大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

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大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

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A,日々の出来事

☆( 1年間366日分の日々の出来事  )

B,日々の恐怖

☆( 日々の恐怖 )

C,奇妙小説

☆(  しづめばこ P574 )                          

日々の恐怖 4月30日 呪詛代行

2015-04-30 18:53:47 | B,日々の恐怖


   日々の恐怖 4月30日 呪詛代行


 私は2年前まで呪詛代行のアルバイトをしていました。
所属していたのは、心霊DVDなどを作ったりしてるプロダクションで、業界でもそれほど胡散臭くはないところです。
 他にもお守りや、占いグッズの通販もしています。
有名どころで、もちろん今もあります。
 私が担当していたのは、ブードゥ系の呪いで、依頼者から呪う相手の爪や髪の毛を送ってもらい、ブードゥの泥人形に入れて呪文を唱えながら針で刺す、というものです。
これはその過程をきちんと写真に撮り、依頼者に送ります。
 料金は3段階あって、それなりに高額ですが、3ヶ月たって効果がなかった場合はきちんと返金します。
返金率は7割くらいでしょうか。
 それで、このバイトを始めてふた月ほどは何もなかったのですが、三か月目頃から全身にひどい発疹が出るようになりました。
発疹は病院で診断を受けましたが、内臓からきているものといわれました。
 それからは私の身の回りで奇妙なことが続きました。
まず、飼い猫が私を避けるようになったのですが、これはまあ元々可愛がってはいませんでしたので、そんなもんかなと思います。
 それから、ある日突然、熱帯魚の水槽が濁って全滅しました。
次に、庭の一本の木が立ち枯れる。
周囲にゴキブリや蠅などの虫が増えました。
一度などは開いた本の間に大きなムカデが挟まっていたこともありました。
まあしかし、家は郊外にあるし、よくある偶然が続いてるだけかもしれないとも思っていました。
 ところが、しばらくして父の様子がおかしくなりました。
父はまだ五十代で、固いところに勤めているサラリーマンなのですが、夜中の3時過ぎに、パジャマのまま家の外に出て行くようになりました。
 そして1時間ほどして帰ってくると、泥まみれで爪の間などにびっしりと土が入り込んでいるのです。
しかも、大きな音を立てて出て行くのに、朝に聞いてみると本人はどこへも行っていない、と言うのです。
 さらに、同居していた姉の3歳の女の子が、寝ている間にお腹を自分でかきむしり、しまいにはお腹が血だらけになって受診するということが起きました。
 もちろんこれらはすべて偶然で片づけられることでしょうが、その頃から私は毎晩同じ夢を見るようになりました。
それは、自分は部屋のベッドに寝ていて、その周りをぐるっと7人の人が取り囲んでいるのです。
 まったく見たことのない人たちなのですが、みな和服の寝巻きのようなものを着て、何も言わずに私を見下ろしています。
 この夢は2週間ほど続けて見ました。
これらの異変に心当たりがあるかといえば、私がやっている呪い代行のアルバイトしかありません。
 友人にこの話をしたら、知り合いに占いをやっているという人がいるから見てもらったら、と言われ、占いの館と言うところの一室で会いました。
 そしたらやはり、呪詛のためにどんどん悪い気が集まってきていて、特にブードゥ系は、自分よりも自分の大切にしているものに災いが降りかかるのだそうです。
私を夢の中で見下ろしている7人は、私を守っている先祖ではないか、とのことでした。
 私は1週間後にバイトを辞め、すると嘘のようにおかしな出来事はおさまり、発疹はその後2ヶ月くらいで治りました。
 その後、お盆になり家族で近くにある菩提寺に墓参りにいきました。
すると、奥まったところにある墓の周囲が、納骨する空間が見えるほど周囲の土が掘り返されていました。
これで終わりです。
あまり怖くはなくてすみません。











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四枚の写真 4月29日 P49

2015-04-29 19:13:01 | _7,四枚の写真


四枚の写真 4月29日 P49 、大峰正楓の小説書庫でUPしました。


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日々の恐怖 4月27日 塚

2015-04-27 19:47:16 | B,日々の恐怖



    日々の恐怖 4月27日 塚



 結構家の近くなんだけど、昔からずっと荒れ放題の空き地だったところが開発されて一戸建てが何棟か建った。
程なく家は全部売れたんだが、そのうちの一番奥の家の奥さんと立ち話ししてたら、

