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大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

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日々の恐怖 6月9日 怪異(5)

2016-06-09 19:31:14 | B,日々の恐怖



  日々の恐怖 6月9日 怪異(5)



 そんな家で金縛りにあったのが高校二年生の時だった。
夏休みも半ばに入った時期だと思う。
 朝方ふと目が覚めると体が動かなかった。
地面から巨大な掃除機みたいなもので吸われているような感覚だった。
 初めて体験した金縛りに少し感動した。
身体の左側を下にし真っ直ぐと伸ばした状態で固まり、かろうじて目は動かせた。
薄っすらと日は昇っていて、景色がやや灰色のように感じた。
 時計をみたら午前5時前後程だった。
しばらく金縛りの感覚に感心してたけど、いつまでたっても動かない。
 さて、どうしたものかなーなんて思ってると、頭上でずずず、ずず、ずーっという音が聞こえる。
音から感じた印象は、スープや飲み物を下品に音をたててずずずずーっと啜るような音だ。
加えて表現すると、一気に飲み干すというより、時間をかけてゆっくりゆっくり取り込むような感じだった。
 はて、この音はなんだろうかと視界を上にやると、部屋の天井あたりの隅っこに、サッカーボール程の真っ黒な球体があった。

“ あのボールみたいのはなんだろうか?”

と思って見ていると、それが徐々に大きくなっているのが分かった。
ある程度大きくなった時に気が付いたのだが、黒い物体が大きくなってるんではなく、実はサイズはそのままで俺の方に近づいているのだ。
 さらに黒い球体は丸い物体ではなく、空間にポッカリと黒い穴が空いていたようだった。
部屋に小さなブラックホールが浮いている感じだと思う。
 その穴からずずずーと音が聞こえ、ゆっくりゆっくり頭の方へ近付いてくる。
直感的に、この穴に吸い込まれたら死ぬもしれないと思った。
しかし、藻掻いても一向に身体は動かない。
 耳元でずずずーっという音に、クチャクチャという音まで聞こえてきた。
いよいよヤバイっと思ったその瞬間、身体が横になっていた状態から垂直に立ち上がった。
誰かに引っ張り上げてもらったような感じで、手足の関節を曲げないまま真っ直ぐと起きた。
 呆然と時計を見ると午前6時ほどだった。
立ち上がったと同時に身体は動き、黒い穴も無かった。
 これといった後日談はないが、これが初めての金縛り体験だった。
当時は、金縛りは三か月に一回ぐらいだったけど、もうここ数年は起こっていない。
それに怪異の方も、治まって来ているように思う。
もう少しで、普通の家になりそうで有難い。










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