既になくなってしまっているのですが、かつて暢翔網というサイトがありました。
出張費管理のアウトソーシングを受ける会社で、ここを利用すると出張に伴う架空経費等のごまかしを防ぐことができ、また出張に伴う飛行機チケットの屋ホテルの手配もまとめて委託するので委託を受けた会社による大量購入が可能となり経費の節減にもつながるという利点もあります。約20-30%節減できていたそうで、聞いた感じなかなかよさそうですが、結局ダメになってしまいました。なぜこれがダメになったのでしょうか。
まず、このビジネススキームでは暢翔網、銀行、ユーザー企業、ユーザー企業の出張者、ホテル等、関係する役者が多く、銀行はほとんど旨みが得られなかった(法人クレジットカードによる立替負担がそれほど収益性が高くなかった)ようです。役者をつないでスキームを作ったのにもかかわらず、それが途中で切れてしまうわけですね。
もう一つ理由があり、これは中国的だなあと思ったのですが、アウトソーシングして管理すると今まで出張のたびに架空経費等を請求していた出張者はその旨みにあずかることができなくなってしまいます。そのため、そういう声の大きい企業からはウケがよくなかったそうです。なんだかなあ。
ビジネススキームを考えるに当たっては現地事情をよく踏まえるのは当然のことで、出張経費のごまかしを防ぐことができるのは企業ニーズに合致しているように思います。しかし、まさに悪貨は良貨を駆逐するの世界で、悪貨、要するに経費のごまかし請求をする人たちの声が大きすぎるがためにビジネススキームが成り立たなかったということです。いかに経費をごまかして「灰色収入」を得ている人が多かったかということの証明でもあります。
同社は2007年に設立し、翌年にはファンドから多額の資金調達を行いましたが、結局3年余りでダメになってしまったようです。発想自体は悪くないと思うのですが、おそらく発想が新しすぎて時代が追い付いてくれなかったのだろうと思います。こういうのを聞きますと、新たなビジネススキームを成り立たせるというのは簡単ではないのだなあと思い知らされますね。