「あ~なた~に~女の子の一番~大切なものをあげるわ~♪」
「ホタル!なんて歌うたってるんだ!」
「昨日昭和のヒット曲特集見てたらこのメロディが離れなくて、それに別に歌ったっていいじゃない」
「年頃の娘がいる家で歌う曲じゃない!」
そういうことか(^^;
「でももう光も大学生よ、高校生のときはそういうお付き合いはまだ早いから駄目よと言ったけど、今だったら避妊しない男は絶対にダメだから別れなさいってくらい言わなきゃ」
「あわ・・・わわゎ」
「ぶちょお~落ち着いて、そんなにあれやこれや想像しなくても大丈夫だから(笑)」
「だって、だって、やだもん!手塩にかけて育ててきたのにどこの馬の骨ともわからん男にって考えただけで眩暈起こして倒れそうだ」
「私たちが育てたんだから大丈夫、親を悲しませるようなことだけはしないから」
「そりゃそうだけどさ・・・ぶつぶつ。そういえば光は出かけたのか」
「舞ちゃんと映画に行くって言ってたわよ」
「忘れ物~」
「舞ちゃんと映画行くのにあんなにお洒落するのか、見たことない服着てたぞ」
「バイト代が入ったって言ってたから、女の子だもん、お洒落するわよ」
「うん、お洒落だな。気合入り過ぎてムームー着た誰かさんとは大違いだ(笑)」
「まだ覚えてたの~」
「忘れるわけないだろっ」
「私もぶちょおの雨合羽姿、鮮明に覚えてるもん(笑)」
「行ってきまーす」
「もう忘れものない?」
「うん」
*
「光太郎くん、NYに行くの?」
「なんかそういうことになっちゃって」
「そうなんだ・・・」
「光ちゃんと付き合うことになった矢先にこんなことになっちゃって凄く残念なんだけど、NYでやってみたいっていう気持ちもあって」
「うん、応援する」
「夏休みには帰ってくるから」
「うん」
やっと光太郎くんに会える!
「光太郎~!」
「えっ?」
「光太郎~会いたかったよー」抱きつく桜
「ちょっちょっなんでお母さんがここにいるんだよ!」
「ヘアメイクのの人が急病でこれなくなったから手伝って欲しいって頼まれたの」
なんでよりによって空港なんだよ。
「光太郎こそお昼の便じゃなかったの?」
嘘・・・誰あの人? てか光太郎くんて美魔女がタイプだったの?
帰ろう・・・
「光ちゃん? 光ちゃん、待って!」
「光太郎君・・・」
「えっなになに、こちら光太郎の彼女?」
「あの・・・」
「あっ私、光太郎の母の立花桜です」
「おっおっお母さんですか!?」
「あらっ私が若く見えるから誤解させちゃった?(笑)」
「自分で言うなよっ」
「私、高野光と言います」
「光ちゃんとゆっくり会いたくて午後の便なんて嘘ついたんだ~嘘はばれるのよっ」
「だって」
「彼女と会うって言えば私も遠慮したわよ(笑)じゃあ私仕事あるから、ねえ光ちゃん、今晩一緒に家でご飯食べない?」
「そうしようか」
「はい」
若いお母さんでびっくり・・・が、それ以上にビックリすることが立花家には待っていた(^^;
「こんにちは光ちゃん、光太郎の父親です」
「こっこっ こんにちは」
「こんな可愛い彼女がいるなんて、やるな光太郎」
雰囲気は違うけどパパにくりそつ! アンティークの小野さんといい、光太郎君のお父さんといい、パパは三つ子なの?
