大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

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日々の恐怖 9月29日 私の話(1)

2020-09-29 11:45:19 | B,日々の恐怖




 日々の恐怖 9月29日 私の話(1)




 東京近郊の結構有名な大寺院です。
そこのお堂の下には大広間があり、通夜・葬儀で貸し出すことがあった。
 普通の葬儀社の会館と違う所は、遺族は中で泊る事が出来ない事。
寺の行事もあるし、国宝とか重要文化財があるから外部の人を置く事は出来ない。
でも、防犯上誰もいないというわけにはいかず、寺院の職員(お坊さん)が一人で泊って番をする。

 その大広間でいつもの通りに通夜が行われた。
亡くなったのは女性で鉄道自殺だったらしい。
 いつもの通り通夜が営まれ、夜遅くなったころ大広間から、

” ガタン!”

という音が聞こえた。
 その時泊った職員は、

” ネズミか何かがでたのか・・・・?”

と思った。
寺の近くに森があり、そこからたまに動物が紛れ込む事があったようだ。
 一応祭壇を確認しようと中に入ると、確かに祭壇の飾りが近くに落ちていて何かがいた跡があった。
祭壇を元に戻していると、棺桶を開けた形跡があった。






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日々の恐怖 9月26日 桜

2020-09-26 09:15:58 | B,日々の恐怖



 日々の恐怖 9月26日 桜



 自分は昔から好きな神社があって、そこの桜や銀杏を見にバイクで行っていた。
ある日その神社の近くで、中古住宅のオープンハウスやっていた。
今でも、その時どうして家なんか見ようと思ったのか分からないけど、何故か家に入りたいと強く思った。
 家なんか見学するのは初めてだし緊張したけど、中には爺さんがいて、

「 この家は売れてるんやけど、まあ見てやってください。」

と言ってくれたので、安心して見せてもらった。
 建物は古めだけど、立派な邸宅って感じで庭も広い。
庭には大き目の桜が植えてあって良いなあと思い、桜を褒めると、爺さんは、

「 今度住む人には、桜を切って引き渡さなきゃアカンのや。」

と寂しそうに呟き、何かをじっと考え込んでしまった。
帰り際、爺さんが俺の連絡先を知りたいというので教えて帰った。
 数週間後、その爺さんから電話が掛かってきて、俺に住んで欲しいという。
しかも売値が相場より信じられないほど安い。
だが当時の俺の社会人ランクでは、まだまだ到底及ばない代物だったのに、何故かトントン拍子で話が進み、偶然と不思議が絡み合い、俺は家を手に入れた。
 爺さんは家の売主だった。
そして、爺さんはこんなことを言った。

「 家と桜が、あんたに住んで欲しいって言うんですわ。
こうするしか無いんですわ。」

 当初、自分には不釣合いな家だと思ってたけど、あれから5年が経ち、自分でもビックリするぐらい昇進し、会社も大きくなり、それなりになって来た。
あとで知ったが、家の桜は例の神社から分けてもらった物だったらしい。
 また今年も桜が綻んで来た。
神社の桜と家の桜が、俺と家を結びつけてくれた思っている。








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日々の恐怖 9月22日 新宿(3)

2020-09-22 17:04:31 | B,日々の恐怖




 日々の恐怖 9月22日 新宿(3)




 彼が座っていたカウンター端の席は、洋ちゃんが片付けた訳でもないのに、グラスもドリンクのセットも綺麗に無くなっている。
口ぱくぱくなる俺、水を一杯貰って飲み干す。
 呼吸を整え、気を取り直して、

「 ねえ、吉田さんって誰なの?」

と聞くと、

「 元々はうちのオーナーの関係の人だったんだけど、別れ話が拗れてここのトイレで吊っちゃってさ。
雨の日は、たま~に出てくるのよ。
暇な日限定なんだけど・・・。」
「 2年通ってたけど、そんな事知らんかったわ。」
「 そうね、まあ1年に1度とかしか出ないし。
でも、うち出るって言ってたでしょ?
あの人がそう。」
「 いつの間に消えたの?」
「 あんたがトイレ行ったときに、吉田さんもあんたについてッて、んで帰ってきたのはあんた一人だったから、その時じゃない?」
「 ええ・・・、俺一緒にトイレに入ったんだ・・・。
あの半畳一間みたいな空間に・・・。」

朝4時を回ったけど、梅雨空のせいかドアの摺りガラスの外はまだ薄暗い。

「 あと1時間くらい、いていい?
明るくなってから帰りたい・・・・。」

と、雨宿りがてら空が明るくなるのを待って帰りました。
 もの凄く腑に落ちないというか、不可解だったのは、

“ 幽霊って、グラスやアイスバケツも小道具として出せるの・・・・?”

