呉明憲コンサルタントの中国ビジネス日記

中国の最新情報を上海・東京・神戸を拠点に活動する株式会社TNCリサーチ&コンサルティングの呉明憲が紹介します。

2008年12月11日JETRO主催外貨管理セミナー模様の報告

2008年12月11日 | 未分類

  今日はJETRO主催の外貨管理セミナーに講師という立場で参加させていただいた。内容は話題の延払い規制に関するものだ。9月に東京と大阪、10月にも上海で2回行っており、これが5回目になる。それにしても本当に多くの方にご来場いただいた。写真をごらんいただければわかるように、本当に客席はぎっしりだった(聞いたところによると参加者は160名とのこと)。後になるほど情報量が多く入ってくるので、当然のことながらより多くの情報を還元することができる。これだけ多くの方に集まっていただければ還元のしがいがあるというものだ。

  セミナーに向けて情報を収拾していく中でなんとも驚いたのが、保税区企業の延払い限度額についてである。延払い限度額は前年度輸入外貨支払総額の10%までとされているが、外貨管理局のデータは企業の行った核銷をベースとしている。保税区企業は自主通関を行わない場合核銷を行う必要がないため、外貨管理局に保税区企業の核銷データも残っていない、だから保税区企業の輸入限度額もないということである。従って保税区企業が延払いを行うためには一件ずつ個別に申請せざるを得ないということになる。なんとも面倒な話だ。核銷を行う必要がないというのは保税区企業のメリットであるといえるが、これが却ってあだとなってしまった形だ。外貨管理局には核銷以外のデータをベースと刷ることで解決してもらいたいものだが、どうも外貨管理局だけで片付く問題ではなく、税関とも協議していかないといけないようなので、当面今の状態が続きそうな感じだ。
 
   


  10月1日以降に発行された報関単で90日を超えるものは延払い登記の対象になることから、キャッシュベースで影響が出るのは早くて年末年始あたりになる。しかしながら、延払い契約登記は、「2008年10月1日より、新たに締結した輸入契約で、約定した対外支払日が輸入日時より90日を超過するような場合、企業は契約締結後15営業日以内にシステムにログインし、延払い契約登記を行わなければならない。」とされていることから、現在締結しているものでも登記の対象になるものがあるはずである。 せっかく多くの方にお集まりいただいたので、どのくらいの企業が既に手続きを行っているかをセミナー参加者に聞いてみた。しかしながら、実際に登記手続きを行っている方はほとんどおられなかったのには驚いた。最終的にはもうひとつの登記である延払い引き出し登記を同時に行うことで送金を行うことができるようになると思うが、ルール通りの手続きは行ったほうがいいだろう。突然厳格に指摘されてしまった場合、抗弁ができなくなってしまうからだ。

  いずれにせよ、上にも書いたようにキャッシュベースでの影響が出てくる時期も目の前に迫ってきている。やるべき手続きはできるだけ早めに済ませてしまい、また延払い限度額の比率引き上げ申請を考えている場合はまずは申請してみるということをしていったほうがいいだろう。また、キャッシュを作り出し延払いを減らしていくことも延払い規制への対応策のひとつであり、その中で増資や親子ローンといった手段をとるのであれば本社とも早急に協議していく必要があるだろう。もう待ったなしだ。


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