「光ちゃん、沢山食べてね」
「はいっ」
お姉さんの桜子さん、超美人だなー。
「すいか切ったよー」
「うん美味いっ やっぱ夏はスイカだな」
「日本は蒸し暑いよな」
「そうそう、ちょっと涼しくなる話があるんだけど」
「ん?」
「なになに~」
「友達が美容師なんだけど去年ずっと手が痛いって話をしていて。腱鞘炎?て思ったんだけど痛いのは左手でハサミは右手で持つから違うよねとか、スマホゲームのし過ぎかもって話をしていたんだけど、そしたらあるお客さんに手はまだ痛みますか?と聞かれてそうなんですと言ったら、実は前に来たときにも見えていたんですが・・・ついてますと言われて」
「なにが?(^^;」
「地縛霊なんですって、それでお払いできますが、とりあえず神社に行ってください。どうしても行けない場合はお払いしますからって言われて神社に行ったらすっと手が軽くなって痛みも取れたんですって。そういえば前旅行に行ったときに行こうと思っていた神社に何故かいけなくて、それはなんか気分が悪くなって足が向かなかったそうなんだけど、今回はよしっ行くぞっていう気持ちで行ったんだって」
「へぇー」
「なんでもその地縛霊は交通事故で死んだ女性の霊だそうよ。ほらっ隣町のドラックストアに行くのにトンネルの下の道路があるでしょ」
「うゎ~ もう絶対あそこ通るもんか」
「疲れてたり少し気力が落ちてたり、元々少し霊感があったりして、それでつかれたみたいで滅多にそういうことはないそうだけど」
「じゃあ大丈夫だ、霊感なんて一切ないし、なにも見たことも金縛りにあったこともないし」
「お父さん、どうしたの?」
「あれは少し蒸し暑い雨の降る夏の夜だった。閉店時間は過ぎていたけれど、大切な人に会いにいくからセットお願いできますからと言われてその女性の髪をセットした。洋服がずぶ濡れだったので店にある洋服と靴も貸した(買い取った)。ある日古い新聞や雑誌を整理してると新聞に載っていた事故で死んだ女性の顔があのときの女性にそっくりだったのに驚いたが他人の空似だと思って気にしなかった。だが夕方店に来た客に言われたんだ。先日店の前を通ったら店長が一人でハサミやくしを持って、ときには笑ったり、まるでそこにお客さんがいるかのようだったんですが、あれってパントマイムの練習でもしてたんですか?て」
「えー!? そんな話し聞いたの初耳だよ」
「あの後全身に寒気がして高熱が出て三日ほど寝込んで、ようやく熱が下がって・・・忘れていたというか、記憶から削除したんだと思う。でもお母さんの話を聞いて突然思い出した~!うわぁ~こわいぃぃ~」
今頃なんだよ ←冷静沈着な桜子さん(^^;
「ごめーん、私がこんな話するから、でも大丈夫だよ。私、その霊を見る人に言われたの、あなたほど気の力に満ちている人は霊の方から絶対に近寄らないって」
「さすが、金だ!」
「もう~光ちゃんの前でその呼び方やめてよ、私の旧制は遠山桜、それで遠山の金さんで金ていうのよ(笑)」
*
「賑やかというか煩い家族だろ(^^;」
「ううん、明るくて楽しくて素敵な家族」
「うん」
「金には笑ったけど、でもうちのママはパパのことぶちょおって言うのよ」
「部長?」
「昔ママの上司で部長だったんだって」
「へぇー」
「私たちの前では言わないけど、二人でいるときは漢字の部長じゃなくてひらがなでぶちょお~て呼んでるのよ(笑)」
「仲がいいんだね」
「光太郎君とこも」
「だな(笑)」
「今日は楽しかった~」
「僕も・・・ずっとずっと光ちゃんに会いたかった」
「私も・・・」
「光ちゃん」
出会ったり別れたり、再会して、そのすぐ後に別れがきて泣きながら一人佇んだ思い出の公園。そしてファーストキスもこの公園
あのお母さんと何度もキスしてそうだけど、私だって・・・私のファーストキスはパパだけど(^^;
でもやっぱり今日の光太郎くんとのキスが大切な大切なファーストキスだもん
*
「あ~な~たに~女の子の一番大切な~♪」