と思ったことです。
 いやさらに不可解だったのは、洋ちゃんが俺らの肩に向かって振っていたのは、青いキャップの味塩だったと言うこと。

” あれで果たして、祓えたのだろうか・・・・?”

取り合えず、今のところ、うちに吉田さんは来ていない。
ちょっと脚色入ったけど、本当にあった不可解な話です。







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日々の恐怖 9月20日 新宿(2)

2020-09-20 12:53:56 | B,日々の恐怖

 日々の恐怖 9月20日 新宿(2)




 トイレから戻り時間を見ると4時も近い。

「 じゃ、そろそろお開きにしようか・・・。」

となった。
 竹ちゃんは出来上がってるし、さっきまで話してた初見さんも帰ったのか姿がない。

「 洋ちゃん(バーテンさん)、じゃあ、俺らもお勘定お願い。」

と竹さん抱えて席を立った。
 お勘定やり取りの後、傘を取ろうとしたら、

「 あんたたち、ちょっと待って!
さっき吉田さんとお話してたでしょ?
塩振っちゃうから、ちょっと待ってて!」

と言って、俺とその常連の後ろ姿に向かって塩を振りだした。

「 なに、洋ちゃん?
さっきの人のこと、嫌いなの?
来てほしくないみたいな・・・?」

って、俺がニヤニヤしながら聞くと、

「 馬鹿ね~、何言ってんの。
あたしが吉田さんに、一回でもサーブしたところ見た?
あの人、生身じゃないから・・・・。」

と、ゲラゲラ笑った。

「 ちゃんと祓っとかないと、お家まで着いてっちゃうよ!」

と追撃、凍り付く俺。

「 え・・・?
さっきの人って、お化け…?」
「 そうよ、あの人がいつからいて、いつ帰ったとか、覚えてもないでしょう?」

言われてみれば、もの凄いそうだ。









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日々の恐怖 9月18日 新宿(1)

2020-09-18 17:52:32 | B,日々の恐怖




 日々の恐怖 9月18日 新宿(1)




 新宿の某飲み屋での話です。
俺がここ2年くらい通ってる飲み屋があるんだけど、低い天井にカウンターと小さなテーブル2個だけの小体な店です。
 某有名芸能人がオーナーらしく、たまに芸能人とかがちょこちょこ飲んでいる。
その店を一人切り盛りしてるバーテンはゲイなのだが、所謂ゲイバーではない。
 そんな店で俺ともう一人の常連の竹さんとで飲んでた日の話です。
バーテンの彼と俺ら2人、店にはもう一人の見たことない初見の客の4人だけだった。
 外は結構強めな雨が降ってたせいか、まあこのまま閉店かなって言う感じの午前2時過ぎです。
俺ら常連2人組で、最近見た映画の話から掘り下がって、好きな映画の話をしていると、

「 あ~、俺もその映画好きなんですよ~。」

と初見のお客さんが加わってきた。
 酔っぱらっていた我々はようこそ状態で、3人で話が続く。
3人とも昭和時代の邦画ファンで、ヤクザ映画から金田一、角川映画に男はつらいよと大いに盛り上がった。
 散々話してゲラゲラ笑って暫く、

「 はぁ~。」

っと一息ついて、俺はトイレへと立った。







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日々の恐怖 9月16日 祖母の言葉

2020-09-16 16:28:40 | B,日々の恐怖




 日々の恐怖 9月16日 祖母の言葉




 これは十年位前、私が高校生の時の話です。
季節は六月、地元は北海道で梅雨知らず、そんな月初め。
私の学校は、月末にある文化祭の為に色々と準備に追われていた。
 私はお祭り大好きなもんで、クラスと学年の実行委員になっていたから尚のこと忙しい。
毎日提出書類だの、なんだので夜遅くまで同じ実行委員の子達と学校の近くのファミレスで作業をしていた。
 すると夜9時くらいに母から携帯へ着信があり、何時に帰ってくるのかの確認だろうと気楽に電話を取った。
そしたら母から、同居している父方の祖母が亡くなったと言う知らせだった。
それも事故死。
その日は風が強いのに、国道をチャリで走り、ダンプカーの後輪に風に煽られ巻き込まれたそうだ。
 後に知ったが、全身十数箇所骨折、眼底破裂、脳傷。
それほどの大怪我ながら即死ではなかった。
脳死判定で、延命はしないと皆で決めたらしい。
 事故死の後の葬儀ってのは中々ややこしい上に、私も学校の忌引と、学祭準備の書類だのを一時他の子に引き継いだり忙しかった。
葬儀の準備から何からで、何だかんだ3日ぐらいまともには寝れなかったのを覚えている。
 そんなこんなで、怒涛のような日々を過ごし、悲しいとか色々思うところはあれど、目下迫ってる学祭と中間テストにそれどころじゃなく、1ヶ月があっという間に過ぎた。
 学祭も終わり、少ししたら祖母の49日。
結構な人数の親戚が家に来ての法要だった。
 お坊さんが仏壇でお教を上げている。
私はぼんやりと喪服を着た親戚の背中を見ながら、かけられている祖母の遺影を見た時、ふと、数ヶ月前の祖母の言葉を思い出した。
 ある朝、祖母が朝食の席で変な夢を見たと言う。

