北の旅人

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フリーカメラマンの旅券返納は当然だーシリア取材計画

2015-02-12 14:21:40 | Weblog

新潟市のフリーカメラマン杉本祐一氏が、シリア北部への渡航を計画していたが、外務省に旅券を返納させられた件で、外国人記者クラブで会見した。杉本氏は、憲法で保証されている「報道の自由」「渡航の自由」「取材の自由」を奪われ、「私の人生そのものが否定された」と語り、裁判も辞さないとしている。外務省は、イスラム国が日本人2人を殺害したことを踏まえ、旅券法の規定を適用したものだが、杉本氏の論理は甚だ飛躍していると思わざるを得ない。外務省の限定的、かつ例外的な措置としては当然のことだ。

杉本氏は、「報道の自由・渡航の自由・取材の自由が断ち切られた。現地の状況を日本で紹介したかったが、機会を奪われた」と語る。しかし、杉本氏に決定的に欠けているのは、もしものことがあった場合の責任をどのように考えているのかということだ。2人の日本人質殺害事件に見るように、いくら「自己責任」と言っても、結局は国が動かざるを得ない。しかも、事は国際問題にまで及ぶのだ。日本にとっても、また関係国に対しても多大な迷惑をかけることは先の一件を見れば明らかだ。

後藤健二氏の場合でも、3回の渡航自粛を求められていた。今までの素晴らしい活動や、その勇気ある行動を称賛するとしても、やはり状況に応じて自重すべきだったのではないか。かつて、イスラム国で取材経験がある、報道カメラマン・横田徹氏は「大手メディアが足を運ばない地域に入って取材をすることにフリーの存在意義がある」と言いつつも、「今のイスラム国は危険度が増しており、行くべきでない。命令はやむを得ない」と語っている。(読売新聞2月10日)

今の時代、「自由」という名の下では、何でもかんでも許されるという風潮がはびこっている。特に、マスコミ報道などにおいて顕著である。「自由」の背景には「例外」もあれば「責任」もあるということを銘記してもらいたい