龍平は、眼を瞑って向こう向きになった。
俺は後ろを向いた隆平に言った。
「 まだ、お揚げ婆さんの話があるんだけど・・・。」
龍平は向こうを向いたままだ。
返事も無い。
もう、寝てしまったように見える。
“ おまえ、瞬間睡眠か・・・。”
俺は龍平と喋るのを諦めて、布団を首まで引っ張って仰向けになった。
そして、四角い天井を見ながら考えた。
“ だんだん、訳が分からないことになって来たぞ・・・。”
暗い天井がスクリーンのように見える。
そのスクリーンに狸小路と女の子の笑い顔がボンヤリ映り始めた。
“ これほど不幸な人間は、世の中にいないんじゃないかな・・・。”
狸小路と女の子は、二人で手を取り合ってクルクル回る。
“ 参ったなァ・・・。”
さらに、二人の輪の中に黒い塊がムクムクせり上がって黒い人影が現れた。
俺のイメージは、悪い方にドンドン膨れ上がって来る。
“ 増えて来たぞ・・・。”
そして、次は三人でクルクル回っている。
“ ホント、楽しそうだな・・・。”
大きくなった輪に、ガマ太郎に乗ったお揚げ婆さんがズリズリズリとせり上がって来る。
“ うわっ、婆さん、来たぞォ~。
弱ったなァ・・・・。”
俺は、とにかく、こいつらから脱出しなければならないのだ。
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