北の旅人

旅行や、ちょっといい話などを。そして、時には言いたいことを、ひとこと。

日本の「おもてなし」のこと

2016-04-10 13:04:00 | Weblog

文藝春秋4月~5月号に掲載されている塩野七生さんの、日本人の「おもてなし」についての提言は、多くの示唆に富んでいる。イタリアで暮らしている塩野さんが、外から見た日本の観光について、誰でもできる「おもてなし」について語っている。

特に、友人や家族など小さなグループの外国人観光客への接し方についてだ。これらの観光客は、知的好奇心が強く日本を知りたいと思っている人たちだという。その人たちに、「ありがとう」「どうぞ」「どういたしまして」と、日本語で話し、その時には「ニコッ」とすることが大切だと。気持ちが通じ合うからだ。

1987年10月、ソ連時代のロシアに友人3人と10日間の個人旅行をしたことがある。「ハラショー」(素晴らしい)しか知らなかったが、すぐに「スパスィーバ」(ありがとう)、「パジャールスタ」(どうぞ、どういたしまして」という言葉を覚えた。旅行中、分からないことが多く、ホテル、空港、列車などで尋ねたときには、これらを連発したが、確かに笑顔が返ってきた。塩野さんの指摘は、まさに「おもてなし」の原点だと思う。

こんな大胆な提言もしている。
温泉について。アメリカ人もヨーロッパ人も、人前で裸になって温泉に入ることには抵抗を感じる人が多いのだという。イタリアでは、水着を着て入浴する。そこで、日本の素晴らしい温泉を楽しんでもらうために、30分予約制とし、彼ら専用にしてはどうかと。

もう一つ、旅館の夕食について。これを全廃してはどうかという大胆な提案も。旅館側にしてみれば、売りの一つになっているが、品数も、量も多く、もったいないと感じる外国人も多いのではないかと推測している。廃止することによって、板前の費用がなくなるので宿泊料金を安く出来るのではないかと語る。そして、夕食は、周辺の居酒屋や小料理屋をネットワーク化し、客の好みに応じて紹介する。そうすることで、地域の活性化にもつながる。ただし、日本の朝食は、よく考えて作られているので旅館で食べてもらう。

ただ、旅館にとっては、一大改革とも言えるもので、そう簡単なものではないだろう。旅館周辺に、ネットワーク化できる環境がなければ出来ない相談でもある。

たまたま、時を同じくして日本の「おもてなし」について、外国人が書いた本も読んでみた。イギリス人で日本生活25年のデビッド・アトキンソンさんの「新・観光立国論」だ。日本人が良いと思う「おもてなし」が、外国では必ずしも高く評価されていないというのだ。サービスの押しつけ、堅苦しい、臨機応変が利かないなどだ。以前、北陸を旅行した際、5つ星の人気旅館で部屋食を頂いたが、女性が付きっ切りだったので、気疲れした。

「おもてなし」の心は大事だが、2015年に1974万人だった訪日観光客を2020年には4000万人とする観光立国を目指す以上、これらの指摘を踏まえつつ、今一度、見直してみる必要があるのではないか。

 




民進党・山尾志桜里政調会長の政治資金収支報告書のこと

2016-04-08 14:58:23 | Weblog

1年間に地球5周分ともいわれる、230万円ものガソリン代を、政治資金収支報告書に記載していたことが明らかになった民進党の山尾志桜里政調会長。「保育所問題」で一躍脚光を浴び、今夏の参院選対策の目玉と言われたのもつかの間、あっという間に馬脚を現わした。先日の記者会見を聞いていると、問題発覚後、元秘書と一度も連絡も取っておらず、明快な説明はなされていない。
 
山尾氏は、1月に金銭授受問題(URに関する斡旋利得法違反容疑で捜査を受けている)で辞任した甘利明前経済再生担当大臣を猛批判しており、今度は自らが言動の整合性を問われることになった。元検事らしく、納得出来る説明責任を果たさなければならない。

それにしても、「政治とカネ」の問題が次から次へと明らかになり、ただ呆れるばかりだ。政治資金を後援会の観劇会や、肉体改造のためのジム通いの費用に使う国会議員。ウソの日帰り出張を繰り返していた県議等々。「信なくば立たず」という言葉があるが、国民との信頼関係がなければ、良い政治ができるはずはない。政治家は、何よりも、その政治姿勢が大事なのだ。