「 このあたりって夜工事するの?地下とか?」

と聞かれた。
 地下鉄の通るような都会じゃないし、そんな工事も心当たりがない。
奥さんは、

「 夜中になると、ドドーンドドーンって重いものを落とすような、地響きのする音がして眠れないの。」

と悩んでいる様子だった。
 何が原因なんだろうなぁ、と家に帰ってじい様に聞いたら。

「 お前、知らないのか?あそこ一番奥、塚があっただろう?」

そう言われて思い出した。
 雑草がボーボー茂った奥にちょっと土が盛り上がった塚があった。
覚えてないのは、なんとなく不気味な感じがして土地の子供はその空き地に近付かなかったからだ。
 その後、工務店さんと飲む機会があって、最近遺跡が出て統合する新小学校の工事が遅れたって話になったら、そのうちの一人が、

「 お前んちの近くの住宅もそうだったよ。
塚を掘ったら、デッカイ平たい岩が出てきてさ。
下に何かあるんだろって、ウチで一番の重機持って来て引っ張ったんだけどよ。
チョットは上がるんだけど、持ち上がり切らなくてドドーンって落っちゃってよ。
最後ワイヤ切れたから埋めちまったよ、ワハハ!」

なんか、飲んでて暑かったのに鳥肌たった。
 その家は何年か後に一家離散状態になって奥さんの行方はわからない。
今はどこかの企業の借り上げ社宅になってるらしい、いつも出てくる人が違うし。
古い地図にはちゃんと塚のマークが付いてるから、家を買うときは古い地図を見てみることを、お勧めします。










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しづめばこ 4月26日 §26 五階 P366

2015-04-26 18:24:01 | C,しづめばこ


しづめばこ 4月26日 §26 五階 P366  、大峰正楓の小説書庫で再開しました。


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日々の恐怖 4月24日 ユウちゃん

2015-04-24 14:12:17 | B,日々の恐怖



   日々の恐怖 4月24日 ユウちゃん



 関西の大学に通うWさんから聞きました。

 俺が中学生で、7月頃の話です。
晩飯を食い終わり、階段を上って部屋に戻る途中、廊下の窓からふと隣りの家を見た。
もっとも、隣りといっても空き地を挟んだ先に建っているので、ウチから50mほど離れてはいる。
 もう陽は落ちていたけど、わずかに残る明るさの中で、その家の軒下に短パン姿の小さな男の子が立っているのが分かった。
俺に背を向けその家の壁と向かい合わせで、なんつうか棒立ちで、ドアも窓も無いただの壁の所に立って微動だにしない。

“ どこの子だ?
こんな時間になにやってんだろ?”

と暫く見ていた。
 もっとも、暫くと言っても、時間としては5秒ぐらいかな。
突然、居間から兄が、

「 おーい○○(俺の名前)、今週のジャンプは~?」

って俺を呼んだので、その場を離れた。
 その後、まだ読みかけのジャンプを兄に奪われ、戻ってきた時には、もうその子はいなかった。

“ 空き地で遊んでて、転がってったボールを探してたんだろな・・・。”

ぐらいにしか思わなかった。
 そのことはしばらく忘れていたんだけれど、それからひと月後ぐらいに兄と話しているとき、ふとその日の事を思い出し、何気に兄に話した。
 すると、さっきまでヘラヘラしてた兄の表情が一変した。
それも、悲しげな顔で、

「 そういえばお前まだ小さかったし、教えてなかったしな・・・。」

と昔の話をしてくれた。
 隣りの家にはユウちゃんという男の子が一人いたそうだ。
ユウちゃんは俺の兄の一つ下で、兄とユウちゃんはいつも一緒に遊んでいた。
兄と俺は4つ離れていて、当時1歳だった俺は遊び相手にはならなかった。
だから、俺にはユウちゃんの記憶はない。
 でも、仲の良かったユウちゃんは交通事故で死んでしまったそうだ。
道路の向かい側に自分の母親を見つけ、思わず飛び出し車にはねられて即死だったとのことだった。
 兄もかなりショックで相当泣いたらしい。
ウチの家族もそんな兄を想い、ユウちゃんの話はずっと伏せていたので、俺は一切知らなかった。
 俺があの日に見たその子は特徴から、

