呉明憲コンサルタントの中国ビジネス日記

中国の最新情報を上海・東京・神戸を拠点に活動する株式会社TNCリサーチ&コンサルティングの呉明憲が紹介します。

危険な不動産取引

2013年03月27日 | 日記

 今日は北京で発生した不動産取引について紹介します。この不動産取引には「我愛我家」という仲介業者が介在しており、少なくとも7人が被害に遭っているとのことです。この不動産取引の流れはこうなっています。

 

 売買当事者間の決済条件についてはまず1/3を現金で支払うのですが、「限購令」のために買える家の数が制限されているため、売買契約については親戚名義で締結します。そして、所有権移転をしたのちに担保設定して借入を行い、そのお金で残金を契約期限までに支払うというものです。仲介会社はこの人は今までも何回も同じような取引をしているから大丈夫ですよと売主に説明し、さらに売主と仲介業者との間で取引をスムーズに進むよう保障するという内容の補充契約を締結します。ここまで読むとどういうオチが待っているかわかると思います。オチですが、所有権移転も済ませ、支払期限も到来したのにお金が入ってこないため先方に連絡したところ連絡が取れなくなってしまったというものです。

 

 そもそもこの不動産取引には欠陥があります。まず、不動産ですから個人にとっては大きな金額の取引になります。それを全額支払ってもらわない段階で所有権移転してしまうところに問題があります。売主もそのあたりは疑念を持ったようですが、仲介業者に言いくるめられてしまったようです。また、所有権移転をしてから銀行で担保設定をして借入を行うというのもおかしいです。そもそも住宅の売買などというのは、所有権移転、担保設定、担保設定による借入、そしてその借入金を売主へ支払うというのをまとめて行うのですが、今回の場合はあらかじめ所有権移転を済ませてしまっているので、銀行が担保設定して貸出を行うのは、この物件を購入するための資金ではないと判断してしまうことはあり得るでしょう。ようするに、先に所有権移転をしてしまったというのがおかしいのです。売主も可哀そうですよねえ、脇が甘いと言えばそうなのですが、仲介業者も売主を言いくるめてますからねえ。

 

 で、この我愛我家(http://www.5i5j.com/loading)という仲介業者ですが、ウェブサイトを見るとこんな感じです。

 

 

 パッと見ちゃんとしてそうです。おそらく会社としてはちゃんとしているのでしょう。この問題はこの仲介業者の特定の営業所で発生しているので、会社の問題と言えば会社の問題なのですが、営業所の問題の方が大きいのだと思います。さすがに売主もクレームしまくり、新聞沙汰にもなったので仲介会社としてはこの問題をちゃんと処理すべく、買主と連絡を取って、採番にするならそのお手伝いもするといったようなことを会社として発表しています。当たり前の話だと思いますが。

 

 7人が被害にあったこのような形の不動産取引ですが、共通点として、

 (1)他人に委託して住宅購入

 今回のケースですと親戚ですね。

 (2)仲介会社が保証

 仲介会社は買主との間は仲介会社に任せてくれと売主を言いくるめたのがそうですね。

 (3)売買代金決済未完了段階での所有権移転

 所有権移転後45-60日以内に残額決裁としていたようですが、なんだかんだ理由をつけて引き延ばすということも発生しています。

 (4)代理人失踪

 最終的には交渉相手だった代理人とやらと連絡が取れなくなってしまいます。

 

 まあ、普通の感覚ではこんなリスクの高い取引をすることはないと思いますが、直感的に怪しいと思えば一呼吸する癖をつけることが必要ですね。


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