「ホタル!その歌を歌うなって言ったろ!」
「なんで?」
「ひっ 光だったのか、声も似るんだな(^^;」
「どうして歌っちゃいけないの?」
「えっいや・・・」
「へんなふうに考えるパパがやらしいのよっ」
やっやらしいって。。。
「あれっパパは?」
「縁側の端っこで小さくなってるけど」
「なにがあったのかな(^^;」
「どうしよう、パパに酷いこと言っちゃった・・・(かくかくしかじか)」
「そっか、それはパパ傷ついたわね」
「あやまってくる」
「ママが先にパパと話すから」
「うん・・・」
「ぶちょお」
「ホタル~どうしよう~光に嫌われちゃったよ(泣)」
「大好きなパパのことそんな簡単に嫌いになる訳ないでしょ(笑)」
「そうかな?」
「あったり前じゃない! でも光ももう子供じゃないから、もちろん私たちにとっては子供なんだけど、年頃の女の子なんだから親が干渉しちゃいけない部分もあると思うの」
「うん」
「ぶちょおは大きくて優しい人、私はいつもそんなぶちょおの大きな愛に包まれていたけど、娘のことになるとおろおろしちゃって小さいぞっ(笑)」
「だな(苦笑)しっかしホタルに説教される日がくるとは昔は想像もしなかったな」
「子供が母親を成長させてくれるんです~」
「そっか、そうだな(微笑)」
「それにどこぞの馬の骨じゃないわよ」
「えっ?」
「立花光太郎くんよ」
「あー光太郎くんか」
「再会して付き合うことになったんだけど光太郎君はNYに行ったから遠距離恋愛になっちゃったの」
「そっか、それは一分一秒でも一緒にいたいよな」
「女心わかってる~」
「三年間、一枚の葉書しかよこさなかった誰かさんとは大違いだ」
まだ根に持ってるのか(^^;
「パパ、ママ、はいっビール」
「サンキュー」
「パパ、さっきはごめんね」
「いいよ(微笑)パパにも反省すべき点があるからな」
「私も飲もう~と」
「えっーーー」
「これ、ノンアルコールだから。来年の夏は20歳になるから一緒に飲めるね」
「だな」
「縁側でビールにずっと憧れてたの、正しくは縁側でビールを飲むパパとママにね」
「えっ?」
「そこは二人の世界で子供心に邪魔しちゃいけないなって思ってたの」
「なんか恥ずかしい」
「私はそんなパパとママの娘で幸せです」
「光(ウルウル)」
「こないだ光太郎君ちでご馳走になったんでしょ、今度はうちで一緒にご飯食べよう、ママが腕を振るうから」
「はっ?どこにあるんだ~そんな腕?(笑) そこはパパが腕を振るうからな」
*
「さあ沢山食べて」
「はいっ 凄く美味しいです! お母さんは料理上手なんですね」
「違うよ、料理はパパの担当なんだ」
「あっ そうなんですね」
なにより一番びっくりなのは親父とそっくりだってこと、そっくりというレベルじゃない。同じ顔が二つだ(^^;
「光太郎君のお父さんとパパってそっくりなんだよ」
「ええ、生き別れた双子かと思うくらいです」
「アンティークの小野さんも入れたら三つ子だから(笑)」
「光太郎くんはお父さんとお母さんのどっちに似てるの?」
「両方に似てるって言われます」
「じゃあパパにも似てるってことだね、ふとした表情がパパに似てるもんね。だから光太郎君のこと好きになったの?(笑)」
「違うっ!それは違うから!」
「お姉ちゃん、そんな全力で否定するとまたパパがすねるよ(^^;」
「誠君はお父さん似だね、僕に弟がいたらこんな感じかなって」
「光太郎くんのお姉さんは超美人でお母さんも綺麗で美形家族なんだよ」
「光ちゃんちも美形家族だよ」
お互いの家族を褒め合う二人です。こんな感じでなかなか二人きりにはなれません。
*
「二週間なんてあっという間だったね」
「うん、早かったね。もう少し一緒にいたかったな」
「うん、2人でもっといろんなところに行きたかったし、いろんなことしたかった」
「いろんなことって?」
「あっ・・・いや、変な意味じゃなくて(汗)」
