙と努力によって今の平和な日本があることを忘れちゃいけないってぶちょおが言ってました」
「そうか」
「戦国時代とか、その後の明治、大正、昭和って何度も戦争が繰り返されて大変だっただろうけど、きっとそれでも楽しいこともあったんじゃないのかなって思うんです」
「私の考えた兵法が功を成して戦に勝ったときや、また私の説得によって相手が降伏して戦をせずに勝利したときとか」
「戦絡みなんだ(^^;」
「嫡男が生まれたときは実に嬉しかった」
「はんべーさん、お子さんがいるんですね」
「私のいる時代は戦の絶えない悪しき時代ではあるが、思い起こせば楽しいことはあった。それに我が故郷の山々の季節の移り変わりを表す様は実に美しく穏やかな気持ちになる」
「綺麗ですね」
「ん? 蛍殿の故郷もそうなのか」
「はんべーさんて綺麗だな~て思って、お顔もだけど心が透明で綺麗な人なんだなって思います」
「そのようなことはない、それに綺麗は男子にとって褒め言葉とはいえぬぞ、それに綺麗なのは蛍殿だと思う」
「えっ私が綺麗!? ぶちょおなんて私のこと一度も綺麗なんて言ったことないんですよ。いつもアホ呼ばわりです」
「それは酷いな(笑) 蛍殿は心が綺麗だと思う」
「あっ 顔じゃなくて心ですね」
「あっいや、勿論お顔も大層美しくあられる」
「お世辞でも嬉しいです~」
「いや、お世辞ではないぞ」
私が美しい訳がない、この手は多くの人を殺めてきた・・・・・蛍殿にそうとは言えなかった。
だが・・・
>沢山の人の血と汗と涙と努力によって今の平和な日本があることを忘れちゃいけないってぶちょおが言ってました。
そうであるなら救われる。
「あっ クリスマスケーキ売ってる~」
「ひとつどうですか、こちらは予約してなくても買えますよ」
クリスマスケーキはアンティークで予約してるんだけど、今日フライングではんべーさんと食べようかな。
「一番小さいのください」
*
「ぶちょおのセーターにネクタイ。ぶちょおはセンスがいいからネクタイなんて買ったことなかったんだけど、はんべーさんに合わせていい買い物ができました。それとこのマフラーは私からはんべーさんへのクリスマスプレゼントです」
「なんと! かようなもの頂く訳には参りませぬ、これもぶちょお殿に」
「こうやって巻くんですよ~からし色のマフラー、はんべーさんにピッタリ! よく似合ってます。これはぶちょおじゃなくてはんべーさんに買ったんです。遠慮しないで受け取ってくださいね(笑顔)」
「かたじけない。いやこいうときはありがとうと申せばよいのであろうか」
「はい」
「ありがとう、蛍殿」
「さっケーキ食べましょう~蝋燭に火をつけなきゃ。タンスの上の箱にライターが入っているからあの箱とってもらえますか」
「これかな・・・・・・これは!?」
「ありがとう~」
「蛍殿、これはなんなのであろう」
「これはルービックキューブと言って6面の色を揃えるんです。ぶちょおが揃えたんですけど、私もやってみたら全然揃えられなくてぐちゃぐちゃになってます(笑) はんべーさん?」
カチャカチャ カチャカチャ カチャカチャ カチャ
「凄ーい! はんべーさんて頭いんですね~」
もしや信長様はこの世界、いわゆる現代のお人で戦国時代にたいむすりっぷしてきたのであろうか?
チャリーン
「はんべーさん、着物のたもとからなんか落ちましたよ。これって知恵の輪じゃないですか」
「えっ・・・・・・」
(回想)
「信長様、これはなんなのでしょう?」
「知恵の輪っていうんだ、こことここが外れるはずなんだけど、俺って知恵がなくて外せなて~でもはんべーさんなら外せるんじゃないかなって思って、暇があったら外してみて(笑)」
「かしこまりました」
「思い出した・・・この知恵の輪が外れて、気がついたら蛍殿の庭にいたのだ」
「ここも外れるんじゃないですか?」
「そのようだ」
「じゃあここが外れたらきっとまたタイムスリップして、はんべーさんの生まれた時代に帰れますよ!」
「私もそんな気がする」
「ビバ!知恵の輪!」
「えっ?」
「ほらっ はんべーさんも手を合わせて一緒に」
「ああ(照)]
「ビバ!知恵の輪!(笑) それって外すのに時間かかりました?」
「そうでもなかったと思う」
「じゃあ外す前にケーキ食べましょうよ」
「けえきというのは美しき食べ物であるな、うん美味である」
「うん、美味しい~」
早く帰りたいのかな~知恵の輪外すのに一生懸命になってる。はんべーさんて竹中半兵衛って名乗っていたけど、検索すると出てきたりするのかな?
