呉明憲コンサルタントの中国ビジネス日記

中国の最新情報を上海・東京・神戸を拠点に活動する株式会社TNCリサーチ&コンサルティングの呉明憲が紹介します。

ストライキのエリアが拡大

2010年06月09日 | 日記
 華南の富士康、ホンダ、北京の現代でストライキ騒動が発生したことがメディアで紹介され、中国の新聞でも紹介されているが、産経新聞によると今度は昆山市にある台湾系機械部品工場でストライキが発生し、従業員ら約2千人と警官隊数百人が衝突し、従業員約50人が負傷したという報道が流れた。結構な規模だ。ストライキが発生した企業側が賃上げを飲んだ情報が従業員に入ったこともが影響しているのは間違いないだろう。最初は華南中心の話で華東地域は関係なさそうな感じだったが、華東地域ではどうやら万博期間中に目立った騒動が発覚することを避けるため、ストライキに関して報道が規制されているという噂、大きな騒ぎに発展させないため企業側に賃上げを認めさせているという噂、日系企業でもストライキが発生しているという噂も聞こえている。何が本当なのかは確認できないが、いずれにしろ各地でストライキの動きが活発になってきているのは間違いないようだ。

 しかしそれにしても富士康の賃上げはあまりにも目立ちすぎた。半年の間に2回も賃上げし、もともと900元だった賃金が2000元にまで引き上げられたのだ。この水準は就職難にあえぐ大学生からみても悪い水準ではない。労働コストが安いという時代が過ぎ去るのは間近なようだ。このような動きを受けて台湾電器電子工業同業公会理事長の焦佑鈞氏はこのようなコスト上昇の流れは既に見られており、既に中国内陸部への移動は開始しているものの、最近の状況からすると3-5年以内には中国大陸内の台湾系電子工場が大陸を離れるのは不可避だという見方をしている。同公会は今年「南進策略」という方針のもと、台湾系工場をインド、インドネシア、ベトナム等の生産コストが低い国に移動することを推進していくという。同じ台湾人でも異なる見方をしている人はいる。例えばベトナムに移ったからといってストライキリスクがないわけではなく、移転のコストもバカにならないため、移転は必ずしもベストチョイスといえないという考え方だ。しかし、労働コストのあまりにも急速な上昇は、企業がそれに対応するための準備の余裕を与えず、対応が間に合わないとなれば「待ったなし」ということで一気に中国外移転の動きが加速しかねない。工場運営者にとって今年はかなり厳しい舵取りが迫られる。

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2 コメント

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その昔 (しろくま)
2010-06-11 16:43:46
日本企業が一定以上の年齢層には日本語が通じ、比較的低賃金ということで南朝鮮に工場を出した時期がありましたが、
度重なる賃上げ要求労働争議(と根底にある反日感情)のせいで、今は韓国に工場のある日本企業はほとんどありません。
中国の場合は、中国国内市場も睨んでのことでしょうから簡単には撤退しないでしょうが、あまりこのような傾向が続くと工場は越南、ミャンマー、さらにはバングラディシュ等に移り、中国沿海部には極東向け物流拠点だけというような企業も現れるのではないかと思います。その辺、労働争議を先鋭化させることなく徐々に軟着陸させるような政策運営が中国政府に必要かと
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Unknown ()
2010-06-12 23:49:36
なんでも軟着陸させないといけないですね。経済の過熱、不動産相場の過熱なんかもそのひとつですね。
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