「為政清明」(いせいせいめい)=政治を行うものは清らかでなければならない。明治維新・三傑の一人、大久保利通(薩摩藩士)が好んで使った言葉だ。大久保は私財を投じ、国家のために全てを捧げた清廉潔白の政治家と評される。
そのため、晩年には8000円もの借金があったという。

また、「板垣死すとも自由は死なず」で知られる板垣退助(土佐藩士)は、家屋敷を売り払い、私財を投げ打って自由民権運動に身を投じたため、晩年は金銭的に困窮していたと伝えられている。寄付金などを受け取らず、東京の自宅は借家で、支払が滞るほど質素な生活をしていた。板垣が亡くなった際、宮中からのご下賜金で、やっと葬儀を行うことが出来たというほどだ。それ故、大久保にしろ、板垣にしろ国民の人気は大変高かったという。今の政治家諸氏も、まず、こうした先人たちの、政治家としての在りようを少しは見習ってほしいものだ。

夏の参院選から、18歳以上にも選挙権が与えられる。有権者の意識というものも大きく変わる可能性がある。若者たちに対しても恥ずかしくない政治を行わなければならない。でなければ、大きなしっぺ返しを食らうだろう。

 


豊平峡温泉(札幌)の名物「カレーナン」

2016-04-07 14:56:28 | Weblog

 

正真正銘100%源泉かけ流しの日帰り温泉で知られる、北海道札幌市の定山渓温泉にある「豊平峡温泉」。泉質、湯温、美味しい「カレーナン」などが楽しめる大好きな温泉だ。今までも書いたことがあるが、改めて感じたこと、知ったことを紹介しておきたい。特に、「カレーナン」についてだ。

この温泉オリジナルブレンドによる生地と現地スタッフの職人技での焼き上げが、他店のナンとは大きな違いとなり、外側はパリパリで、内側はしっとりという独特の食感を出している。日本のカレーライスとは違い、40数種類のスパイスを使ったオリジナルブレンドルーと、手作りナンとの組み合わせが絶妙の食感と味覚を出しており、まさにオンリーワンの強みを感じさせる。

 支配人が語る

「山の中の温泉で、何故か異国のコックがインドカリーナンをオープンキッチンで調理・盛り付けしていることがミスマッチであり、第一印象としてゲストに好奇心を起こさせ、また、日本のカレーライスとは全く違う食感が新鮮な満足感度を高めていることが豊平峡温泉の人気の源だと思います」

ちなみに、10種類以上あるカレーメニューの中で一番人気はチキン・野菜・卵をトッピングした「チキンマサラカリー」(上)。北の旅人が好きなのは、「ナスとトマトのカリー」(下)で、少々の酸味が美味。また、甘党の方には、「餡ナン」もお勧めだ。

 

「カレーナン」だけではなく、蕎麦も美味いのだ。旭川の江丹別産の「キタワセ」という品種を使っているが、寒暖差が激しいため豊平峡温泉では十割そばであるため風味が強いのが特徴だ。10種類以上あるメニューの中での一番人気は、「桶そば」(ざるそば 下)で、北の旅人は「きのこの森」(きのこそば上)が好きだ。なめこ、ひらたけ、あわびたけ、きくらげが入っていて、抜群の味を出している。蕎麦は注文を受けてから茹でるので若干時間がかかるが、少しでも美味しい蕎麦を食べてもらいたいというポリシー故なので、こちらも納得して待つ。

 
最後は、これも独特の飲み物である「チャイ」を飲んで締めとするのが常だ。チャイは、スパイスが入った煮出しミルクティー紅茶のことで、インドでは日常的に飲まれていとのこと。

このように、豊平峡温泉では、本物の温泉だけではなく、本格的な飲食を楽しむことが出来るとあって、2013年には日帰り温泉としては、日本でNO.1(世界で最大の口コミサイトのトリップ・アドバイザーによる)に輝き、以降も毎年ベスト5に入る人気ぶり。最近は、外国人客が多いのが目に付く。札幌に行ったら、是非一度、体験してみては?