北の旅人

旅行や、ちょっといい話などを。そして、時には言いたいことを、ひとこと。

「1956」ー14歳の心象風景⑫

2009-07-17 10:40:58 | Weblog

<作文>

       思い出のお姉さん

                 (N・Y)

私のお姉さんは今から6、7年前に亡くなりました。私はお姉さんのアルバムを見ていると、優しかったお姉さんの生きていた頃が、今更の様に浮び出て来るのです。

一緒に山にブドウ取りに言ったり、苺取りに言った事などが、思い出されるのです。 何故、あんなに優しかったお姉さんが、死んでしまったのでしょうか。私は諦めきれませんでした。しかし、それがお姉さんの運命なのだと思うと、諦めるほかはありません。

ある夜、私は理科の宿題を出されたので、空を見ると鱗の様な星が輝いていました。ふと又、お姉さんの思い出が瞼に浮かんで来るのです。そうだわ、お姉さんの死んだ夜も、この様に星の綺麗な夜だったわ。そして北斗七星が北の空で、キラキラと輝いていたのでした。

私のお姉さん、何故あんなに若かったのに早く死んでしまったの?いくらそれが運命といっても、あまり短かい一生なのではないでしょうか。可愛そうなお姉さん…… もうこの世にはいないお姉さん。いくら会いたくても、もう二度と会えないお姉さん。私はただ星ばかりを見つめているのでした。

そして、この間亡くなった様な感じなのに、もう6年もたっているのでした。 その時、ふと又、自分にかえり、宿題について考えていました。いつの間にか、あの瞬いていた星はどこへやら、空には灰色の雲が空一面におおいかぶさっていました。そして雲は、ただぐんぐんと流れていました。

もう夜の9時頃、家の人達はもう皆眠りに入っていました。弟の歯ぎしりする音が、いかにも寒時を現わしていた。

       ☆         ☆

私は6人兄弟姉妹だったが、姉二人が近隣の町に次々と嫁いで行き、兄が進学で上京、弟、妹と3人になった頃は、しばらくの間、やっぱり寂しいものだった。ましてや、亡くなったということになれば……

親も多分、6人の子どもたちが皆な独立して家を出て行った時は、嬉しい半面ほんとうに寂しかったんだろうなと今になって良く分かる。一人息子が進学、就職して別々に暮らすようになっただけでも、寂しいのを実感しているのだから。