呉明憲コンサルタントの中国ビジネス日記

中国の最新情報を上海・東京・神戸を拠点に活動する株式会社TNCリサーチ&コンサルティングの呉明憲が紹介します。

中国でのレクサスの販売ランキングがダウン

2014年12月16日 | 日記

 以前自動車関係の市場調査の依頼を受けたことがあります。そのときにいくつもの自動車ディーラーをまわったのですが、あちこちで聞いたのが、「自動車を売ってもそんなにもうからない、アフターサービスで稼がないと」という言葉です。今日は特定の車種としてレクサスを取り上げます。中国におけるレクサスの状況に関する記事がありましたのでご紹介します。

 まずは、下図をご覧ください。2011年にレクサスは5.6万台売れていたのが、2014年は5.5万台で着地見込、ほぼ動きなしです。ところが、このクラスの車の売り上げランキングを見ますと、2011年に第4位だったのが、2014年には2ランク落として第6位区となる見込みです。間に入ってきたのがランドローバーとボルボです。

 

 

(出所;中国経営報/蓋世汽車網)

 

 最近発売し始めたNXを除くと、レクサスのその他のタイプの北京での販売価格は2-20万元のディスカウントが行われているようです。あるディーラーによりますと、「下半期からは損して売っている状態。基本的にもうからない」とコメントしています。冒頭に書いたように以前もよく聞いたセリフです。実際のところどうなのでしょうか。

 レクサスは2004年に中国エリア業務部門を立ち上げ、2005年から2011年にかけて最初5000台だった販売量を5万台にまで伸ばしました。購入者を訪問したり、ディーラーに対して研修を行ったりし、ディーラーの数も2005年には6社だったのが2009年には61社にまで増加しましたが、ディーラーとの緊密な関係を築くにしては多すぎたのではないかという見方があります。しかしながらその後もディーラーは増え続け、今では全国で130社のディーラーがあります。

 さて、レクサスの売り上げランキングが落ちてきている原因として言われているのが、①マーケティングが十分ではない、②新車投入スピードが遅い、③国産車がない、の3つです。①については何とでも言える部分で、マーケティングにふんだんにお金をかけていてもうまくいかなければやり方を間違えたといわれるだけなので、ここでは置いておきます。②ですが、これは某自動車メーカーに勤務する知人が「日本車メーカーの中国での新車投入はちょっと遅い」と同じようなことを言っていたのを思い出します。③ですが、このクラスになると輸入者のほうがありがたがれると思っていたので個人的にはここが最も意外でした。で、ちょっと調べてみたのですが、ランドローバーもすでに中国産があるのですね。VOLVOは今や中国資本になってしまってますしね。でもまああらたに中国で工場作るって今からだとかなり円安になってしまってますし、簡単には踏み切れないでしょう。この他、ディーラーに対するサポート度合いがたメーカーと比べて弱いという見方もあり、例えばリベートがアウディやインフィニティと比べると少ない、大口ユーザーや古くからのユーザーが買い替える時にメーカーが与える優遇がたブランドと比べると少ない、広告宣伝サポートも弱い、中古車からの買い替え時のメーカーによる補助が少ない、これらのため競争力が劣ってしまうとコメントするディーラーがいます。

 さて、レクサスはこの状況をどうしていくのでしょうか。今のままだとランドローバーやVOLVOに抜かれた上に、さらにキャデラックにまで抜かれるのではないかという見方があります。よく安易に反日が原因という人がいますが、決してそんなことはないと思いいます。だらだら書いてきましたが、ただの一つも反日について触れていません。もちろん、一つの要因ではあるのでしょうが、大きな原因ではないでしょう。もっと本質的な原因があるはずです。上に書いたコメントは新聞記者がディーラーに取材して引き出したものですが、これも参考にはなるでしょう。レクサスには頑張ってほしいと思います。


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