大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

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日々の恐怖 2月28日 建物を間違えちゃったのかな?

2024-02-28 11:33:30 | B,日々の恐怖




 日々の恐怖 2月28日 建物を間違えちゃったのかな?





 不動産会社にいたときの話です。
入居して1ヶ月もしない入居者から、

『 この部屋、以前何かありましたか?』

とTEL。

俺:「 イイエ、特に何もありませんが。」

数日後、また同じ入居者から

『 本当に何もありませんでしたか?』

とTEL。
一応、先輩社員から確認したが特に何もないので、

俺:「 調べましたが、特に何もありませんでした。」

と返答。
またまた数日後、入居者から、

『 一度きてください、絶対なにかあります。』

俺:「 では近くに行ったときか、時間ができたら伺います。」

でも、どうせ池沼のクレーマーだと放置。
またまた、数日後、

『 あんた来てくれるっていたじゃないか!』

ってお怒りモード。
少々お怒りなので詳しく話を聞くと、特に浴室、

『 暖かい風呂に入っていても寒気がする。』

とのこと。
 まぁ、怒らせても余計面倒くさくなるので、訪問日時を設定。
訪問前に再度色々調査したが、特に何も無し。

 で、約束の日時に訪問。

入居者:『 お忙しいのにわざわざスミマセン。』

何だ普通に良い奴じゃん・・・・。

俺:「 じゃぁチョットお邪魔しますね。」

 再度調査したが何も無いことを伝えて、クローゼットの中はもちろん色んな所を調べるが、特に変わった箇所も無し。(お札とかも無かった)
そして、入居者が、

「 特に浴室が・・・・。」

って言うので調査のため一歩踏み入れたら、換気扇は回していないし、窓が無いUBなのにヒンヤリした感じ。
UBで調べる所といえば天井の点検口のみ。
 で、点検口をずらして見てみると、俺も、

「 ウォッ!」

って声にならない声を出してしまった。

UBに点検口があるマンションに住んでいるアナタ!
一度調べてみては如何ですか?

 上階との隙間にある配管に数本のネクタイが、首を吊れる感じでキツク結ばれて垂れさがっていた。
バスタブの縁に立って、その輪に首を入れてバスタブの縁から足を外したら良い感じだった。
取り合えず、そのネクタイを全部外して、敷地内のゴミ捨て場に捨てた。
それ以来、入居者から電話が来なくなった。

追記:前入居者が他で自殺したとかは、未確認。
で、俺が対応したその入居者も、それから半年か1年以内ぐらいだったかな?
荷物を全て残していなくなった。(これ本当)
家賃未納で、俺がその部屋に実際に確認に行ったから。

” あっ!この部屋って、あの時のっ・・・!”

て、部屋の前に行ってから思い出した。
 ここは、数棟同じ様な建物が並んでいて(デザインや築年同じ)、違う棟だが数年前に焼身自殺がありました。(これ本当)
そして、部屋の号数が同じ。
建物を間違えちゃったのかな?











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日々の恐怖 2月22日 佐藤さん 

2024-02-22 14:06:33 | B,日々の恐怖






 日々の恐怖 2月22日 佐藤さん 






 親父から聞いた話です。
親父が大学3~4年の間、男3人で小さくて古い一軒家を借りて住んでいた。
 といっても、家賃をちゃんと払ってるのは親父と鈴木さんだけ。
もう一人の佐藤さんはあまりにも貧乏なので、居候させる代わりに家の掃除、
ゴミ出しなどをやってもらうことにしていた。
親父と鈴木さんは、佐藤さんの困窮ぶりを助けてやろうということだったようだ。
 間取りは3LDKで、LDK6畳・6畳・6畳に4畳半。
佐藤さんが4畳半。
この佐藤さんの4畳半に出た。
 親父も鈴木さんも何度も見たのが、恨めしそうに正座する白髪の老婆。
出るタイミングも朝昼晩関係なし。
多い時には一日に三回くらい見る。
 4畳半の襖が開いている時、何気なく目をやると、中に白髪の老婆が恐ろしい形相で正座している。
来客の中にも見た人が5人ほどいたらしい。
 ところが、その部屋で寝起きしている佐藤さんだけは、老婆の幽霊を見ない。
親父と鈴木さんが、