「 絶対、ユウちゃんだ。」

と、兄は言った。
 でも、それはそれとして、俺には一つ疑問があった。
それで兄に聞いてみた。

「 なんで何もない壁のほう向いてたのかな?」

すると兄は答えた。

「 ああ、それもさ、お前覚えてないだろ。
あの家、それから改築したのよ。
かわいそうに、玄関がわかんなくて入れないんだな・・・。」

俺が見たユウちゃんが立っていた場所、ちょうど改築前は玄関の位置だったそうだ。










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四枚の写真 4月23日 P48

2015-04-23 15:13:46 | _7,四枚の写真


四枚の写真 4月23日 P48 、大峰正楓の小説書庫でUPしました。


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日々の恐怖 4月21日 コテージ

2015-04-21 19:05:11 | B,日々の恐怖


   日々の恐怖 4月21日 コテージ


 去年の秋、某県にあるペットも一緒に泊まれるコテージに、俺と嫁とトイプードルの2人と1匹で泊まりに行った時の話です。
 まず、別の施設にあるフロントでチェックインを済ませ、部屋の鍵とパンフの類を貰い、 部屋まで散歩がてら歩いていったんだけど、天気も良く涼しいので、犬も楽しそうにしていた。
 それで、部屋に着いたんだけれど、どうも犬がコテージの前で両手足突っ張った状態で動かない。
部屋から離れようとして、怯えているのがよくわかる。
結構臆病な犬だけど旅行慣れはしていて、こういう反応するのは初めてだったんで、嫁と、

「 なんか、いるのかもね?」

なんて冗談言っていた。
 怯える犬を抱き抱えて、玄関の脇にあるペット用の足洗い場で犬の手足洗ってから中に入ると、室内は広く綺麗で、洗面所やトイレ、シャワー室もきちんと清掃されていて、ベランダから見える森林や鳥の囀りが心地良く、怯えてる犬を除けば俺も嫁も満足していた。
 どうも犬がそわそわして仕方ないので、持ってきたトラベルキャリーにいれたら、少しは落ち着いたらしく、大人しくなった。
 そんなこんなで、暫くしたらどっぷり日も暮れ、食事の時間になった。
レストランと温泉は別の施設にあるので、一々部屋に戻るのはメンドくさいねという話になり、食事のあと近くを少し散策して、温泉に入って戻ってこようということになった。
 部屋から出る時、犬が不安なのかキュンキュン泣いていたけれど、かわいそうだがキャリーの中でお留守番しててもらった。
旨い食事を食って、散策、温泉と、その間2時間ちょっとかな、部屋に戻ると、なんか様子がおかしい。
閉めていたキャリーの扉が開いていて、犬がいない。
 俺と嫁は一気にパニックになって犬を探し始めた。
すると、キッチンの隅で小さくなって震えている犬を発見した。
半泣きの嫁に抱き抱えられ、震えている犬。
その嫁に、

「 なんでしっかりキャリーの扉ロックしとかないのよ!」

とブチ切れられる俺。
 確かにロックしたはずだし、今までこんな事なかったんで、キャリー調べたんだが異常なし。
腑に落ちなかったけど、折角の旅行で喧嘩するのも嫌だったし、ゴメンと謝った。
 前日まで仕事、今日は早朝から車の運転、そして今の事で疲れがどっと出て、今日は早めに寝ようということになった。
ベッドルームにはシングルベッドが二つあって、嫁は犬と一緒に、俺はもう一つのベッドで寝ることになった。
まだ夜の9時過ぎだったけど、疲れもあったしすぐに寝入ってしまった。
 何時間ぐらい経ったのかわからないけど、突然、犬の吠える声で目が覚めた。
嫁も一緒に目を覚まし何だろうと見ると、嫁側のベットの横のベランダに向かって、犬が唸ってる。
 ベランダはカーテン閉めてあるから向こう側は何も見えないし、変な物音もしない。
しかし、今まで見たことない唸り方なんで、俺も嫁もちょっと薄気味悪くなり、何だろうねとお互い顔見合わせてると急に、まるで冷房入れたかのように気温が下がった感覚があった。