スマホで検索してみよう。
「はんべーさんの名前で検索したら沢山出てきましたよ。戦国時代の智将・天才軍師ですって、はんべーさんて有名人なんだ、すごーい」
「えっ? そうなのか(照)」
軍師ってなにする人か知らないけど(^^; え・・・・・36才で病死って書いてある。はんべーさんて35才くらいだよね(あくまでもホタルちゃんの見た目年齢です)そんな・・・
「はんべーさん!まだ知恵の輪外さないでください! 渡したいものがあるから待っててください!」
「あ・・・はい」
病死ってなんの病気? 昔だからいい薬がなかったのかも知れない。風邪が悪化したのかも知れない・・・
「これは風邪ひいたときに飲む薬で、これは頭が痛い時や熱が出たときに飲む薬で、これが疲れたときに飲むと疲れが取れて、これはお腹の具合が悪いときに・・・」
「蛍殿?」
「ほらっ昔はいい薬があんまりないでしょ、だから薬を持って帰るとなにかの役にたつかなと思って・・・」
私は病気で死ぬのだろうか・・・・・
「こんなに沢山の薬をありがとう・・・だが人には生まれ持った天命があると思っている。ならば私はそれに従いたいと思う。 蛍殿・・・・・・」
「はんべーさん?」
「私は戦国時代の軍師として多くの命を殺めてきた。ゆえに私の手は紅く染まっておるのだ。蛍殿に嫌われたくないと思って黙っておったが(微笑) だがぶちょお殿の言うようにそれが未来の平和に繋がっているのだとしたら救われる。この時代に、蛍殿の家にたいむすりっぷというものをして心からよかったと思う」
でも・・・・・・でも36才で死ぬなんて早いよ、そんなの早すぎるよ。
「蛍殿・・・」
なんと美しい涙・・・・・・・・
「ごめんなさい、ごめんなさい。泣いたりして・・・」
「私の為に泣いてくれてありがとう。だが蛍殿は笑顔が一番美しい・・・明日はぶちょお殿が帰ってこられるのだろう。笑顔でお帰りなさいと言って差し上げるのだぞ」
「はい・・・」 ←精一杯の笑顔をつくるホタルちゃんです。
「丈夫で良いお子を生むのだぞ」
「はい・・・」
「私はちとかわや・・・トイレに行ってくる」
男子たるもの人前で見せる涙は3度と決まっておるのに女人の前で涙など到底見せられぬ(苦笑)。私は死ぬことが恐いのか? 病死ではなく武士らしく戦場で死にたいとは思うが・・・元より乱世の折、我が身が命を落とすことあるのは覚悟がついている。なのにこの頬を伝う涙の訳は?
