読書など徒然に

歴史、宗教、言語などの随筆を読み、そのなかで発見した事を書き留めておく自分流の読書メモ。

士について

2007-06-10 09:55:47 | Weblog

司馬遼太郎が「士という文字は男性器を象ったものと聴いた事がある。」と書いていた記憶が有った。調べて見ると、士は鉞の刃部を下に置いた形でその大きいものは王で共にその身分を示す儀器を表すと白川静の「字通」にあった。さらに「説文解字」では「数は一に始まり十に終わる。一と十に従う。孔子曰く、十を推して一い合するを士と為す。」と孔子説を採っているがそれは当時の俗説に過ぎないとも説明が有った。士は戦士階級、卿は廷礼の執行者、大夫は農夫の管理者でこの三者が古代の治者階級を構成したとも。ついでながら中国紀元前の書「国語」に士農工商の語が既に見られ、この四民の区分は上下の区分ではなく民の区別に過ぎず、士はこの頃は武士を意味するものでもなく読書階級を言ったらしい。役人、学徳の立派な者、男子の通称、女子の美称の意味だそうだ。