「 なんか急に寒くなってない?」

と嫁に聞くと、嫁も同じで、

「 いきなり寒くなった。」

と言った。
 嫁は不安そうに犬を抱き抱え、犬も震えながらベランダの方見ている。
ここは俺が様子見に行くべきなんだろうけど、さすがに怖い。
 どうしようかと迷ってたが、意を決してベランダの方に行こうとした瞬間、下がった気温が元に戻る感覚があった。

「 あれ?戻った?」

と嫁の方を見ると、嫁も、

「 うん。」

と頷く。
 犬もまた大人しくなって、ベランダの方を気にする様子もなくなった。
嫁も俺も今までこんな体験はなかったんで、軽くビビって全室の電気をつけて寝ることにした。
 その際、恐る恐るカーテンの隙間から外覗いたけど、当然真っ暗で何も見えない。
聞こえる音も、虫の声ぐらい。
 結局その後は何も起きなかったんだけど、俺も嫁もあまり寝付けなく、その日は朝食も早々に、時間よりも早くチェックアウトして、無事帰路につきました。
一体あの部屋で何かあったのか、フロントの人に聞こうかとも思ったんだけど、流石になんか気恥ずかしく聞けなかった。
 こうして思い出しながら話していると、あの時の怖さとか不気味さを思い出すんだけれど、うまく言えないので申し訳ないです










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日々の恐怖 4月18日 水溜り

2015-04-18 19:31:29 | B,日々の恐怖


    日々の恐怖 4月18日 水溜り


 ど田舎に住んでいた、小学校時代の話です。
かなり雪が積もる地方の春先のこと、自宅近くのホームセンターに一人で買い物に出かけ、駐車場を横切っていた。
 車止めと車止めの間、停めてある車のお尻が並ぶ間で、そこは雪解け水が泥水になって広い広い水溜りになっていたが、駐車場だからさほど深い水溜りではないし、長靴でばちゃばちゃやりながら歩いていた。
 すると、いきなり片足が付け根近くまで水に沈んだ。
つま先がどこにもつかない。
 心臓が止まるかと思うほど驚いたが、運動音痴な自分には珍しく、バランスを崩さずにしゃがんだ姿勢になっただけだったので、必死にもう片足だけの力で立ち直ることができた。
 被害は片足だけだったが、水は雪混じりで本当に氷のように冷たかったし、恥ずかしいし、助けてくれそうな大人の姿は辺りになかった。
たぶん、田舎だし寒いので皆店内にいたのだと思う。
それで、半べそで家に帰った。

 数日して再度その店に行ってみたところ、駐車場の水溜りはすっかり水が退いていて、片足が落ちた辺りには、子供一人が落ちるには十分な大きさの排水口があるのが見えた。
多分、あの時には、泥水で見えなかったけれど、蓋の金属の網が外れていたんだと思う。
 もう一歩横にずれて歩いていて泥水の下の落とし穴にすっぽり落ちていたら、気がついてくれる人もいなかっただろうし、私はホームセンターの駐車場で水死していたかも、と後から怖くなった。
あれから、浅いと思っても水溜りを歩くのが怖い。








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日々の恐怖 4月17日 声

2015-04-17 20:14:36 | B,日々の恐怖


   日々の恐怖 4月17日 声


 都内の会社員Kさんに聞きました。
私の勤めている会社は、とても古いビルなのでドアの建て付けが良くないのです。
よく軋んだ音を立てるため、定期的に油が注されているけど、効果がほぼ無いと言った状態です。
だから、あまり使わない倉庫に行くと、

“ キィ~ッ!”

と嫌な音がします。
 つい先日のこと、屋上の一つ手前の階に資料を取りに行きました。
ナントカ機械室って言う、大きい機械が唸っていて、工場みたいな配管が低い位置までびっしりある、ヴーンっていう得体の知れない音がする場所です。

“ 気味悪いなぁ・・・。”

と思いながら、そこの奥に置いてある資料を取って外へ出ました。
 ドアが閉まった瞬間、声がしました。

“ キャッ!”