蛍殿、私は多分・・・・・・そなたが愛おしい。
「蛍殿、寝てしまったのか」
(こたつで寝ているホタルに布団をかけるはんべいさんです)
「ぶちょお殿、蛍殿に触れることをお許しください」
(そう言って布団から出ていた手をそっと布団に入れるはんべいさんです)
カチャカチャ カチャカチャ
少し寒くなってきた。マフラーというのは温かいものだ、まるで蛍殿のように温かくやわらかい(微笑)
*
蛍殿・・・蛍殿・・・
「ホタル、ホタル」
「はんべーさん!」
「ぶちょおだが・・・」
「あっぶちょおだ~! 帰りは明日の予定じゃ?」
「商談が上手くいって、丁度飛行機のキャンセルが出て1日早く帰れたんだ」
「そうだったんですか、お帰りなさい(笑顔)」
「うん、それはそうと家の中を見て驚いた!感動した! どこもかしこもピカピカじゃないか。君がこんなに綺麗に掃除してくれるなんて、しかも身重の身体で、大丈夫か?疲れてないか?」
「ええ、全然疲れてません、元気ですよ~」
でも私、いつの間に掃除したのかな? 頑張るホタルさんの妖精が出てきて掃除してくれたとか? まっいっか~。
「ところでホタル、はんべーさんて誰だ?」
「誰でしょう、なんか長い夢を見てた気がするんですが、思い出せなくて」
「夢か~夢は眼が覚めたら忘れるもんだからな。そうそう盲腸で入院してる専務が、おうちまで宅配・クリスマスディナーセットを譲ってくれたんだ。どうせ食べられないし、迷惑かけたからって。評判の宅配で美味いらしいぞ」
「わーい、楽しみです。明日はおうちでまったりと二人だけのクリスマスイブですね」
「そう、二人きりのクリスマス
はこれが最後になるかな」
「ですね
」
*
暗い・・・現代、いやここから言うと未来だな。未来の明るさに眼が慣れていたゆえ酷く暗く感じる。そして空気はひんやりと冷たく澄んでいる。戻ったのだな私は。
未来のように便利でも平和でもなく戦の絶えない世ではあるが、それでも私は私が生まれ育ったこの時代が愛おしい。
ここには大切な人がいる。 同士がいる。 心より仕えたい方がいる。
「必ず平和な世がくるから」
私も見て参りました。 お供致します・・・・・・塵積もの道を。
*
「メリークリスマス!」
「メリークリスマス!」
「これぶちょおへのクリスマスプレゼントです」
「いいね~あつらえたみたいにピッタリで俺の顔に映えるセーターじゃないか。凄く気にいったよ、ありがとうホタル」
「ネクタイもあるんですよ」
「うん、これもいい、ホタルにこんなセンスがあったとは」
「へへっ」
「これは俺からのクリスマスプレゼント」
「わぁ~素敵なセーター、ありがとう~ぶちょお。あっ初詣、お互いにプレゼントのセーター着て行きましょうよ」
「うん」
「美味しいですね~評判の宅配ディナー」
「ああ、来年の今頃はこんなまったりとしたクリスマスじゃないだろうな」
「賑やかでしょうね」
「うん(微笑)」
「私、今の日本に生まれて幸せだな~て思います」
「どうしたんだ、急に」
「なんとなく(^^;」
「景気は回復しないし、嫌な事件も多いけど、世界的に見ても日本は平和で安全な国だ」
「私たちは次の世代にそれをちゃんと渡していかなくちゃ駄目ですよね」
「ホタルがそういうことを言うようになったのは母親になるからかな」
「そうかも知れません」
「そういえば、はんべーさん」
「はんべーさんがどうかしました?」
「はんべーさんという知り合いはいないが、戦国時代に竹中半兵衛という武将がいて」
「へぇ~」
「今年大河ドラマでやっていた黒田勘兵衛と並んで両兵衛と呼ばれた戦国時代の天才軍師だ。ただ残念なことに36才の若さで亡くなってる」
「そんなに若くですか・・・」
「竹中半兵衛がもっと生きていたら歴史は少し変わっていたかも知れんな。半兵衛は殆ど欲というものがなくただ天下太平を願っていたそうだ。若くして亡くなった為に半兵衛に関する資料も少ないのだが数々の逸話がある。36才という若さで志半ばで死んだ竹中半兵衛は伝説になったのかも知れない」」
「ぶちょお、はんべーさんのこと好きでしょ?」
「うん、前に出張で岐阜に行ったとき、ちょっと足を延ばして竹中半兵衛ゆかりの地巡りをしてきたんだ。そこの資料館で小学校で校長先生をしているという人に半兵衛の話を沢山聞いて感銘を受けてすっかり半兵衛のファンになったんだ」
「そうなんだ」
「これが半兵衛の肖像画だけど、あれ?なんか首に巻いてる。前からそうだったかな」
「あらっ マフラーみたい」
「半兵衛は病弱だったから風邪をひかないように首になにか巻いていたのかもな」
「きっとこのマフラーの色はからし色ですよ」
「ん? 白黒の肖像画だけど」
「なんでだろ? 私にはからし色のマフラーが見えるんですよ」
「もしかしてホタルは夢の中で竹中半兵衛に会っていたのかもしれんな」
「そうかも~」
「俺も会いたかったな~竹中半兵衛に(笑)」
*
「メリークリスマス! はんべーさん、楽しんでる?」
