「てっちゃん!お見舞いにきたよ~風邪だいじょうぶ?」
「うん大丈夫だよ」
「じゃあ明日は一緒に幼稚園行こうね」
「幼稚園か~あんまり行きたくないな。。。」
「どうして?」
「だって友達いないしつまんないだもん」
「友達いないの?」
「僕って大人しいし、つまんないし・・・」
「真理はてっちゃんと遊ぶの楽しいよ、それにパパがいっていたよ、長い人生の中で幼稚園であったことぐらいでクヨクヨするなって(笑)別にいいじゃん!明日真理と遊ぼうよ」
「うん!」
ひとつ上の幼馴染の近所の真理ちゃんは元気で明るくて人気者で、僕はそんな真理ちゃんにくっついて歩くような引っ込み思案で大人しい男の子だった。
「凄いね~てっちゃんは勉強できるんだね!算数のテストなんか全部100点じゃん。えっ!これって学校のドリルと違うよ?」
「面白いんだ~算数の問題解くのって」
「数字が苦手な私には信じられない話だな~宿題やるのも嫌なのに、てっちゃんが私と同い年なら算数教えて貰えたのにな~」
「でもさ、算数できたって別にカッコよくないよ、それより明日の運動会、真理ちゃんはリレーの選手だって、カッコいいな~僕は又ビリから2番目ぐらいだろうな」
「てっちゃん、一緒に走る練習しようよ、最近凄く背が高くなったし頑張ればきっともっと早く走れるよ」
「そうかな~」
「走るときは手の振りが凄く大事なんだよ、こうやって真っ直ぐに思いっきり手を振るの、それからね・・・・」
「てっちゃん頑張れ~!やったー1位だ!」
自分でもびっくりした。一等賞なんて初めてだった。
「ありがとう、真理ちゃんと練習したからだよ」
「ううん、てっちゃんはやればできるんだよ、もっと自信もって!(笑)」
次の日・・・
「多田君て走るの早いんだね、一緒にサッカーやろうよ、僕のチームに入って!」
昼休みにクラスメイトが楽しそうにサッカーをやっているのを見ていて羨ましかった。
初めて昼休みに一緒にやったサッカーは凄く凄く楽しかった。
それから皆が多田君サッカーやろうよとか、算数教えてとか気軽に声を掛けてくれるようになった。
今日もサッカーをした。そして気が付くと校庭の端で真理ちゃんが手を振っていた。
「見て見て~中学校のセーラー服どう?なななかイカシテいるでしょ!」
「・・・うん」
「なんかそっけないな~昔は新しい洋服とか着ると真理ちゃん可愛いとか綺麗!とか言ってくれたのに~」
「それって幼稚園の頃の話じゃ。。。」
「素直で可愛かった多田哲也君もちょっぴり大人になっちゃったかな~(笑)」
まだランドセルを背負っている僕と比べてセーラー服を着た真理ちゃんは少し大人びて見えてとても眩しかった。
僕が中学生になったら真理ちゃんは2年生、僕が3年生になったら真理ちゃんは高校生。
一つしか違わなくても、この一つはなんて大きいんだろう。。。
中学になると勉強や部活が忙しくて前みたいに真理ちゃんと話すこともめっきり減っていた。
すっかり遅くなっちゃったな~あれっ?土手の下にいるのは真理ちゃん?