「 佐藤、変なもの見たことないか?」

というと、佐藤さんはきょとんとするばかり。
 引っ越して1ヶ月し、親父と鈴木さんが黙っているのも悪いと思って、老婆の幽霊を佐藤さんに話した。
すると、佐藤さんは、

「 う~ん・・・・・。」

と考えてから、みかん箱を部屋の中に置いて、上にワンカップを置いて、

「 先に住んでいるおばあさん、ごめんなさい。
でも、俺は貧乏だから、どこにも行き場がない。
だから、申し訳ないけど、大学を卒業するまでは、この部屋に住ませてもらえないでしょうか?
毎日お供え物をするのは無理だけど、田舎からお茶とお米だけは送ってくるので、それだけは供えます。
バイト代が入った時には、お花を一輪と、ワンカップをひとつ買ってきます。
どうか、よろしくお願いします。」

親父と鈴木さんは、

” なに、やってんだろうな、こいつ・・・・・。”

と思ったが、佐藤さんが真面目にやっていたので、一緒にそのみかん箱に頭を下げた。

 以来、老婆の霊は出なくなった・・・・、わけではなかった。
相変わらず、老婆の霊は出た。
しかし、佐藤さんがみかん箱に毎日お茶を置き、ご飯を炊いたら一膳のせを繰り返しているうち、
1ヶ月ほど経ったら老婆の霊は、痩せこけた恨めしい姿から、ふくよかな微笑みをたたえた表情になっていった。
ただし、やっぱり佐藤さんにだけは見えなかったらしい。
 やがて親父たち3人は就職試験を受け、それぞれが望む職に就き、引っ越す日が来た。
遠方に住む大家さんに話をすると、親父たちが引っ越したらその家は取り壊してしまう予定だから、
特に大掃除などはしなくていい、という。
それでもやっぱり2年間お世話になった部屋だからと、最終日それなりに掃除を済ませると、もう夜中になっていた。
 3人が最終電車に間に合うようにと玄関を出て、最後に揃って振り返ると、佐藤さんが、

「 あっ!」

と声を出した。

「 お前らが言っていたおばあさんって、あの人か?」

” やっと佐藤にも見えたか!”

と、親父と鈴木さんも見たが、おばあさんはどこにも見当たらない。

「 ほら、あそこ。
俺の部屋で手を振ってるよ。
ありがとう、おばあちゃん!」

そして、親父と鈴木さんが見えたのは、家の屋根からスゥーと上っていく人魂だった。
人魂は、佐藤さんには見えなかったのが不思議です。
今から30年前、東京都板橋区でのお話でした。













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日々の恐怖 2月11日 町内会長

2024-02-11 12:45:16 | B,日々の恐怖






 日々の恐怖 2月11日 町内会長






 23区内私鉄沿線住宅地での話。
10年ぐらい前に爺さん地主が死んで、50代の息子夫婦が越してきた。
越してきて1年ぐらい経ってから、奥さんの姿が見えなくなり、一人残された旦那の奇行が始まった。

・一日中、隣近所に聞こえるような大音量でクラシック音楽(主にベートーベン)を鳴らし続ける。
・庭に裸のマネキン人形を運んできて並べる。そして、金色に塗りたくってライトアップ。
・昼間は冬でも海パン一丁でベランダに出て、不思議な体操を何時間も踊り続ける。
・隣近所に対して罵声を浴びせまくり、洗濯物にホースで放水。

 うちの家からこの地主の家は良く見える位置にあったんだが、しょっちゅう隣近所からの通報でパトカーが来ていた。
そんな日々が3~4年続いて、ある日、迷惑行為がプツリと止んで、息子の姿が見えなくなった。
クラシック音楽だけは同じ曲がエンドレスで鳴り続けていたが、3日めに警官が乗り込んだところ、部屋の中で死んでた息子を発見、
パトカーが3台ぐらい来て捜査。(うちにも警官が事情聴取しに来た。その後、餓死なので事件性なしとされたと、町内会長から聞いた。)