「クシャン」
「はんべーさん、風邪?」
「いえ」
「身体大事にしてね、俺はんべーさん頼りにしてるんだから」
「はい、メリークリスマス信長様(微笑)」
「いいね~その笑顔 goodだよ(笑)」
愛しき我が時代と、愛しき未来に メリークリスマス
竹中半兵衛 天正7年6月13日 三木城陣中にて胸の病にて没す 享年36才 完
楽しんで頂けたなら幸いです。一言でも感想頂けるととても嬉しいです。
「こちらの試着室へどうぞ」
「見た感じと着た感じでは違いますね、はんべーさんにお買いもの付き合ってもらったおかげでいいものが買えました」
「蛍殿のお役に立てたのならよかったです。街には随分と沢山の人がいるのですな」
「人が多くてびっくりでしょう、特に明日はクリスマスイブだから賑わってるんですよ」
「くりすます?」
「キリストの生まれた日なんですよ、でもキリスト教徒じゃなくても皆でおめでとう~て言ってお祝いするんです。世界的に広まってる行事ですよ」
「なるほど、皆が楽しそうでくりすますというのはよいものだな、これも平和な世があってのことなのだろうが」
「はい~でもいつも楽しいわけじゃないし、大変な人もいると思います」
「そうなのか?」
「心が病気の人も少なくはないし、お金がなくて生活が大変な人もいるし、信じられないような事件が起きたりします」
「なんと・・・」
「でもやっぱり今の私たちは幸せで恵まれてるんだと思います。私は歴史が苦手なんですが、自分の国の歴史を知ることは大事なことだってぶちょおが言うから私も少し勉強しました。といっても分かりやすいぶちょおの説明を聞くだけなんですけどね(笑)沢山の人の血と汗と涙と努力によって今の平和な日本があることを忘れちゃいけないってぶちょおが言ってました」
「そうか」
「戦国時代とか、その後の明治、大正、昭和って何度も戦争が繰り返されて大変だっただろうけど、きっとそれでも楽しいこともあったんじゃないのかなって思うんです」
「私の考えた兵法が功を成して戦に勝ったときや、また私の説得によって相手が降伏して戦をせずに勝利したときとか」
「戦絡みなんだ(^^;」
「嫡男が生まれたときは実に嬉しかった」
「はんべーさん、お子さんがいるんですね」
「私のいる時代は戦の絶えない悪しき時代ではあるが、思い起こせば楽しいことはあった。それに我が故郷の山々の季節の移り変わりを表す様は実に美しく穏やかな気持ちになる」
「綺麗ですね」
「ん? 蛍殿の故郷もそうなのか」
「はんべーさんて綺麗だな~て思って、お顔もだけど心が透明で綺麗な人なんだなって思います」
「そのようなことはない、それに綺麗は男子にとって褒め言葉とはいえぬぞ、それに綺麗なのは蛍殿だと思う」
「えっ私が綺麗!? ぶちょおなんて私のこと一度も綺麗なんて言ったことないんですよ。いつもアホ呼ばわりです」
「それは酷いな(笑) 蛍殿は心が綺麗だと思う」
「あっ 顔じゃなくて心ですね」
「あっいや、勿論お顔も大層美しくあられる」
「お世辞でも嬉しいです~」
「いや、お世辞ではないぞ」
私が美しい訳がない、この手は多くの人を殺めてきた・・・・・蛍殿にそうとは言えなかった。
だが・・・
>沢山の人の血と汗と涙と努力によって今の平和な日本があることを忘れちゃいけないってぶちょおが言ってました。
そうであるなら救われる。
「あっ クリスマスケーキ売ってる~」
「ひとつどうですか、こちらは予約してなくても買えますよ」
クリスマスケーキはアンティークで予約してるんだけど、今日フライングではんべーさんと食べようかな。
「一番小さいのください」
*
「ぶちょおのセーターにネクタイ。ぶちょおはセンスがいいからネクタイなんて買ったことなかったんだけど、はんべーさんに合わせていい買い物ができました。それとこのマフラーは私からはんべーさんへのクリスマスプレゼントです」
「なんと! かようなもの頂く訳には参りませぬ、これもぶちょお殿に」
「こうやって巻くんですよ~からし色のマフラー、はんべーさんにピッタリ! よく似合ってます。これはぶちょおじゃなくてはんべーさんに買ったんです。遠慮しないで受け取ってくださいね(笑顔)」
「かたじけない。いやこいうときはありがとうと申せばよいのであろうか」
「はい」
「ありがとう、蛍殿」
「さっケーキ食べましょう~蝋燭に火をつけなきゃ。タンスの上の箱にライターが入っているからあの箱とってもらえますか」
「これかな・・・・・・これは!?」
「ありがとう~」
「蛍殿、これはなんなのであろう」
「これはルービックキューブと言って6面の色を揃えるんです。ぶちょおが揃えたんですけど、私もやってみたら全然揃えられなくてぐちゃぐちゃになってます(笑) はんべーさん?」
カチャカチャ カチャカチャ カチャカチャ カチャ
「凄ーい! はんべーさんて頭いんですね~」
もしや信長様はこの世界、いわゆる現代のお人で戦国時代にたいむすりっぷしてきたのであろうか?