「真理ちゃん、どうしたの?こんなところで」
「あってっちゃん・・・ちょっとね」
「最近ここら辺で変質者が出るってお便り回ってたよね、女の子がこんな所にいたら駄目だよ、早く帰ろう」
「変質者が出たら私のこと守ってくれる?」
「うん、男だもん」
「嬉しいな~頼りになるてっちゃんがいるから、もう少しだけここにいてもいいかな?家に帰りたくないの・・・最近パパとママ喧嘩ばかりしているの」
真理ちゃんのこんな寂しそうな・・・泣きそうな顔は初めて見た。
僕たちは久しぶりにいろんなことを沢山沢山話した。
昔の思いで話をすると特に真理ちゃんは楽しそうに笑った。
いつもは聞き役の僕だけど真理ちゃんに笑って欲しくて笑って欲しくて。。。
ひたすら話し続けていた。
「真理ちゃんとこ離婚したそうよ、それで来週の日曜日に引越しするんですって、お母さんの実家に行くそうよ」
「そんな。。。」
そして引越しの日。。。
「真理ちゃん・・・これっ」
「なに?」
「餞別っていうのかな・・・お金無くてこんなものしか買えなかったけど」
「開けていい?わぁー凄く可愛いハンカチ!てっちゃんセンスあるじゃん!嬉しいな~凄く嬉しいな、ありがとう!」
「よかった喜んでもらえて」
「じゃあ私からはてっちゃんに贈る言葉行きま~す!てっちゃんは頭もいいしカッコいいんだからもっと自信もちなよ(笑)でも・・・やっぱてっちゃんはそのままでいいや、素直で真面目で不器用で凄く優しくて・・・私優しい人って強い人だと思うんだ。だからそのままのてっちゃんを好きになる人が沢山いるよ!てっちゃんと幼馴染で楽しかったよ、ありがとう!」
「僕も真理ちゃんと幼馴染で凄く楽しかった!」
「私・・・もう1年遅く生まれたかったな~そうすればてっちゃんと同い年だったのにな・・・そうすれば」
真理ちゃんは一瞬真顔でそう言った。
「真理、そろそろ行くわよ」
「はーい、じゃあね、てっちゃん元気でね!」
車が小さくなってから僕は走った。追いつくわけないのにただガムシャラに走った。
僕ももう1年早く生まれたかった。。。
そうすれば真理ちゃんと同い年になれたのに。。。
そうすれば・・・僕は君に好きだと言えただろうか。。。
今日、吉田礼さんにビシッと言われてしまった。
吉田さんは元気で明るくて、友達想いで誰からも好かれて、勝気なようで繊細なところもあって・・・何だか真理ちゃんに似ている(笑)
岩瀬君に「後悔しないように」なんて言ったけれど。。。
人生なんて後悔の連続なのかも知れない。。。
やり直せるものならやり直したい2週間の教育実習。
あのとき好きだと言えなかった不甲斐無い自分。。。
これからは・・・もうちょっと頑張って自分の人生歩いて行きたいと思った。 end
えーもし多田さんが礼と結婚できないのだとしたら、真理ちゃんと再開して結婚させたいと思います(笑)
大人になってからの一つの歳の差(女性が上という)は殆ど気にならないと思うんですが、これが学生となると大分違うと思うんですよ。
で、こんなお話書いてみました。モチーフは「一人だけあだ名で呼んでくれた幼馴染です」
てっちゃんは、あだ名って程のもんじゃないけど、なかなかこれというのが無かったです。
てっち(タッチかよ)というのも考えたけど笑ってしまうので止めました。
多田さんて可愛い~ですね、物足りないと書いたのは役の上であって(他にこんなのが見たいという)
個人的には大大好きです。又小説に書いちゃうと愛しさが倍増します(笑)
「うん大丈夫だよ」
「じゃあ明日は一緒に幼稚園行こうね」
「幼稚園か~あんまり行きたくないな。。。」
「どうして?」
「だって友達いないしつまんないだもん」
「友達いないの?」
「僕って大人しいし、つまんないし・・・」
「真理はてっちゃんと遊ぶの楽しいよ、それにパパがいっていたよ、長い人生の中で幼稚園であったことぐらいでクヨクヨするなって(笑)別にいいじゃん!明日真理と遊ぼうよ」
「うん!」
ひとつ上の幼馴染の近所の真理ちゃんは元気で明るくて人気者で、僕はそんな真理ちゃんにくっついて歩くような引っ込み思案で大人しい男の子だった。
「凄いね~てっちゃんは勉強できるんだね!算数のテストなんか全部100点じゃん。えっ!これって学校のドリルと違うよ?」
「面白いんだ~算数の問題解くのって」
「数字が苦手な私には信じられない話だな~宿題やるのも嫌なのに、てっちゃんが私と同い年なら算数教えて貰えたのにな~」
「でもさ、算数できたって別にカッコよくないよ、それより明日の運動会、真理ちゃんはリレーの選手だって、カッコいいな~僕は又ビリから2番目ぐらいだろうな」
「てっちゃん、一緒に走る練習しようよ、最近凄く背が高くなったし頑張ればきっともっと早く走れるよ」
「そうかな~」
「走るときは手の振りが凄く大事なんだよ、こうやって真っ直ぐに思いっきり手を振るの、それからね・・・・」
「てっちゃん頑張れ~!やったー1位だ!」
自分でもびっくりした。一等賞なんて初めてだった。
「ありがとう、真理ちゃんと練習したからだよ」
「ううん、てっちゃんはやればできるんだよ、もっと自信もって!(笑)」
次の日・・・
「多田君て走るの早いんだね、一緒にサッカーやろうよ、僕のチームに入って!」
昼休みにクラスメイトが楽しそうにサッカーをやっているのを見ていて羨ましかった。
初めて昼休みに一緒にやったサッカーは凄く凄く楽しかった。
それから皆が多田君サッカーやろうよとか、算数教えてとか気軽に声を掛けてくれるようになった。
今日もサッカーをした。そして気が付くと校庭の端で真理ちゃんが手を振っていた。
「見て見て~中学校のセーラー服どう?なななかイカシテいるでしょ!」
「・・・うん」
「なんかそっけないな~昔は新しい洋服とか着ると真理ちゃん可愛いとか綺麗!とか言ってくれたのに~」
「それって幼稚園の頃の話じゃ。。。」
「素直で可愛かった多田哲也君もちょっぴり大人になっちゃったかな~(笑)」
まだランドセルを背負っている僕と比べてセーラー服を着た真理ちゃんは少し大人びて見えてとても眩しかった。
僕が中学生になったら真理ちゃんは2年生、僕が3年生になったら真理ちゃんは高校生。
一つしか違わなくても、この一つはなんて大きいんだろう。。。
中学になると勉強や部活が忙しくて前みたいに真理ちゃんと話すこともめっきり減っていた。
すっかり遅くなっちゃったな~あれっ?土手の下にいるのは真理ちゃん?