「 親戚が沢山家に来るの。
目の前には〇〇さんと〇〇さん夫婦がいらしたのよ。
なんなのかしらねえ・・・・・。」

 すぐに配列を確認した。
祖母の言葉通りに、その親戚が座っている。
丁度、祖母の遺影から見下ろす位置だった。
 その時私は、祖母は自分の49日の様子を夢で見ていたんだな、と理解した。
虫の知らせはとうの昔に、本人に通知されていたようだ。









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日々の恐怖 9月11日 幽霊いるよ(2)

2020-09-11 15:58:55 | B,日々の恐怖



 日々の恐怖 9月11日 幽霊いるよ(2)




 仕事が終わり夜8時過ぎ帰宅。
オレの家は5階建ての3階が自宅。
各家の玄関前には外灯が有り、オレの家の真下2階で外灯ついていた。
 その家は、母と娘2人暮らし。
オレは以前、ベランダ掃除で洗剤使ったら非常階段の腐食ヶ所から洗剤水流れて、2階の婆さんの花を枯らしてトラブルになった事がある。
まぁ、苦手な人だ。
 外灯ついてるから、いつ鉢合わせするかわからないので、早歩きで急いで行こうとした。
視線感じ上を見ると、婆さんの姿が見えた。

“ もう諦めて、挨拶してさっと帰ろう・・・・。”

と思い、階段上がって2階行くと、婆さんがいない。
外灯はついたまま。
きっと、オレの姿見て中に戻ったのかと思った。

“ まぁ、いいや・・・・。”

と自宅に帰り一息つくと、すぐに母が帰宅。
 母が、

「 2階の婆さん死んだ様だわ。
訃報玄関ドアに掛かってたよ。」

と言った。
 オレは母に、

「 今さっき、婆さん玄関先で外見てたはず。」

と言った。
 母いわく、婆さんは花枯らした時オレに文句言ったが、娘さんが帰宅後かなり怒られたらしい。
娘さんがオレの母に謝罪しに来てたらしい。

「 もしかしたら、お前に気つかって見に来たのかも・・・。」

と言った。
婆さんを見てるよ、絶対。
話長くてすまん。







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日々の恐怖 9月9日 幽霊いるよ(1)

2020-09-09 18:24:39 | B,日々の恐怖




 日々の恐怖 9月9日 幽霊いるよ(1)




 友達四人でがっつり見た。
男がうつむいた姿で透けてて、不思議と怖い気持ちにもならず、四人で囲むように見てたら、一人が調子に乗って、

「 何これ、触れない・・・?」

とか言って指で突いていたヤツが、次の日に機械でその指飛ばしたから、

“ やめときゃ良かったのに・・・・。”

と思った。
 あれが幽霊なんかもしれんし、はたまた四人共に幻覚見て、たまたまいらんことした一人が労災起こしただけなのか?
 まぁ、自分は何もないから、一応どうでもいい。
ただ、指飛ばした友達は完全にびびってしまい、それが可哀想ではある。
 あと、そいつはたまに夜中にピンポン鳴らされるようになり、カメラ取り付けたら、ピンポン鳴らされたときに誰もいないから、本当にやばいのかもしれんし、毎回ただの誤作動なんかもしれん。
 本当の本当な気持ちは、可哀想とは思うけど、他にもちょいちょい変なことが起こっているみたいだし、

“ 何なんやろ、これ・・・・?”