チャリーン

「はんべーさん、着物のたもとからなんか落ちましたよ。これって知恵の輪じゃないですか」
「えっ・・・・・・」
(回想)
「信長様、これはなんなのでしょう?」
「知恵の輪っていうんだ、こことここが外れるはずなんだけど、俺って知恵がなくて外せなて~でもはんべーさんなら外せるんじゃないかなって思って、暇があったら外してみて(笑)」
「かしこまりました」
「思い出した・・・この知恵の輪が外れて、気がついたら蛍殿の庭にいたのだ」
「ここも外れるんじゃないですか?」
「そのようだ」
「じゃあここが外れたらきっとまたタイムスリップして、はんべーさんの生まれた時代に帰れますよ!」
「私もそんな気がする」
「ビバ!知恵の輪!」
「えっ?」
「ほらっ はんべーさんも手を合わせて一緒に」
「ああ(照)]
「ビバ!知恵の輪!(笑) それって外すのに時間かかりました?」
「そうでもなかったと思う」
「じゃあ外す前にケーキ食べましょうよ」
「けえきというのは美しき食べ物であるな、うん美味である」
「うん、美味しい~」
早く帰りたいのかな~知恵の輪外すのに一生懸命になってる。はんべーさんて竹中半兵衛って名乗っていたけど、検索すると出てきたりするのかな?
スマホで検索してみよう。
「はんべーさんの名前で検索したら沢山出てきましたよ。戦国時代の智将・天才軍師ですって、はんべーさんて有名人なんだ、すごーい」
「えっ? そうなのか(照)」
軍師ってなにする人か知らないけど(^^; え・・・・・36才で病死って書いてある。はんべーさんて35才くらいだよね(あくまでもホタルちゃんの見た目年齢です)そんな・・・
「はんべーさん!まだ知恵の輪外さないでください! 渡したいものがあるから待っててください!」
「あ・・・はい」
病死ってなんの病気? 昔だからいい薬がなかったのかも知れない。風邪が悪化したのかも知れない・・・
「これは風邪ひいたときに飲む薬で、これは頭が痛い時や熱が出たときに飲む薬で、これが疲れたときに飲むと疲れが取れて、これはお腹の具合が悪いときに・・・」
「蛍殿?」
「ほらっ昔はいい薬があんまりないでしょ、だから薬を持って帰るとなにかの役にたつかなと思って・・・」
私は病気で死ぬのだろうか・・・・・
「こんなに沢山の薬をありがとう・・・だが人には生まれ持った天命があると思っている。ならば私はそれに従いたいと思う。 蛍殿・・・・・・」
「はんべーさん?」
「私は戦国時代の軍師として多くの命を殺めてきた。ゆえに私の手は紅く染まっておるのだ。蛍殿に嫌われたくないと思って黙っておったが(微笑) だがぶちょお殿の言うようにそれが未来の平和に繋がっているのだとしたら救われる。この時代に、蛍殿の家にたいむすりっぷというものをして心からよかったと思う」
でも・・・・・・でも36才で死ぬなんて早いよ、そんなの早すぎるよ。
「蛍殿・・・」
なんと美しい涙・・・・・・・・
「ごめんなさい、ごめんなさい。泣いたりして・・・」
「私の為に泣いてくれてありがとう。だが蛍殿は笑顔が一番美しい・・・明日はぶちょお殿が帰ってこられるのだろう。笑顔でお帰りなさいと言って差し上げるのだぞ」
「はい・・・」 ←精一杯の笑顔をつくるホタルちゃんです。
「丈夫で良いお子を生むのだぞ」
「はい・・・」
「私はちとかわや・・・トイレに行ってくる」
男子たるもの人前で見せる涙は3度と決まっておるのに女人の前で涙など到底見せられぬ(苦笑)。私は死ぬことが恐いのか? 病死ではなく武士らしく戦場で死にたいとは思うが・・・元より乱世の折、我が身が命を落とすことあるのは覚悟がついている。なのにこの頬を伝う涙の訳は?
