五香粉を買ってきてインスタントラーメンでランチする回数が増えてきた。具材は様々だが、余
りもので十分だ。やはり、手前味噌だが、日清食品の『ラーメン屋さんのラーメン』がいまのと
ころ一番かなぁ。材料が揃って入れば調理時間は10分以内。正午のニュースを見ながら、チン!
で、ラップや上蓋を取り除き、五香粉、お酢(ハーブ、米、バルサミコなど)、オリーブのバー
ジンオイルなどふりかけ(味付け海苔、胡麻、黒胡椒も可)頂く。いけないと思ってもスープを
飲み干してしまうほど旨くてポカポカと身体が温まるから、暖房は切ってしまうね。ところで、
五香粉は、山椒、クローブと、スターアニスかフェンネルか陳皮のうちの2種、シナモン(また
はカシア)の5種類のスパイスの粉末をほぼ同量ずつ混合した、中国を代表するスパイス。揚げ
もの料理の下味に、また鶏のから揚げなどに食塩とともに少量まぶしながら使われるほか、豚肉
料理、あんかけ料理、肉や魚の下ごしらえなどにも利用される。独特の中華風の香りに特徴があ
り、中国、ベトナム、日本などでよく用いられているが、臭み消しの機能性をここで強調してお
こう。
【インフレターゲットの行方】
日銀が2%のインフレ目標に合意した(合意したといっても具体的な行動はこれからだ、まさか
空手形というわけではないだろうが)。これを英断した安部総理の名前は歴史に刻まれることが
確定した。2%設定といえば国民総生産(GDP)が480兆円程度だから年間10兆円、長期5年とし
て50兆円規模の景気刺激が恒常的に準備される体制に入ったと理解すればわかり良い。デジタル・
ケイジアンのわたしには、関心は具体的な政策実行の趨勢に焦点を合わせ、出生率の上昇率、電
線の地下埋設化の進捗度、自殺率の低下などの政策とその格付け評価といったところに移ってい
る。たまたま日曜のNHKの政治討論会で浜田宏一イェール大学名誉教授をテレビではじめてみ
たのだが、日本人で最もノーベル経済学賞に近い学者だと紹介されていたので、なんだ、わたし
が一番近いのじゃないのか、ライバルがいたのかょ?!と少々落胆 ^^;。
知っていうようが知らないでいようがそんなことは、だんないこと。そんなことより、心強い同志になるかもし
れないということで、翻訳の作業でへろへろだが、できる限りネットで下調べしておこうと奮起。
〔主な著書〕
・『経済成長と国際資本移動――資本自由化の経済学』(東洋経済新報社, 1967年)
・『損害賠償の経済分析』(東京大学出版会, 1977年)
・『国際金融の政治経済学』(創文社, 1982年)
・『為替レートの決定要因(経済研究所シリーズ)』 (経済同友会経済研究所, 1983年)
・ The Political Economy of International Monetary Interdependence, trans. by Charles Yuji Horioka and
Chi-Hung Kwan, (MIT Press, 1985).
・『エール大学の書斎から――経済学者の日米体験比較』(NTT出版, 1993年)
・『モダン・エコノミックス(15)国際金融』(岩波書店, 1996年)
・ Strategic approaches to the international economy : selected essays of Koichi Hamada , (Edward Elgar,
1996).
