「Yes.and」とはコミュニケーション、もっと言えば生き方の一つです。
相手から投げかけられたことをすべては「YES」で受け入れ、
相手の言いたいポイントを察して、自分の気持ちやアイデアを融合させて「AND」で返すことです。
もともと俳優訓練のトレーニングシステムのひとつとしてカナダで開発された「インプロ」という即興劇のひとつです。
誰かが行ったアドリブのセリフを否定せず、その場で「YES,AND」と受け入れて次のセリフにつなげていく訓練として使われています。
インプロのトレーニングは、プレゼンテーションや営業活動、人間関係に有効なことから企業研修などで応用されています。
最近たくさんのメールマガジンやブログでも紹介され始めています。
中心の概念は「相手を否定しないこと」
そして「共感すること」。
まず、相手の考え、立場を尊重すること。
相手の考えを聞いて、自分の感情、アイデアを表現する。
相手の存在を尊重し、同時に自分の存在を表現する。
言ってしまうと単純な、当たり前なことですね。
でも統計によると、コミミュニケーションの時、ほとんど人は、相手を理解する前に、自分を理解させようとしています。
自分も交渉を仕事としているので、仕事ではコミュニケーション際には、自分のガードを固め、相手の論理的矛盾点、おかしい所に意識が行ってしまいます。
そしてそこを指摘し、自分の考えを押し付けようとする傾向があります。
相手を理解してたまるか!という感じです。
批判的、評論家的な発想になります。
不思議なことに、他人が批判的、評論家的発想の人だったり、グチ・悪口を誰かが言うのを見ると、もっと嫌な気分になります。
最近は、出来る限りそんな人たちとは関わらないようにしていました。
自分にもそういう要素があるからかもしれません。
上司ともそんな駆け引きをしているので、本当に疲れます。
今週は、その「YES.AND」を意識して使いました。
蓋を開けると、とっても気持ちのよい一週間でした。
すべてを一度受け入れて、行動する。
すべては必然と考え、「それはちょうどいい!」と考える。
自然とポジティブな気持ちになりました。
無理やりなポジティブシンキングではなく、自然なプラス発想です。
インプロから来たこの考えは、通訳者の友人に教えてもらっていましたが、
今回『Yes,andですべてはうまくいく』(樋栄ひかる/幻冬舎)を読んで、
すとんと納得でき、またとても勇気が湧きました。
ちなみに、似ている「Yes,but」は、相手をコントロールするための心理テクニック。
私も交渉で説得をする時に無意識に使ってしまいます。
最初に「はい」と言って、いかにも自分は相手を認めていますよというフリをしてから、
自分が正しいと思っていることを相手に話し、説得しようとすること。
見る人からみれば、自分の価値観しか認めない視野の狭いひとでしかありません。
「YES,AND」がどうしても難しい人もいます。
「自分を受け入れられない人」「自分が嫌いな人」です。
自分を受け入れられなければ、自分を好きでなければ、相手を好きになれません。
自己啓発の大家のブライアン・トレイシーやアンソニー・ロビンズが「I LIKE
MYSELF」と何度もアファメーションすることを薦めるのもわかります。
『Yes,andですべてはうまくいく』(樋栄ひかる/幻冬舎)によると、
これができるようになるとセレンディピティが起こるようです。
セレンデピティとは「思わぬ幸運との偶然な出会い」です。
実は、自分もそんな気配があります。ワクワク。
このコミュニケーションの感覚、どこかで感じたことがあるなと思ったら、
通っている英語学校のガヴァネス達がそう。
自然なのか、彼女たちの人間性なのか。
改めてすばらしいと思います。
自分のことを受け入れ、そして周りの人を受け入れ、周りのひとが自分を受け入れてくれる。
そんな「YES,AND」の素敵なスパイラルが生まれたら、世界がキラキラ輝きそうですね。
ただこれは親のためのプログラムだけどね。