北の旅人

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「1956」-14歳の心象風景⑩

2009-07-15 20:09:15 | Weblog

<作文>

       「私は木である」

                (S・T)

私は雨の日も風の日も長い間にそだった木である。私の年はもう160年もたった老木である。

私は、ついに木こりの手によって、私の命はもうこの世界から消えてしまうのだろう。あのあつい火の中にくべられたりして、苦しんでいるのを思いうかべてみただけで私はおそろしい。

私は人間と言うものは「万物の霊長」とゆうのであって、ほんとうに私達の生活をこわす、もうじゅうであるように思う。私達が無いと人間はほんとうに困るのであると思うのでありますが、私も何年も命をつないで来たので、一生が終わるまで、いきていたいのに私はもう町につくまでの命だな―とおもいました。

 私の思いも知らないで、私が苦しんでいるのは人間の心にはわからないだろう。私は木に育って本当に不幸であった。

       ☆        ☆

あの時代に、人間と自然という、まさに現代的なテーマについて取り上げていることに驚いた。同時に、10代の若者の感性の鋭さにも凄いなーと思った。

私たちの町は林業が盛んだったので、森林で伐採され製材などに姿を変えていくという風景を日常的に目にしていたので、このような視点で人間と自然の関わりを捉えていたのだろう。

先日、ふるさとに帰って、50年ほど前に植林した山一帯を見たが、やっと当時のような森林に戻ったのかなと感じた。貴重な自然を守ることの大切さを改めて思った。