狸便乱亭ノート

抽刀断水水更流 挙杯消愁愁更愁
          (李白)

嘗て「満州国」ありき

2005-11-28 22:31:37 | 反戦基地
 
「満州建国読本」という本を読んだ。(パラパラっと開いて見た程度だが)
日本電報通信社刊 蘇峰徳富正敬著とある。徳富猪一郎が本名で、蘇峰というのは雅号であることは何となく分かっていたが、「正敬」という別号は初めて知った。ジャーナリスと、評論家というより帝国主義の鼓舞者だった。

巻頭図版目次として
天皇陛下、満州国皇帝陛下とご同列にて観兵式行幸御写真、回鑾訓民詔書が載っている。

2頭立ての馬車を操る炉者の後ろに、大元帥礼装を召された昭和天皇と並んで、全く同様な礼装服姿の満州国皇帝陛下が並んでお座りになり、その後ろにはやはり正装の武官が勲章をつけて直立不動の姿勢で起立しながら、観兵式に臨むお姿の写真である。(満州国皇帝陛下)

《昭和10年(康徳二年)四月九日
天皇陛下には満州国皇帝陛下と同列にて代々木練兵場に於ける
特別観兵式に臨幸あらせられた》と解説がある。

次のページには、満州国皇帝陛下の難解な詔書がある。参考の為全文謹写してみる。
    詔 書
朕登極ヨリ以来亟ニ躬カラ日本皇室ヲ訪ヒ修睦聨歓以テ積慕ヲ伸ヘンコトヲ思フ今次東渡宿願克ク遂ク日本皇室懇切相待チ備サニ優隆ヲ極メ其臣民熱誠迎送亦礼敬ヲ殫竭セサルナシ衷懐銘刻殊ニ忘ルル能ハス深ク維フニ我国建立ヨリ以テ今茲ニ逮フマテ皆友邦ノ仗義尽力ニ頼リ以テ丕基ヲ奠メタリ茲ニ幸ニ親シク誠悃ヲ致シ復タ意ヲ加ヘテ観察シ其政本ノ立ツトコロ仁愛ニ在リ教本ノ重ンスルトコロ忠孝ニ在リ民心ノ君ヲ尊ヒ上ニ親シム天ノ如ク地ノ如ク忠孝公ニ奉シ誠意国ノ為メニセサルハナシ故ニ能ク内ヲ安ンシ外ヲ攘ヒ信ヲ講シ鄰を恤レミ以テ万世一系ノ皇統ヲ維持スルコトヲ知レリ朕今躬カラ其上下ニ接シ咸ナ至誠ヲ以テ相結ヒ気同シク道合シク道合シ依頼渝ラス朕
日本天皇陛下ト精神一体ノ如シ爾衆庶等更ニ當ニ仰イテ斯ノ意ヲ体シ友邦ト一徳一心以テ両国永久ノ基礎ヲ奠定シ東方道徳の真義を発揚スヘシ則チ大局ノ和平人類福祉必ス致スヘキナリ凡ソ我カ臣民務メテ朕カ旨ニ遵ヒ以テ萬禩ニ垂レヨ此ヲ欽メ
 御名御璽
  康徳二年五月二日

 第1章 総論
 (1)皇紀二千六百年と国民的奉祝
 (略)
 抑々皇紀二千六百年は、何が故に奉祝せねばならぬ乎。我等は第一に我が皇室が万世一系にして神武天皇以来、今上天皇(昭和天皇)に至る迄、百二十四代、連綿として無窮に接し、無極に連なり給ふことを以って、奉祝の第一義とせねばならぬ。

 更に我が日本国は、皇祖の肇国以来。幾多の波乱、幾多の艱難を経過しつつ、いまだ曾っテ1日たりとも、国家の独立を毀損したることが無い。即ち我が内地においては、一塊の土、一個の石さえも、他より奪略せられたる事が無い。これを以て奉祝の第2義とせねばならなぬ。

 更に又た我が大和民族は、本来天孫人種を本幹として、凡有る民族を包容、混合したるも、限りなき皇室の恩恵と、徳澤とに依って、今や醇乎として醇なる大和民族を形成し、未だ曾って其間に民族的嫉視、反目を為すが如きことを見ない。これを以て奉祝の第三義とせねばならぬ。

以上列挙したる如く、皇統の万世一系、国体に金甌無欠、民族の混和一致、この三者は、世界の歴史に全く比類なきものと云はねばならぬ。