「真理ちゃん、どうしたの?こんなところで」
「あってっちゃん・・・ちょっとね」
「最近ここら辺で変質者が出るってお便り回ってたよね、女の子がこんな所にいたら駄目だよ、早く帰ろう」
「変質者が出たら私のこと守ってくれる?」
「うん、男だもん」
「嬉しいな~頼りになるてっちゃんがいるから、もう少しだけここにいてもいいかな?家に帰りたくないの・・・最近パパとママ喧嘩ばかりしているの」
真理ちゃんのこんな寂しそうな・・・泣きそうな顔は初めて見た。
僕たちは久しぶりにいろんなことを沢山沢山話した。
昔の思いで話をすると特に真理ちゃんは楽しそうに笑った。
いつもは聞き役の僕だけど真理ちゃんに笑って欲しくて笑って欲しくて。。。
ひたすら話し続けていた。
「真理ちゃんとこ離婚したそうよ、それで来週の日曜日に引越しするんですって、お母さんの実家に行くそうよ」
「そんな。。。」
そして引越しの日。。。
「真理ちゃん・・・これっ」
「なに?」
「餞別っていうのかな・・・お金無くてこんなものしか買えなかったけど」
「開けていい?わぁー凄く可愛いハンカチ!てっちゃんセンスあるじゃん!嬉しいな~凄く嬉しいな、ありがとう!」
「よかった喜んでもらえて」
「じゃあ私からはてっちゃんに贈る言葉行きま~す!てっちゃんは頭もいいしカッコいいんだからもっと自信もちなよ(笑)でも・・・やっぱてっちゃんはそのままでいいや、素直で真面目で不器用で凄く優しくて・・・私優しい人って強い人だと思うんだ。だからそのままのてっちゃんを好きになる人が沢山いるよ!てっちゃんと幼馴染で楽しかったよ、ありがとう!」
「僕も真理ちゃんと幼馴染で凄く楽しかった!」
「私・・・もう1年遅く生まれたかったな~そうすればてっちゃんと同い年だったのにな・・・そうすれば」
真理ちゃんは一瞬真顔でそう言った。
「真理、そろそろ行くわよ」
「はーい、じゃあね、てっちゃん元気でね!」
車が小さくなってから僕は走った。追いつくわけないのにただガムシャラに走った。
僕ももう1年早く生まれたかった。。。
そうすれば真理ちゃんと同い年になれたのに。。。
そうすれば・・・僕は君に好きだと言えただろうか。。。
今日、吉田礼さんにビシッと言われてしまった。
吉田さんは元気で明るくて、友達想いで誰からも好かれて、勝気なようで繊細なところもあって・・・何だか真理ちゃんに似ている(笑)
岩瀬君に「後悔しないように」なんて言ったけれど。。。
人生なんて後悔の連続なのかも知れない。。。
やり直せるものならやり直したい2週間の教育実習。
あのとき好きだと言えなかった不甲斐無い自分。。。
これからは・・・もうちょっと頑張って自分の人生歩いて行きたいと思った。 end
えーもし多田さんが礼と結婚できないのだとしたら、真理ちゃんと再開して結婚させたいと思います(笑)
大人になってからの一つの歳の差(女性が上という)は殆ど気にならないと思うんですが、これが学生となると大分違うと思うんですよ。
で、こんなお話書いてみました。モチーフは「一人だけあだ名で呼んでくれた幼馴染です」
てっちゃんは、あだ名って程のもんじゃないけど、なかなかこれというのが無かったです。
てっち(タッチかよ)というのも考えたけど笑ってしまうので止めました。
多田さんて可愛い~ですね、物足りないと書いたのは役の上であって(他にこんなのが見たいという)
個人的には大大好きです。又小説に書いちゃうと愛しさが倍増します(笑)