狸便乱亭ノート

抽刀断水水更流 挙杯消愁愁更愁
          (李白)

「側近日誌」木下道雄から

2006-06-25 22:15:15 | 本・読書
御用掛・寺崎英成の『昭和天皇独白録』(文藝春秋)で、昭和天皇が、戦争の原因について語られたことを読んだ記憶があるが、(確かにどこかにあることは確かである)散らかしっ放しの、わが部屋(書斎?)では捜せ出せなかった。
 代わりの見つけたのが、
 『側近日誌 木下道雄』(文芸春秋)である。=2004年町図書館廃棄本無料配布で入手した。
同じようなことが記されている。
 以下要所を明日から引用してみたい。

  海上、聖なる讃
月なく星も稀れな夜空の下、黙々と鹿児島湾を南下する軍艦榛名のうす暗き後甲板は、人なく声なく、只ひとり陛下おん挙手の尊影を仰ぐ。
 御会釈を賜る者は、そも誰か。肉眼にこれを求めて之を得ず、わずかに望遠鏡のレンズのうちに、薩摩半島沿岸一帯はるかに見ゆる奉送の灯火。

盛んなるかな、山々には篝火、岸辺にはちょうちんの群、延々として果てしなくつづく。げに闇をも貫く、まごころの通い道。
 さらば陛下よ、おんすこやかに、おかえりませ。
 ありがとう、皆も、元気でね。
 海波遠くへだてて、君臣無言のわかれの語らい。ああ、誰か邦家万古の伝統を思わざる。

 時はこれ昭和6年11月19日
                 唯一の目撃者 木下道雄識

「天皇をめぐるGHQ人脈」等あまり一般に知らされていない(太平等戦争を知らない人の世の中になってしまった)解説ー「昭和天皇と『側近日誌』の時代」 高橋紘が頁の約3分の1強を占める。


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