 事件後3ヶ月ほどしてから、深夜に便利屋が家の中のものを何回かにわけて運び出す。
リフォーム屋が来て、外装を一新。
直後に50代夫婦が引っ越してくる。(この夫婦は地主一族とは全く無関係で、不動産屋から紹介されてきただけ。町内会長談)
とても穏やかなご夫婦で、近所にもきちんと挨拶をする常識的な人たちだった。
 引っ越しから半年後、また元地主の家からクラシック音楽が聞えてくるようになる。
この頃には夫婦の表情がおかしくなっていた。
奥さんはボサボサの髪の毛でブツブツ言いながら歩き、旦那さんは会社を辞め、庭を上半身裸でウロウロ歩き回り続ける。
引っ越してきてから1年ぐらいで息子夫婦がやってきて、夫婦を無理矢理連れ出す。
 その後、空き家に。
近所で”あの家は呪われてる”決定。
ずっと空き家になったまま放置され続ける。
空き家なのに、クラシック音楽が家から聞える怪異が何度かあった(お隣さん談)。

 一昨昨年、この空き家と近所一角をまとめて不動産会社が買い上げ、高級低層マンション建設計画が持ち上がる。
夏頃に一角は更地になったが、その後、リーマンショック。
建設計画白紙。
 1年ほど塩漬けにされてたが、不動産会社が代わり、建て売り住宅として工事再開。
問題の跡地工事中に相次いで事故発生。
大工さん2人が重傷。
工事一時中断。
中断中、マイクロバスに乗った15人ほどの謎の集団が訪れる。
巨大な護摩壇のようなものを設置し、数時間祈祷。(なぜか、町内会長も出席させられる)
その後、工事再開。
事故もなく無事に建て売り住宅完成、売り出し後は即完売。

 以下、町内会長によるお話。
地主一族は御稲荷様を信仰していたのだが、爺さんが死んでから、きちんと継承していなかった、と。
その後、何も事件は起きていません。
ちなみに、町内会長とは、同じ町内に住むうちの爺さんです。











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日々の恐怖 2月1日 服 

2024-02-01 09:39:44 | B,日々の恐怖





 日々の恐怖 2月1日 服  





 知人の祖母・Nさんが若い頃体験した話だ。
Nさんにはお気に入りの服があった。
生成り地に小花が少し刺繍された、可愛らしいデザインのワンピース。
 Nさんはその日も、お気に入りのワンピースを着て買い物に出かけた。
そして帰宅後はすぐに着替え、ワンピースをハンガーに通して鴨居にかける。
湿気を飛ばしてからしまう為だ。
そうしている内に、外出の疲れからか、ついうたた寝をしてしまったのだそうだ。
 しばらくして目が覚めたNさんは、ぼんやりとあたりを見回した。
すると、鴨居にかけたワンピースが、風もないのに揺れているではないか。
不思議に思い目をこらすと、裾から見え隠れする物がある。
生成りのワンピースより、もっと白い何か。
 それは音もなく降りて来た。
人の爪先であった。
凍りつくNさんをよそに、白い脚はゆっくりと降りて来て、その姿を現して行く。
爪先から甲、くるぶし、ふくらはぎ。
だがいつまでたっても膝は見えず、それが更に不気味だった。
 とうとう、力なく垂れた足先が床まで届いた。
その途端、脚全体がぐにゃりと曲がった。
まるで飴細工の様だったという。
 脚はなおも伸び続け、白く長く、畳に二筋のとぐろを巻いている。
これは一体何なのか。
恐る恐る視線を上げたNさんの目に飛び込んで来たのは、今まさに、ワンピースの襟元から出て来ようとしている、真っ黒な頭だった。
Nさんは我に返り、這う様に逃げ出したという。
このワンピースは、結局捨ててしまった。











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