呉明憲コンサルタントの中国ビジネス日記

中国の最新情報を上海・東京・神戸を拠点に活動する株式会社TNCリサーチ&コンサルティングの呉明憲が紹介します。

《バイオ医薬産業発展「第十二時五ヵ年」計画》発表間近

2011年06月26日 | 日記

 《バイオ医薬産業発展「第十二時五ヵ年」計画》が近々発表される模様です。そして2015年には中国のバイオ医薬市場は1000億米ドル(約8兆円)に達し、バイオ医薬技術産業の生産額は2000億元に達するという予測があります。昨年のバイオ医薬品の世界市場規模は約7兆円なので、成長著しい分野とはいえ1000億米ドルは大きすぎるような気がしますが。。。ちなみに、日本の2009年におけるバイオ医薬品市場の規模は約7,000 億円(薬価ベース)となっています。

 

 また、最近バイオ産業大会というものが行われ、その中で国家発展改革委員会の方の発言によりますと、今後五年間においてバイオ医薬は主に重大疾病予防治療のバイオ技術薬物、新型ワクチン、診断試薬、科学薬物等のイノベーション型薬物品種といったものを主として発展させていくとのことです。今後毎年20%ずつ成長していくことを予測する一方で、業界としては企業規模が小さく、技術イノベーション力も弱いという現状があるため、このような業界構造を変化させていこうとしております。2020年までには世界医薬トップ1005社ランクインさせることを目標としています。

 

 技術の転化についてですが、現状では毎年取得する約3万の重大な科学技術の成果において、平均転化率は20%に過ぎず、産業化が実現するのは5%に満たない水準にあります。大学の科学技術の成果の転化率は10%に満たず、医薬科学技術成果の転化率は8%に満たない水準にあります。この現状を打破するために、第十二時五ヵ年計画の期間において、新薬臨床に関する認可を200以上、新薬証書、動物用医薬品証書、医療器械証書等の各種証書を100以上を獲得することを目標としています。第十二時五ヵ年計画と関連するものとして重点的にサポートする方向を明確にしており、具体的には重大新薬発明、遺伝子組み換え生物新品種栽培、エイズとウイルス性肝炎等の重大伝染病予防治療、ワクチンと抗体製品の研究開発、デジタル化医療及びバイオ医療用材料といったものが含まれています。

 

 バイオ医薬品の特許切れが集中する時期として「2015年問題」というものがありそうで、これをターゲットにしているのかもしれません。上述のように業界再編も行われる可能性が高く、業界関係者にとっては気になるところでしょう。