「私、バイト代貯めて来年の夏休みはNYに行く」
「本当に? 嬉しいな~二人きりだね」
「うん、光太郎君と二人のNYだよ」
燃え上がる若い二人の恋です
が・・・
「ぶちょおはNYに行ったことある?」
「昔仕事で行ったけど仕事メインで全然観光とか出来なかった」
「摩天楼はバラ色にごっこやりたいな」
「いいね~じゃあ来年の家族旅行はNYにするか、光、喜ぶだろうな」
「そうね!」
「ねえねえ来年はみんなでNYに行こうよ」
「そうだな、久々に行こうか」
「そうだ、光ちゃんも誘って」
「うん、光太郎も喜ぶだろうな」
だから~二人きりになりたいんです~。子の心、親知らず。親の心、子知らずなのでした。 おしまい。
楽しんで頂けたなら幸いです
因みに美容師さんがとりつかれたというのは本当にあった怖い話なんです
私がいつも行く美容室の店長さんの実体験なのでした。その霊が見えるという方は普通と違う自分が嫌だったけれど、大人になってから誰かの役にたてるならばと思い京都のとあるお寺に修行に行ったそうです。ご主人はお払いをする能力があるそうですが普段は会社員で夫婦ともお金を貰うことはなく人助けになるならと純粋な気持ちで求められればやるそうです。見えてもいきなり取りついてますよなんていうと驚くし気持ち悪いだろうから、余程のことがない場合は見えても言わないそうです。病院に行ってもなにしても治らない、困ってる、SOSが出てると手を差し伸べるそうです。店長さんは今年の初詣行きまくったそうです。なにはなくても神社に行って手を合わせることは大事なことなんですね。その奥さんは京都の方でご主人は九州の方で、どういう縁があって福井で暮らしているのかはわかりませんが、その能力を清い心で使ってくださることは有り難いことだなと思います。知人の務める会社の社長が自殺するのが見えたけど、だからといってそんなことは言えないとのこと。そうですよね。そういう能力があるのって生きるのが大変だな~としみじみ思いました。それと化学では証明できないこともこの世にはあるんですね。夏らしいお話になったでしょうか、もうすぐ夏も終わりますが(^^; なんとか8月中に書けました。感想等頂けたならとても嬉しいです。
「ホタル!なんて歌うたってるんだ!」
「昨日昭和のヒット曲特集見てたらこのメロディが離れなくて、それに別に歌ったっていいじゃない」
「年頃の娘がいる家で歌う曲じゃない!」
そういうことか(^^;
「でももう光も大学生よ、高校生のときはそういうお付き合いはまだ早いから駄目よと言ったけど、今だったら避妊しない男は絶対にダメだから別れなさいってくらい言わなきゃ」
「あわ・・・わわゎ」
「ぶちょお~落ち着いて、そんなにあれやこれや想像しなくても大丈夫だから(笑)」
「だって、だって、やだもん!手塩にかけて育ててきたのにどこの馬の骨ともわからん男にって考えただけで眩暈起こして倒れそうだ」
「私たちが育てたんだから大丈夫、親を悲しませるようなことだけはしないから」
「そりゃそうだけどさ・・・ぶつぶつ。そういえば光は出かけたのか」
「舞ちゃんと映画に行くって言ってたわよ」
「忘れ物~」
「舞ちゃんと映画行くのにあんなにお洒落するのか、見たことない服着てたぞ」
「バイト代が入ったって言ってたから、女の子だもん、お洒落するわよ」
「うん、お洒落だな。気合入り過ぎてムームー着た誰かさんとは大違いだ(笑)」
「まだ覚えてたの~」
「忘れるわけないだろっ」
「私もぶちょおの雨合羽姿、鮮明に覚えてるもん(笑)」
「行ってきまーす」
「もう忘れものない?」
「うん」
*
「光太郎くん、NYに行くの?」
「なんかそういうことになっちゃって」
「そうなんだ・・・」
「光ちゃんと付き合うことになった矢先にこんなことになっちゃって凄く残念なんだけど、NYでやってみたいっていう気持ちもあって」
「うん、応援する」
「夏休みには帰ってくるから」
「うん」
やっと光太郎くんに会える!