・『アメリカは日本経済の復活を知っている』(講談社, 2012年)
知らんわ、こんな本のタイトル見たこともあらへんわ ^^;。それじゃネット上で彼の思想という
か、理論とか見識を調べてみることに。
新日本銀行法が1998年に施行されてこのかた、日本経済は世界各国の中でほとんど最悪とい
っていいマクロ経済のパフォーマンスを続けてきた。この主たる原因は日本銀行の金融政策
が過去15年余りにおいてデフレ、超円高をもたらすような緊縮的な政策をとってきたことに
よる。さすがに、最近の円高、不況に対する国民、政治からの批判に耐え切れなかったので
あろう。また米国連邦準備制度理事会 (FRB) がインフレ目標(ないしゴール)に踏み切った
こともあり、2月14日に日本銀行は1%のインフレを「目途」とする政策に踏み切った。FRBの
インフレ・ゴール設定を受けて日本銀行によって採られた政策は、英訳版を見れば分かると
おり、インフレ「ゴール」の設定に他ならない(「目途」はゴールや目的と違うといった詭
弁的な議論は日銀の得意とするところであるが、巻き込まれないでよい)。目標値が2%でな
くて1%だという中途半端な点は残るが、「金融政策だけではデフレも円高も阻めない」とい
う世界孤高の日銀理論から、経済学が200年以上の歴史で営々と築いてきた正しい金融理論に
基づく政策を採ったことは素直に喜びたい。
国民生活に今多大の辛苦をもたらしているのは、デフレと円高である。デフレは円という通
貨の財に対する相対価格、円高は外国通貨に対する相対価格であり、すぐれて貨幣的な問題
である。したがって、それはもっぱら金融政策で解消できるものであり、また金融政策で対
処するのが日本銀行の責務である。私は白川方明総裁に、総裁自身が以前論文に書いていた
正しい経済学にかえってくれと、つまり「正しい歌を歌ってくれ」と懇願した(『伝説の教
授に学べ!本当の経済学がわかる本』(浜田宏一、若田部昌澄、勝間和代共著、東洋経済新
報社)参照)。今回のバレンタイン・デーの政策変更に至るまでそれは聞き入れられなかった。
日本経済にも詳しいハーバード大のデール・ジョルゲンソン教授は、日本銀行が新たな政策
を発表するたびに、「コーイチ、今度の政策でお前は合格点を与えるか?」と問いただして
くる。今までは、「ノー、少なすぎる、遅すぎる」と答えるしかなかった。しかし今回は、
日銀理論を捨てかねるという総裁の海外講演等に疑念は残るが、とにかく標準的な経済学の
地平に日本銀行が歩みだしたことを積極的に評価したい。「1%という」小声で、しかもため
らいながらではあっても、日銀はバレンタイン・デーには正しい歌を歌ったのである。国民
をデフレの淵まで連れて行こうとしていた日銀が、ともかく自らの行動で、方向転換の兆し
を示したことはうれしいことである。
「論より証拠」、正しい歌の効果は直ちに現れた。日銀の新政策で日経ダウ指数は一時的に
せよ1万円を上回った。円安も1ドル80円を超えて進んだ。明らかに、日銀自身が主張し、そ
して多くのエコノミストや学者の主張していた、金融政策は効かないという見解が明白に反
証されたのである。
強調すれば、さまざまな経済要因の中で、過去数年間に、日本銀行の(中途半端ではあって
も)今回のインフレ・ゴールの宣言以外、かくも株価や為替レートに影響を受けたものがあ
っただろうか? 日銀の度重なる否定にもかかわらず、インフレ・ゴールと買いオペに対す
る積極的姿勢の表明が、株価、為替レートに対して明白に効くこと(国際金融論の最初の一
時間目に学部生に対して教えること)が市場によって如実に示されたのである(日本銀行の
ある高官は、貨幣供給の増加の予想が株高をもたらすという資産選択論の基本をも理解しな
いか、理解しようともしなかった)。
長期成長経路を改善するには、たしかに人口成長率や生産性上昇率を高めることも有要であ
るし、政府の構造改革も必要であろう。しかしそのような変化は、一朝一夕には達成できな
い。現在我々に必要なのは、成長の潜在経路からはるかに下のところで日本経済が運営され
ているのをすぐ止めることである。このためには、2月14日(バレンタイ・デー)に示した
ような勇気ある金融政策が即効性を持つ。2月14日の政策変更がなぜこれだけ効いたかとい
うと、経済に対する量の変化だけでなく、それが予想に直ちに働きかけたからである。
天岩戸神話にたとえれば、今の状況は岩戸がかすかに(1%だけ)開かれたところである。世
間は初めて金融政策が株価にも、円高にも利く薬だということがわかった。下界の人々は日
の光を喜んでいる。これは、打ち出の小槌のように何度使ってもよい政策である。インフレ
になる前に止めさえすればいいのである。ところが日本銀行総裁の談話は「太陽のわらわが
顔を出しても世の中は明るくならない」といっているに等しい。
この政策の組み合わせは、期待に対して働きかけ、インフレ率、円レートを通じて成長力以
下の経済 運営の指標である失業、倒産に直接働きかけることができる。いまや、日銀はと
もかく行動としては正しい方向に舵を切ったといえるが、かつて間違った方向に進んでいた
日銀のいわば護送船団を引き受けていた政治家、学者、そしてエコノミストはこれからどこ
に行くのだろうか? いまや学者とメディアは日銀より立ち遅れている。無知のためか、記
者クラブに操作されたためか分からないが、日銀に盲従していった、彼らのはしごがはずさ
れるときが来ないだろうか?