蛍殿、私は多分・・・・・・そなたが愛おしい。
「蛍殿、寝てしまったのか」
(こたつで寝ているホタルに布団をかけるはんべいさんです)
「ぶちょお殿、蛍殿に触れることをお許しください」
(そう言って布団から出ていた手をそっと布団に入れるはんべいさんです)
カチャカチャ カチャカチャ
少し寒くなってきた。マフラーというのは温かいものだ、まるで蛍殿のように温かくやわらかい(微笑)
*
蛍殿・・・蛍殿・・・
「ホタル、ホタル」
「はんべーさん!」
「ぶちょおだが・・・」
「あっぶちょおだ~! 帰りは明日の予定じゃ?」
「商談が上手くいって、丁度飛行機のキャンセルが出て1日早く帰れたんだ」
「そうだったんですか、お帰りなさい(笑顔)」
「うん、それはそうと家の中を見て驚いた!感動した! どこもかしこもピカピカじゃないか。君がこんなに綺麗に掃除してくれるなんて、しかも身重の身体で、大丈夫か?疲れてないか?」
「ええ、全然疲れてません、元気ですよ~」
でも私、いつの間に掃除したのかな? 頑張るホタルさんの妖精が出てきて掃除してくれたとか? まっいっか~。
「ところでホタル、はんべーさんて誰だ?」
「誰でしょう、なんか長い夢を見てた気がするんですが、思い出せなくて」
「夢か~夢は眼が覚めたら忘れるもんだからな。そうそう盲腸で入院してる専務が、おうちまで宅配・クリスマスディナーセットを譲ってくれたんだ。どうせ食べられないし、迷惑かけたからって。評判の宅配で美味いらしいぞ」
「わーい、楽しみです。明日はおうちでまったりと二人だけのクリスマスイブですね」
「そう、二人きりのクリスマス

「ですね

*
暗い・・・現代、いやここから言うと未来だな。未来の明るさに眼が慣れていたゆえ酷く暗く感じる。そして空気はひんやりと冷たく澄んでいる。戻ったのだな私は。
未来のように便利でも平和でもなく戦の絶えない世ではあるが、それでも私は私が生まれ育ったこの時代が愛おしい。
ここには大切な人がいる。 同士がいる。 心より仕えたい方がいる。
「必ず平和な世がくるから」
私も見て参りました。 お供致します・・・・・・塵積もの道を。
*
「メリークリスマス!」
「メリークリスマス!」
「これぶちょおへのクリスマスプレゼントです」
「いいね~あつらえたみたいにピッタリで俺の顔に映えるセーターじゃないか。凄く気にいったよ、ありがとうホタル」
「ネクタイもあるんですよ」
「うん、これもいい、ホタルにこんなセンスがあったとは」
「へへっ」
「これは俺からのクリスマスプレゼント」
「わぁ~素敵なセーター、ありがとう~ぶちょお。あっ初詣、お互いにプレゼントのセーター着て行きましょうよ」
「うん」
「美味しいですね~評判の宅配ディナー」
「ああ、来年の今頃はこんなまったりとしたクリスマスじゃないだろうな」
「賑やかでしょうね」
「うん(微笑)」
「私、今の日本に生まれて幸せだな~て思います」
「どうしたんだ、急に」
「なんとなく(^^;」
「景気は回復しないし、嫌な事件も多いけど、世界的に見ても日本は平和で安全な国だ」
「私たちは次の世代にそれをちゃんと渡していかなくちゃ駄目ですよね」
「ホタルがそういうことを言うようになったのは母親になるからかな」
「そうかも知れません」
「そういえば、はんべーさん」
「はんべーさんがどうかしました?」
「はんべーさんという知り合いはいないが、戦国時代に竹中半兵衛という武将がいて」
「へぇ~」
「今年大河ドラマでやっていた黒田勘兵衛と並んで両兵衛と呼ばれた戦国時代の天才軍師だ。ただ残念なことに36才の若さで亡くなってる」
「そんなに若くですか・・・」