「光太郎~!」
「えっ?」
「光太郎~会いたかったよー」抱きつく桜
「ちょっちょっなんでお母さんがここにいるんだよ!」
「ヘアメイクのの人が急病でこれなくなったから手伝って欲しいって頼まれたの」
なんでよりによって空港なんだよ。
「光太郎こそお昼の便じゃなかったの?」
嘘・・・誰あの人? てか光太郎くんて美魔女がタイプだったの?

「光ちゃん? 光ちゃん、待って!」
「光太郎君・・・」
「えっなになに、こちら光太郎の彼女?」
「あの・・・」
「あっ私、光太郎の母の立花桜です」
「おっおっお母さんですか!?」
「あらっ私が若く見えるから誤解させちゃった?(笑)」
「自分で言うなよっ」
「私、高野光と言います」
「光ちゃんとゆっくり会いたくて午後の便なんて嘘ついたんだ~嘘はばれるのよっ」
「だって」
「彼女と会うって言えば私も遠慮したわよ(笑)じゃあ私仕事あるから、ねえ光ちゃん、今晩一緒に家でご飯食べない?」
「そうしようか」
「はい」
若いお母さんでびっくり・・・が、それ以上にビックリすることが立花家には待っていた(^^;
「こんにちは光ちゃん、光太郎の父親です」
「こっこっ こんにちは」
「こんな可愛い彼女がいるなんて、やるな光太郎」
雰囲気は違うけどパパにくりそつ! アンティークの小野さんといい、光太郎君のお父さんといい、パパは三つ子なの?

「光ちゃん、沢山食べてね」
「はいっ」
お姉さんの桜子さん、超美人だなー。
「すいか切ったよー」
「うん美味いっ やっぱ夏はスイカだな」
「日本は蒸し暑いよな」
「そうそう、ちょっと涼しくなる話があるんだけど」
「ん?」
「なになに~」
「友達が美容師なんだけど去年ずっと手が痛いって話をしていて。腱鞘炎?て思ったんだけど痛いのは左手でハサミは右手で持つから違うよねとか、スマホゲームのし過ぎかもって話をしていたんだけど、そしたらあるお客さんに手はまだ痛みますか?と聞かれてそうなんですと言ったら、実は前に来たときにも見えていたんですが・・・ついてますと言われて」
「なにが?(^^;」
「地縛霊なんですって、それでお払いできますが、とりあえず神社に行ってください。どうしても行けない場合はお払いしますからって言われて神社に行ったらすっと手が軽くなって痛みも取れたんですって。そういえば前旅行に行ったときに行こうと思っていた神社に何故かいけなくて、それはなんか気分が悪くなって足が向かなかったそうなんだけど、今回はよしっ行くぞっていう気持ちで行ったんだって」
「へぇー」
「なんでもその地縛霊は交通事故で死んだ女性の霊だそうよ。ほらっ隣町のドラックストアに行くのにトンネルの下の道路があるでしょ」
「うゎ~ もう絶対あそこ通るもんか」
「疲れてたり少し気力が落ちてたり、元々少し霊感があったりして、それでつかれたみたいで滅多にそういうことはないそうだけど」
「じゃあ大丈夫だ、霊感なんて一切ないし、なにも見たことも金縛りにあったこともないし」
「お父さん、どうしたの?」
「あれは少し蒸し暑い雨の降る夏の夜だった。閉店時間は過ぎていたけれど、大切な人に会いにいくからセットお願いできますからと言われてその女性の髪をセットした。洋服がずぶ濡れだったので店にある洋服と靴も貸した(買い取った)。ある日古い新聞や雑誌を整理してると新聞に載っていた事故で死んだ女性の顔があのときの女性にそっくりだったのに驚いたが他人の空似だと思って気にしなかった。だが夕方店に来た客に言われたんだ。先日店の前を通ったら店長が一人でハサミやくしを持って、ときには笑ったり、まるでそこにお客さんがいるかのようだったんですが、あれってパントマイムの練習でもしてたんですか?て」
「えー!? そんな話し聞いたの初耳だよ」