今後の不安要因は、白川総裁の意識の中にある。内外の講演、談話では、新しい政策は政治
的配慮によるものではないと言いながら、金融政策はデフレ解消に効くとは限らないという
世界孤高の日銀理論が袖の下にちらつく。理論的にも実証的にも根拠のない人口が(成長の
要因であるのは当たり前だが)デフレの要因であるというのは、経済の治療に当たる医者の
議論ではない。床屋談義に過ぎない。リーマン危機以後の英米の大胆な金融拡大が世界大不
況から人々を救った公算が大であるというのが経済学の現状である。そこで、低金利は企業
を脆弱にするという議論は井上準之助時代の「精算主義」の再来を思わせる。
エルピーダの破綻は欧州景気や経営の誤算によるとマスコミは強調するが、基本的な要因は
円高に他ならない。リーマン危機以後、円はドルに対して30%も円高になったが、韓国ウォン
はドルに対して30%もウォン"安"となった。エルピーダは韓国製品と競争する際、60%円高の
ハードルを負わされていた。政府得意の「産業政策」や、生産性向上努力では60%のハードル
は克服できないのはもちろんである。エルピーダは基本的に円高で破綻したのである。いつ
でも日本銀行がより拡張的な金融政策で円高を避けることができた。だから、エルピーダの
経営破綻は政策で円高防止を怠ってきた日本銀行に責任がある。山本幸三衆院議員(自民党)
が言うように「自民党は日銀に潰された」のだとすれば、「エルピーダも日銀に潰された」ので
ある。
毎日のように通勤電車を止める飛込み自殺の一部は経済的要因で説明できるが、日銀政策委
員会を傍聴した人によれば、日本銀行には金融政策がたとえば失業者、倒産、そして自殺者
を増やすという形で庶民の生活に密着しているという意識がないらしい。
円高政策は弱い企業いじめの政策である。それが、経済の空洞化を推し進める政策であるの
はもちろん、同時に地方切捨ての政策である。超円高に、東京は耐えられても、地方はそう
は行かない。「大阪維新の会」の支持者が多いのも理由があるのである。これらのメカニズ
ムに気付かない、あるいは気付いても黙っている学者、報道しないマスコミも同罪である。
20世紀初頭にかけて足尾鉱害と戦った田中正造が議会で質問したように、「亡國に至るを知
らざれば之れすなわち亡國の儀」なのである。(1900年2月17日)
藤原正彦氏は『週刊新潮』の「管見妄語」(2012・2・26)で次のように以上の議論を巧み
に要約する。経済学の専門家でない藤原氏に分かることが、どうしてエコノミスト、学者、
政治家、マスコミに分からないのであろうか?
「しかし今最も責められるべきは、財務省や財界や政府というより日銀であろう。デフレ不
況を十数年も放置してきた責任の大半は日銀にある。リーマン危機以来、アメリカはその貨
幣供給量を3倍増やすなど米英中韓その他の主要国の中央銀行は猛然と紙幣を刷り景気を刺
激 した。日銀は微増させただけで静観を決め込んでいる。この3年間で円がドル、ユーロ、
ウォンなどに対して3割から4割も高くなったのは主にこのせいだ。今すべきことは政府が
数十兆 円の札を刷り国債を買い、政府がその金で震災復興などを大々的に行い名目成長率
を上げることだ。札が増えるから円安にもなる。工場の海外移転にも歯止めがかかる。ここ
14年間、 経済的困窮による自殺者が毎年1万人も出ている。日銀は動かない。」
浜田宏一『日本銀行を後戻りさせてはならない』
独立行政法人 経済産業研究所、2012.6
これを読んでびっくり(過去にもよく似た経験をしたことがあるが、それは数えるほどしか記憶
にない)。わたしの思いとほぼ同じだ!^^;。おまけに「亡國に至るを知らざれば之れすなわち亡
國の儀」の足尾鉱毒事件でお馴染みの田中豊一、いや失礼、田中正造の有名な言葉まで引用されて
いるわけで‘ロスト・スコア’失なわれし二十年というわけだ。因みに、浜田宏一教授の経歴は、
専門は、国際金融論、ゲーム理論。東京大学名誉教授、イェール大学名誉教授、Econometric Society
終身フェロー。国際金融論、ゲーム理論の分野で国際的な研究業績を持ち、理論・計量経済学会
(現日本経済学会)会長、法と経済学会初代会長、Econometric Society理事、世界貿易機関事務局
長助言グループのメンバーを歴任。バブル崩壊後の失われた10年においては金融政策の失策がその
大きな要因とみなし、特に岩田規久男の主張を評価している。日本銀行の金融政策を批判し、リフ
レーション政策の支持者の一人とされる(出典:Wikipedia)。
ひとことで、この状態を表現するとすればと考えて思いついたのが、「走る二宮金次郎」という言葉。これに
ついてはまた書くが、へろへろ状態のため今夜はこの辺で。