「竹中半兵衛がもっと生きていたら歴史は少し変わっていたかも知れんな。半兵衛は殆ど欲というものがなくただ天下太平を願っていたそうだ。若くして亡くなった為に半兵衛に関する資料も少ないのだが数々の逸話がある。36才という若さで志半ばで死んだ竹中半兵衛は伝説になったのかも知れない」」
「ぶちょお、はんべーさんのこと好きでしょ?」
「うん、前に出張で岐阜に行ったとき、ちょっと足を延ばして竹中半兵衛ゆかりの地巡りをしてきたんだ。そこの資料館で小学校で校長先生をしているという人に半兵衛の話を沢山聞いて感銘を受けてすっかり半兵衛のファンになったんだ」
「そうなんだ」
「これが半兵衛の肖像画だけど、あれ?なんか首に巻いてる。前からそうだったかな」
「あらっ マフラーみたい」
「半兵衛は病弱だったから風邪をひかないように首になにか巻いていたのかもな」
「きっとこのマフラーの色はからし色ですよ」
「ん? 白黒の肖像画だけど」
「なんでだろ? 私にはからし色のマフラーが見えるんですよ」
「もしかしてホタルは夢の中で竹中半兵衛に会っていたのかもしれんな」
「そうかも~」
「俺も会いたかったな~竹中半兵衛に(笑)」
*
「メリークリスマス! はんべーさん、楽しんでる?」
「クシャン」
「はんべーさん、風邪?」
「いえ」
「身体大事にしてね、俺はんべーさん頼りにしてるんだから」
「はい、メリークリスマス信長様(微笑)」
「いいね~その笑顔 goodだよ(笑)」
愛しき我が時代と、愛しき未来に メリークリスマス

竹中半兵衛 天正7年6月13日 三木城陣中にて胸の病にて没す 享年36才 完
楽しんで頂けたなら幸いです。一言でも感想頂けるととても嬉しいです。
直人~VOICEありがとう~ほっこりしました。半兵衛さんに恋してた2ヶ月でした。素敵な半兵衛さんを演じてくれてありがとう~。
半兵衛さんの、あまりにも残念な最後に、怒りを通り越して、ただただ唖然としてました。
コメントを書く気もせず・・・。
やっぱりあのPさんは、信用できない!!
もうお仕事に呼ばないでほしいくらいです!!
でも、まりりんさんとVOICEのおかげで、ほっこりうれしいイブになりました。
かっこかわいいはんべいちゃん、楽しく読ませていただきました。ありがとうございました。
で、40肩・・・・ですって(^^)
君も年なんだねって、ちょっとうれしくなりました(ごめんよ)
私も一度経験しましたが、痛いんですよ。
お風呂で背中が洗えなくて、娘に洗ってもらったり。
注射とリハビリで治りましたが、彼にも無理をせずに本当にきちんと治してほしいです。
今年もあとわずか、いろいろ楽しいお話ありがとうございました。
また、いっぱい書いてくださいね。
そして素晴らしいストーリーをありがとうございました。
「私は病気で死ぬのだろうか…」
から、ずっと、泣けて仕方なかったです。
自然を愛するはんべーさん
戦のない世をつくるためにチリツモの道に帰っていくはんべーさん。
早世する定めを受け入れるはんべーさん。
わ~ん。
なんてよいお話。
テレビのなかでは語られなかった半兵衛さまの想いをまりりんさんに代わりに書いていただいてうれしいです。
半兵衛さん、短い人生を懸命にがんばったんだね。
まりりんさん、ありがとう~。
はんべーさん、可愛くてカッコ良くて切なくて…感動しちゃいました。
信コン見てからモヤモヤイライラしていたのですが晴れました\(^o^)/
電車の中で読んでいたのですがニヤニヤ怪しい人に…
私のようなモノにワクワク嬉しいなどと言っていただいて、ホント嬉しいです。
また楽しいお話し待ってますU+1F604
ありがとうございます。
天才軍師が現代に来たらどうなるのか・・・
とても面白かったです!