「あの後全身に寒気がして高熱が出て三日ほど寝込んで、ようやく熱が下がって・・・忘れていたというか、記憶から削除したんだと思う。でもお母さんの話を聞いて突然思い出した~!うわぁ~こわいぃぃ~」
今頃なんだよ ←冷静沈着な桜子さん(^^;
「ごめーん、私がこんな話するから、でも大丈夫だよ。私、その霊を見る人に言われたの、あなたほど気の力に満ちている人は霊の方から絶対に近寄らないって」
「さすが、金だ!」
「もう~光ちゃんの前でその呼び方やめてよ、私の旧制は遠山桜、それで遠山の金さんで金ていうのよ(笑)」
*
「賑やかというか煩い家族だろ(^^;」
「ううん、明るくて楽しくて素敵な家族」
「うん」
「金には笑ったけど、でもうちのママはパパのことぶちょおって言うのよ」
「部長?」
「昔ママの上司で部長だったんだって」
「へぇー」
「私たちの前では言わないけど、二人でいるときは漢字の部長じゃなくてひらがなでぶちょお~て呼んでるのよ(笑)」
「仲がいいんだね」
「光太郎君とこも」
「だな(笑)」
「今日は楽しかった~」
「僕も・・・ずっとずっと光ちゃんに会いたかった」
「私も・・・」
「光ちゃん」
出会ったり別れたり、再会して、そのすぐ後に別れがきて泣きながら一人佇んだ思い出の公園。そしてファーストキスもこの公園

あのお母さんと何度もキスしてそうだけど、私だって・・・私のファーストキスはパパだけど(^^;
でもやっぱり今日の光太郎くんとのキスが大切な大切なファーストキスだもん

*
「あ~な~たに~女の子の一番大切な~♪」
「ホタル!その歌を歌うなって言ったろ!」
「なんで?」
「ひっ 光だったのか、声も似るんだな(^^;」
「どうして歌っちゃいけないの?」
「えっいや・・・」
「へんなふうに考えるパパがやらしいのよっ」
やっやらしいって。。。

「あれっパパは?」
「縁側の端っこで小さくなってるけど」
「なにがあったのかな(^^;」
「どうしよう、パパに酷いこと言っちゃった・・・(かくかくしかじか)」
「そっか、それはパパ傷ついたわね」
「あやまってくる」
「ママが先にパパと話すから」
「うん・・・」
「ぶちょお」
「ホタル~どうしよう~光に嫌われちゃったよ(泣)」
「大好きなパパのことそんな簡単に嫌いになる訳ないでしょ(笑)」
「そうかな?」
「あったり前じゃない! でも光ももう子供じゃないから、もちろん私たちにとっては子供なんだけど、年頃の女の子なんだから親が干渉しちゃいけない部分もあると思うの」
「うん」
「ぶちょおは大きくて優しい人、私はいつもそんなぶちょおの大きな愛に包まれていたけど、娘のことになるとおろおろしちゃって小さいぞっ(笑)」
「だな(苦笑)しっかしホタルに説教される日がくるとは昔は想像もしなかったな」
「子供が母親を成長させてくれるんです~」
「そっか、そうだな(微笑)」
「それにどこぞの馬の骨じゃないわよ」
「えっ?」
「立花光太郎くんよ」
「あー光太郎くんか」
「再会して付き合うことになったんだけど光太郎君はNYに行ったから遠距離恋愛になっちゃったの」
「そっか、それは一分一秒でも一緒にいたいよな」
「女心わかってる~」
「三年間、一枚の葉書しかよこさなかった誰かさんとは大違いだ」
まだ根に持ってるのか(^^;
「パパ、ママ、はいっビール」
「サンキュー」
「パパ、さっきはごめんね」
「いいよ(微笑)パパにも反省すべき点があるからな」
「私も飲もう~と」
「えっーーー」
「これ、ノンアルコールだから。来年の夏は20歳になるから一緒に飲めるね」
「だな」
「縁側でビールにずっと憧れてたの、正しくは縁側でビールを飲むパパとママにね」
「えっ?」
「そこは二人の世界で子供心に邪魔しちゃいけないなって思ってたの」
「なんか恥ずかしい」
「私はそんなパパとママの娘で幸せです」
「光(ウルウル)」