確かに人の声だと思いました。
それで、本当に驚いて、慌てて私は走り去りました。
 そして資料を使い終わって、それを戻しに行かなくちゃいけなくなった時、もう怖くて怖くて仕方が無かったので、後輩に、

「 重いから手伝って・・・。」

と言って、一緒に来てもらいました。
 後輩が、

「 そういや課長から聞いたんですけど、ここって昔、飛び降りが・・・。」

と、いらないことを言ったので、

「 そんなバカな~。」

と冗談っぽく流したりしながら、それでも怖くて、機械室に入った後、耳を澄ませてみました。
 しばらくして、やっぱり声がしました。

“ キャッ!”

でも、分かりました。
その音、ドアからしたんです。
古いビルで建て付けが悪いから、そういう音がしただけだったんです。
 もう本当に、自分でも呆れてしまいました。

“ ああ、くだらない・・・。”

そう思いながら資料を置いて、機械室を出ました。
 そのとき、また、音がしました。

“ キャッ!”

でも、もう怖くない。
だから後輩に、

「 この音、女の人の悲鳴っぽいよね。」

と言ったら、後輩は首を傾げて、

「 え、どの音です?」

“ そういえば、ドアが軋む音なんて、いちいち聞いてないか・・・。
どう説明しようかな・・・?”

と思っていたら音がしました。

“ キャッ!”

「 ほら、この音。」

と私が言うと、後輩は、

「 えっ、どの音ですか・・・・?」

と不審な顔をされました。
 どうやら、後輩にはその音が聞こえていないような感じです。
それで、

「 いや、何か音がしたような気がして・・・。」

と誤魔化しました。
そして、そのまま何事もなく、エレベータに乗って、事務室に戻って来ました。
 でも、よく考えると、

“ どうして音がしたのかな・・・?”

と思いました。
ドアはもうキッチリ閉まっていて、音を立てるわけ無かったんです。
 誰かがドアを開けたのでしょうか? 
人気の無い、機械室の?
それもなんか変です。
 確かに、あれは人の声だったと思います。
自分としては、

“ ちょっと妙な体験したなぁ・・・。”

と思いました。
そして、その声が聞こえたのはその日だけで、それ以降はその声を聞いたことはありません。










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四枚の写真 4月16日 P47

2015-04-16 19:53:51 | _7,四枚の写真


四枚の写真 4月16日 P47 、大峰正楓の小説書庫でUPしました。


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日々の恐怖 4月13日 夏の終わり

2015-04-13 20:15:36 | B,日々の恐怖



    日々の恐怖 4月13日 夏の終わり



 十数年前になる。
俺は3流大学に通う苦学生だった。
週4日のバイトと仕送りで、やっと人並みの食い物が食える程度の収入があった。
 それは大学2回生のある夏のことだ。
俺は夏の暑さに参っていた俺は、バイトがない日はほぼ毎日エアコンの効いた市民センターで大学のレポートを仕上げるのが日課だった。
そして、そこには地域の交流掲示板という、勝手に張り紙してもいい掲示板があった。
 俺はいつもその掲示板をチェックしていた。
というのも、高校受験に限っては自信があったので、

“ 家庭教師募集でもあれば・・・・。”

と思っていたのだ。
 しかし、

“ 外国語を一緒に勉強しませんか?”

とかいったものがほとんどで、家庭教師の募集はあまりなかった。
 そんなある日、俺がいつものようにその掲示板をチェックすると、こんな張り紙があった。

“ 7月○日~○日の間の日でお部屋の片付けを手伝ってくれる方募集 半日5千円~ TEL XXXX-XX-XXXX 山田(仮名)”

 ちょうどその間の日は大学がテスト終わり直後で休みでバイトも入っていない、さらに帰省する予定の数日前で都合が良かった。

“ 5千円なら帰省費用の足しになるだろう。”

と思い即決、すぐさま電話をかけた。

「 掲示板で片付けのお手伝い募集してるようで、それに応募したくて電話したんですが・・・。」

というと、男は少し戸惑った感じだったが、少しして、

「 分かりました、何日ならいけますか?」

と言って来た。
そこで、

「 ○日以降なら、どの日にちでも大丈夫です。」

というと男は、

「 じゃあ○日で、朝からいけるなら9時からでお願いします。」

と返してきた。
そして、こちらの連絡先や男のアパートの住所を聞いて応募は完了した。
電話に出た男は声から察するに、30代半ばくらいで少し元気がなさそうだったのは印象的だった。