テレビで色々と学習しちゃう・・・ありえそうですね(笑)
現代で学んだことを、過去に戻ってもちゃんと何か実践していそうです。
あのお顔でスエットを着たらどうなるのかを想像したら、かなりニヤけてしまいました♪
サブローが現代から来たと分かった半兵衛さん、これはドラマでも描いてほしかったです!
そして平和な世に向けてもっと二人で「散積の道」の道を歩いて、共に奮闘してもらいたかったです・・・
あの第4話の散積の話の「その後」を後半にもっと繋げて描けばもっと感動的になったと思うのに、第4話で描いたっきりになって、本当に勿体なかったと思います。
ドラマのラストの事は忘れて、まりりんさんのお話を頭に残して、あの後もサブローと半兵衛は平和な世を目指して一層散積の道を共に突き進んでいるのだろうと思うようにします!
素敵なお話をありがとうございました!!
コラボ小説読んだら、また見たくなって4話見ちゃいました!キリッと凛々しい天才軍師半兵衛さん
まりりんさん、まだ、歩んでいるんですよね?信長と…
『塵積もの道』
ホタルちゃんももうすぐママに…ちょっとしんぱ~い!?
でも、隣にはいつもぶちょおがいるから安心ですね♪
あの、あっさりから数日…楽しく、切ない、素敵なお話ありがとうございました
かっこかわいいはんべいちゃんを楽しんんで頂けて嬉しいです。
ホントにあのPは信用できないというか、ちょっとどころかなにかが大きくずれてるんだと思います。
私は万年肩こりなんですが四十肩というのはなったことがないんですよ、へぇ~と意外でしたが、凄く親近感感じちゃいました(^^;
himachanさんもコメントありがとうございました。私がそそられる役をやる限り書くと思います。湧き上がる妄想を止められないので(笑)
はんべーさんのお話、傑作です!クリスマスプレゼントになりました!ありがとうございます。
楽しくて、でも奥が深いお話です。そしてその中に我地元の名前を入れていただいて、さらに嬉しかったです。
ぶちょおがこの地に出張で来ていたんですね~(笑)。
読んでtると、もう一度(違うスタッフさんのドラマで)半兵衛さんなお人さんにお目にかかりたくなりました。
大河ドラマあたりでやってくれないかな~?。映画でもいいや。
そういえば、第4話を思い出しました。あの回はまさに半兵衛さんの主役の回でしたよね。
あの時には、その後のいたりいなかったりの立ち位置など想像もせず…。
塵積の道を歩んでいる半兵衛さんを、心の中に大切にしていきたいです。
>半兵衛さん、短い人生を懸命にがんばったんだね。
そうだと思います。直人演じる半兵衛さんは、美しく賢く凛として清々しく控えめで嫋やかで、意思の強い澄んだ眼をして・・・・と言ったように沢山の形容詞が出てくる半兵衛さん、そんな半兵衛さんを見ていたら自然と出てくるお話でした。
半兵衛さんの想いを感じて頂けたならとても嬉しいです。
タイトルの「泣かせちゃいました」にヤッホー(こら)でした。
私も半兵衛さんを思って泣きながら書いていたんですが(^^;
>可愛くてカッコよくて切なくて。
これは中の人、藤木さんならではだと思います。感動して頂いて嬉しいです。
過去の作品巡りの旅、楽しんでますか~。気にいった作品や役があったらまた教えてくださいね。
今後ともよろしくです。
半兵衛さんは学習能力が高く、かつ柔軟性があって現代を楽しんでいたんだと思います。
スエットもそうですが、お風呂のシーンは想像しませんでしたか?emiさん(こらっ)凄く色っぽいというか綺麗な気がします(^^;
emiさんとこの感想読んで大きく頷いてました。塵積の道、いい話しだったのにあれっきりで残念でした。半兵衛さんはとてもいいキャラだったのに、それを上手く使わないPはやはりずれてますよね。
>あの後もサブローと半兵衛は平和な世を目指して一層散積の道を共に突き進んでいるのだろうと思うようにします!
はーい、絶対そうに違いないと思って書きました。