呉明憲コンサルタントの中国ビジネス日記

中国の最新情報を上海・東京・神戸を拠点に活動する株式会社TNCリサーチ&コンサルティングの呉明憲が紹介します。

深圳西武百貨店閉店のワケ

2012年10月31日 | 日記

 深圳の西武百貨店が今月閉店しました。瀋陽、羅湖も閉店していますが、これらは業績が悪化したことに伴う閉店でした。しかし、深圳の西武百貨店はそこまでの状況に陥っていない中での閉店だそうです。いくつかの見方があります。まず一つ目。

 

・深圳西武と新城市広場(深圳西武の入居していた場所)との賃貸契約の期限が来年末に到来する  が、双方が協議の上継続しないことを決定。

・西武百貨の商標の使用権が間もなく到来するが、深圳西武が「西武百貨」の商標の継続使用につい て、香港西武( 迪生創建集団)と協議一致に達しなかった。

・深圳西武が調査を行った結果、賃借の形態で経営し続けること経営圧力がどんどん増していくと判断 した。

 

違う見方をする人もいます。西武百貨店はずっと高級路線を歩んできましたが、

 

・多くのブランドは自らの知名度上昇に伴い直営店や旗艦店を選択して内地市場を開拓することを選  択。

・そのため、聯営方式(売り上げを集中レジで回収し、売り上げに応じてコミッションが発生する方式)や 代理方式を選ばなくなった。

 

 これが西武百貨店にとって大きな打撃になったという見方です。

 

 また、近年は深圳と香港との間の行き来が簡単になってきたこともあり、多くの人が高級品を買うために香港へ行く動きが目立つようになってきています。つまり、深圳西武ではなくて香港まで行って買い物をするという動きが見られるようになり、これも深圳西武の運営に大きく影響したという見方もあります。

 

 そしてもう一つ言われているのが、西武香港本部が権限を回収していくことで、内地の従業員が自分の実力を発揮できなくなったということが影響したという見方をする人もいます。

 

 どれもこれもさもありなんと思います。これらのうちのどれかが原因というわけではなく、いくつもの要因が絡み合って今後の展開を見込めなくなったというのが最も正しい味方なのではないかと思います。それにしても日本ブランドの百貨店が消えていくのはさびしい限りですね。