 そうこうしている間に日は過ぎ、約束の日になった。
天気は快晴で朝でも暑い日だった。

「 山田さんの家、クーラー効いてるといいなぁ~。」

なんて思いながら、俺は山田さんのアパートに向かった。
 8時50分ごろ、山田と書いた表札がある部屋の前にたどり着いた。
ピンポーンと呼び鈴を鳴らすと男が出てきた。

「 よくきたね、いらっしゃい、入って入って。」

男は他人と話すのが苦手なのか目をそらしながら俺に挨拶し、部屋の中へと入っていった。
俺は、

「 お邪魔します。」

と靴を脱ぎ男の後を追った。
クーラーの効いた涼しい部屋だった。
 その後、改めてお互い自己紹介した後、片付けの段取りや何を手伝って欲しいかと伝えられた。
重い物を持つときに運ぶ手伝いと、ゴミをゴミ捨て場に捨ててくる、簡単な清掃、というのが俺に求められた役割だった。
 ゴミは結構多くて、苦学生の俺が欲しいと思うようなお宝も数多くあった。
それを察したのか、山田さんは、

「 欲しいのあったら持って帰っていいよ。」

と言った。
俺は喜んで持って帰るものは選別しカバンにつめていた。
 そうこうしている間に片付けは進んだ。
山田さんの部屋は見る見る綺麗になった。
というか、最初からそこまで物が多い部屋ではなかったので、かなりガランとしてしまった。山田さんは、

「 そろそろ・・・。」

と言って少し考えた後、ハッと俺のほうを見た。
そしてさらに考えるそぶりをして、

「 そろそろ終わりにしようか。」

と言った。
 そして、一日働いたからと1万円のピンサツをくれた。
山田さんは、

「 できれば明日半日くらい空かない?
もう少し手伝って欲しいことがあって・・・。」

と言った。
俺は、

“ あと5千円もらえる、ラッキー!”

と思い快諾した。
そしてお宝を満載にした自転車で家に帰った。


 次の日、山田さんの家に来ると玄関が空いていた。

「 すいませーん、山田さんいますかー?」

というと奥から

「 いるよ、入ってきて。」

と声が聞こえた。
俺は玄関を閉め、

「 お邪魔しまーす。」

と言って部屋に入った。

“ 山田さんどこだろう、こっちから声が聞こえたな?”

そう思って奥の部屋に向かうと山田さんがニヤニヤしながら近寄ってきた。
山田さんは、

「 今日は半日でいいから5千円入れた封筒ここに置いとくから。」

と机の上に置いた。
そして、

「 こっちきて。」

と俺の手を引っ張り部屋の奥に連れて来た。
実はこの部屋のウォークインクローゼットの中に重い荷物があって、それを1人で出すのが大変だから手伝って欲しいとのことだった。
 山田さんは、

「 中から押すから、合図したら外から思いっきり引っ張って欲しい。」

と言って山田さんはクローゼットの中に入った。
クローゼットにはジャケットやスーツが掛けられており、山田さんの姿は見えなかった。
 少しして山田さんが、

「 引っ張って。」

と言ったので、その荷物の取っ手を思いっきり引っ張った。

“ ズルズル・・・ズルズル・・・・。”

少しずつ荷物が動く。
重い、60キロくらいありそうだ。
すると、ズコッと荷物が抜けた。

“ あれ?空じゃん。”

クローゼットからバタバタバタンと音が聞こえる。

「 山田さん?」

何度か声をかけたが返事がない。
バタバタという音が徐々に消えかけた。

「 え?え?」

その時、状況が全く把握できなかった。
 そして、ハッとしてスーツやジャケットをどけた。
実際ここまで十数秒だっと思うが何分も経ったような感じがした。
 山田さんはクローゼットの中で首を吊っていた。
踏み台をどけたのは俺だった。
 すぐに降ろそうとしたがロープが硬くて外れない。

“ 切る物・・・、全部捨てた記憶がある・・・。”

正直パニクっていた。
 山田さんは動かない。

“ 降ろさないと・・・、太いロープだ、鋏じゃ無理・・・、どうしよう・・・。”

