丘の木立の片隅の、ひっそりと立ちし木片の
影も今はなく
ミンミンゼミのせわしく鳴く御坊の墓道を、幼な心は転がり転がり駆け下りる
墓石ヲ立テモクレンコノ俺(オイ)ヲ、
ドウカ恨マンデクレ
あれからもう幾歳月が過ぎたというに
昼なお暗き西願寺の御堂の裏つ方に、十数個ほど骨坪の白い包みがあって
その中の真新しきが寂しがり屋の親父
墓参リニモ滅多ニ帰レンコノ俺(オイ)ヲ、
ドウカ恨マンジクレ
台風対策の突っ張りと木片残る草茫々の吹きっ晒しのぼくの廃屋
今ハ生キットル者(モン)が先イ
ドバンシテ生キッカ、考エンバナラン
一体ぼくたちの生活はというと、あれから良くなったというのかどうか
一体良くなるとはどういうことを言うのかどうか
間違ウコトノナカ真ッスグノ道ヲ、
親父ヲ超エテ行ッテルかドウカ
=濱田龍郎自薦詩集=
影も今はなく
ミンミンゼミのせわしく鳴く御坊の墓道を、幼な心は転がり転がり駆け下りる
墓石ヲ立テモクレンコノ俺(オイ)ヲ、
ドウカ恨マンデクレ
あれからもう幾歳月が過ぎたというに
昼なお暗き西願寺の御堂の裏つ方に、十数個ほど骨坪の白い包みがあって
その中の真新しきが寂しがり屋の親父
墓参リニモ滅多ニ帰レンコノ俺(オイ)ヲ、
ドウカ恨マンジクレ
台風対策の突っ張りと木片残る草茫々の吹きっ晒しのぼくの廃屋
今ハ生キットル者(モン)が先イ
ドバンシテ生キッカ、考エンバナラン
一体ぼくたちの生活はというと、あれから良くなったというのかどうか
一体良くなるとはどういうことを言うのかどうか
間違ウコトノナカ真ッスグノ道ヲ、
親父ヲ超エテ行ッテルかドウカ
=濱田龍郎自薦詩集=