「こないだ光太郎君ちでご馳走になったんでしょ、今度はうちで一緒にご飯食べよう、ママが腕を振るうから」
「はっ?どこにあるんだ~そんな腕?(笑) そこはパパが腕を振るうからな」
*
「さあ沢山食べて」
「はいっ 凄く美味しいです! お母さんは料理上手なんですね」
「違うよ、料理はパパの担当なんだ」
「あっ そうなんですね」
なにより一番びっくりなのは親父とそっくりだってこと、そっくりというレベルじゃない。同じ顔が二つだ(^^;
「光太郎君のお父さんとパパってそっくりなんだよ」
「ええ、生き別れた双子かと思うくらいです」
「アンティークの小野さんも入れたら三つ子だから(笑)」
「光太郎くんはお父さんとお母さんのどっちに似てるの?」
「両方に似てるって言われます」
「じゃあパパにも似てるってことだね、ふとした表情がパパに似てるもんね。だから光太郎君のこと好きになったの?(笑)」
「違うっ!それは違うから!」
「お姉ちゃん、そんな全力で否定するとまたパパがすねるよ(^^;」
「誠君はお父さん似だね、僕に弟がいたらこんな感じかなって」
「光太郎くんのお姉さんは超美人でお母さんも綺麗で美形家族なんだよ」
「光ちゃんちも美形家族だよ」
お互いの家族を褒め合う二人です。こんな感じでなかなか二人きりにはなれません。
*
「二週間なんてあっという間だったね」
「うん、早かったね。もう少し一緒にいたかったな」
「うん、2人でもっといろんなところに行きたかったし、いろんなことしたかった」
「いろんなことって?」
「あっ・・・いや、変な意味じゃなくて(汗)」
「私、バイト代貯めて来年の夏休みはNYに行く」
「本当に? 嬉しいな~二人きりだね」
「うん、光太郎君と二人のNYだよ」
燃え上がる若い二人の恋です

が・・・
「ぶちょおはNYに行ったことある?」
「昔仕事で行ったけど仕事メインで全然観光とか出来なかった」
「摩天楼はバラ色にごっこやりたいな」
「いいね~じゃあ来年の家族旅行はNYにするか、光、喜ぶだろうな」
「そうね!」
「ねえねえ来年はみんなでNYに行こうよ」
「そうだな、久々に行こうか」
「そうだ、光ちゃんも誘って」
「うん、光太郎も喜ぶだろうな」
だから~二人きりになりたいんです~。子の心、親知らず。親の心、子知らずなのでした。 おしまい。
楽しんで頂けたなら幸いです

因みに美容師さんがとりつかれたというのは本当にあった怖い話なんです

私がいつも行く美容室の店長さんの実体験なのでした。その霊が見えるという方は普通と違う自分が嫌だったけれど、大人になってから誰かの役にたてるならばと思い京都のとあるお寺に修行に行ったそうです。ご主人はお払いをする能力があるそうですが普段は会社員で夫婦ともお金を貰うことはなく人助けになるならと純粋な気持ちで求められればやるそうです。見えてもいきなり取りついてますよなんていうと驚くし気持ち悪いだろうから、余程のことがない場合は見えても言わないそうです。病院に行ってもなにしても治らない、困ってる、SOSが出てると手を差し伸べるそうです。店長さんは今年の初詣行きまくったそうです。なにはなくても神社に行って手を合わせることは大事なことなんですね。その奥さんは京都の方でご主人は九州の方で、どういう縁があって福井で暮らしているのかはわかりませんが、その能力を清い心で使ってくださることは有り難いことだなと思います。知人の務める会社の社長が自殺するのが見えたけど、だからといってそんなことは言えないとのこと。そうですよね。そういう能力があるのって生きるのが大変だな~としみじみ思いました。それと化学では証明できないこともこの世にはあるんですね。夏らしいお話になったでしょうか、もうすぐ夏も終わりますが(^^; なんとか8月中に書けました。感想等頂けたならとても嬉しいです。