隣人に助けを求めたのは1分以上経った後だった。

 それから救急と警察が来て一日事情聴取だった。
実家からは親が来てなぜか号泣された。
 山田さんは救急車で搬送されたが、降ろすのに時間が掛かりすぎその日のうちに病院で亡くなった。
遺品はほとんどなかった。
綺麗なもんだ。
いっぱい片付けたから。
 結局、俺に渡そうとしていた封筒に5千円札と一緒に遺書めいた紙が出てきた。
リストラにあったこと。
妻が他の男と逃げたこと。
借金があったこと。
などが書かれており、

“ 最後に俺君には迷惑をかけた。”

など書いていたため、なんとか自殺幇助の疑いも晴らすことができた。
そして事情を理解した警察が、一時期押収していたその5千円もくれた。
結局、自殺の際の身辺整理をしたかっただけ、そう思っていた。

 その1週間くらい後、昔山田さんと縁を切ったという、山田さんの姉が来た。
そこには自分にとって嫌な真相があった。
 山田さんは某宗教の熱心な信者だった。
それが原因で家族と仲違いしたようだった。
その宗教では、自殺すると地獄に落ちる、など言われている。
そこで、死にたいけど自殺は駄目だ。
だから今回のような方法で死ぬことを選んだらしい。
 そして最後に、

「 これ少ないけど迷惑かけたから・・・。」

と10万円をくれた。
山田さんの解釈だと、俺は人を殺したことになるのか?
俺は11万5千円で地獄行きなんだろうか。











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しづめばこ 4月12日 P365

2015-04-12 17:30:59 | C,しづめばこ


しづめばこ 4月12日 P365  、大峰正楓の小説書庫で再開しました。


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四枚の写真 4月9日 P46

2015-04-09 19:14:18 | _7,四枚の写真


四枚の写真 4月9日 P46 、大峰正楓の小説書庫でUPしました。


小説“四枚の写真”は読み易いようにbook形式になっています。
下記のリンクに入ってください。

 小説“四枚の写真”





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日々の恐怖 4月8日 なれなれしいヤツ

2015-04-08 18:50:35 | B,日々の恐怖



   日々の恐怖 4月8日 なれなれしいヤツ



 高校生の頃、学校にやたらとなれなれしい用務員のおやじがいた。
当時、まだたばこにうるさくなかったので、校舎の日陰でセブンスターのボックスを吸いながら休憩するのがよく目についた。

「 メンソールを吸うと勃たなくなる。」

がおやじの持論だった。

「 おやじがたばこ咥えながらニタニタ笑ってみてる。」

ルーズソックスがはやり、スカートの丈が短くなりだしたころ、女子どもはそんなことを言っておやじを気味悪がっていた。

「 見られたくなければスカートを伸ばせ。
もしくは化粧を止めろ、その化粧を・・・。」

我々高校生は、変におやじに同情しながら人生について語り合っていた。


 異変があったのは夏休みが終わる頃、バレー部の女子の一人の着替えが無くなったのだ。
結構な騒ぎになり、全体朝礼で、

「 自分から名乗り出てきたら怒らない、心当たりがあるものは先生に言いなさい。」

と、体育の教師が言っていた。


 おやじがクビになったと聞いたのは、それからしばらくのことだった。
用務員室で女子のブルマーだか、スカートだかが見つかったらしい。
おやじは最後まで罪を認めなかったそうだ。


 学年が変わり、

“ そろそろ進学について考えなきゃな~。”

とか思っている頃、おやじが自殺したと噂で聞いた。
自宅で首をくくって、潔白を訴える遺書があったらしい。

“ 女の服の一つで人生が変わるんだな・・・。”

進路のことを考えていた自分は、感慨深げに友人たちと噂していた。


 数学の教師が首を絞められた死体で発見されたのは、それからすぐのことだった。
部屋からは用務員室で見つかった以外の着替え、盗撮らしいビデオテープ、写真などが見つかったらしい。
 それから、嫌煙者だった数学の教師の部屋にはセブンスターのボックスの吸い殻があったとのことだった。

「 おやじも、くわえたばこで化けて出ることないよな・・・。」

友人のもらした一言に俺は、

「 それはちょっと違うんじゃ・・・・。」

と思った。










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しづめばこ 4月7日 P364

2015-04-07 18:09:12 | C,しづめばこ


しづめばこ 4月7日 P364  、大峰正楓の小説書庫で再開しました。


小説“しづめばこ”は読み易いようにbook形式になっています。
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