って、ちょっとだけわくわくしてる 。







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日々の恐怖 9月6日 識別 (5)

2020-09-06 18:53:41 | B,日々の恐怖




 日々の恐怖 9月6日 識別 (5)




 余命マイナスの者が極端に多いお陰で、余命平均値が大きく下がってしまったのだろう、と冷静さを保とうとする努力はしたが、もう全身嫌な汗が出っぱなしだった。
 その後チームで話し合いを重ねたが、嫌な結論にしかたどり着かなかった。
即ち、余命推測等というのは誤差が大きすぎてアテにならない。
あるいは、私達の周りに、余命マイナスの者が平然と闊歩している。
 当然採用したのは前者の結論。
上層部には、顔認識を利用した健康状態の調査をしていた事にして適当な報告書を書き、このプロジェクトは闇に葬り去られることとなった。
 私達は毎日何百もの人々とすれ違い、目線を交わしている。
その中に、

” 余命マイナスの顔は無い。”

と、どうやって言い切ることができようか。
 そして、余命0年宣告を出されたAは、一年経たずに本当に死んでしまった。
Aは、通勤ラッシュ時にホームから大ジャンプを決めた。
なぜコンピュータにそれが予測できたのか、まったくわからない。
コンピュータが知り得た情報は、サンプルと対象者の顔だけである。
しかし、事実としてAは宣告通りに死んでしまった。
 死相という言葉がある。
人がもうすぐ死にそうだ、というのが何となく分かってしまう能力者がいる。
非科学的なことは信じたくないのだが、この事件以来、俺は防犯カメラと人混みが怖くてたまらなくなってしまった。
よほどの生命の危機や必要に追われない限り、病院にも近寄らないようにしている。









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日々の恐怖 9月4日 識別 (4)

2020-09-04 15:18:41 | B,日々の恐怖



 日々の恐怖 9月4日 識別 (4)




 統計処理を施すと、興味深い事実が浮かび上がってきた。
撮影場所によって、その推定値に大きなバラつきが見られたのだ。
 読み込ませた映像の中でも、例えば小学校で撮影されたカメラの余命推測平均は106だった。
これは、全ログの平均値46に比べて遥かに大きい数値である。
 逆にそれを最初に下回ったのはサービスエリアで撮影された映像で、その平均値は38だった。
車に乗っている奴は早く死ぬ、とでも言いたいのだろうか。
 以下平均値はどんどんと減少していき、余命平均ワースト2位は県内のある老人ホーム。
平均値は15。
最下位は、お察しの通り、病院だった。
なんと平均値4!
 いやちょっと待て、病院とはいえ、いくらなんでも余命平均値4年というのはおかしい。
部活で怪我をして運ばれてきたような、まだまだ先の長い子供だって大勢いるはずだ。
何かエラーが発生したのかもしれない、と生ログを参照した。
そして思わず声を上げてしまった。
 ”ID:1234 VALUE:34(←この場合推定余命を示す)”といった書式でズラーっと書いてあるんだが、34とか50みたいな普通の数に混じって、幾つも存在してはならない数が記載されていたのだ。
 負の数である。
念のため他の場所のログもザッと確認してみると、マイナス付きの物は何処でも2、3個は発見されたが、病院のログほどではなかった。
文字通りに解釈するのであれば、余命マイナス3年というのは、死んでから3年経過ということになる。







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日々の恐怖 9月2日 識別 (3)

2020-09-02 11:32:06 | B,日々の恐怖




 日々の恐怖 9月2日 識別 (3)




 どうやらヤツは、相貌からその人の健康状態を推定し、というのではなく、いわば道端の占い師まがいの事をコンピュータにやらせるつもりらしい。
 死者をサンプルに使う事には少なからず抵抗があったが、その頃の俺達は好奇心旺盛な奴らばかりだったので、すぐに手を付け始めた。
毎日毎日チマチマと写真、没年-撮影日=余命を入力していき、数週間でサンプル数は2000に到達した。
 そして試験運用。
といっても、正解がわからないので、誤差計算もしようが無い。
 最初に試したのは俺だった。
システムを起動し、カメラの前に立つ。
 すぐに顔に照準が定まり、コンマ数秒の計算の後弾き出された答えは60だった。

” ふむ・・、男性の平均寿命が80代であることを考えると、いい線行ってるのでは・・?”

言い忘れていたが、俺達は皆20代前半で、リーダーだけ30代だ。
 次々と他のメンバーも試してみたが、やはりサンプルが少なかったのか答えはバラバラだった。
23、112、75、42、と結構無茶苦茶な答えばかりである。
一際強烈だったのがAで、なんと余命0年を宣告されてしまった。
 やはり、コンピュータに占い師の真似事をさせるなど、無理だったのかもしれない。
だが、手動で2000ものサンプルを打ち込んだだけに、このままお蔵入りとする訳にはいかない。
 一晩、ログ自動生成モードにして会社のサーバーに保存されている様々な場所のカメラ映像を擬似的に読み込ませた。
翌日、コンピュータはしっかりと何千もの認識ログを吐いていた。








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