大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

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日々の恐怖 6月16日 お守り

2016-06-16 20:05:15 | B,日々の恐怖



   日々の恐怖 6月16日 お守り



 小学校2年生くらいのときから、妙な光の玉を度々見るようになった。
家族にその話をしても嘘つき呼ばわりされるので、今度その光の玉を見たときは、証人となる人を連れてきて、一緒に見ようと頑張った。
 あるの夕方、近所の神社の前で光の玉を見つけた。
自分は急いで家に帰り、母親を連れてやってきた。
 母親は、

「 何?これ?」

と、信じられない物をみるようにそっと手を伸ばしたが、急に、

「 帰ろう。」

と言って、自分の手を引いて家に帰った。
 夕食の時間、自分は光の玉の話を持ち出した。

「 お母さんも見てるんだから、嘘じゃないよ、ね。」

と母親の方を見たが、母親は無反応だった。
無反応と言うより、何か怒っているようにも見えた。
 兄貴が、

「 嘘だ、嘘つき。」

と冷やかしてくるので、

「 お母さんも見たじゃん。
ねぇ、見たでしょ?」

と母親に証言してもらおうとすると、

「 いいから早く食べなさい!」

と怒鳴られた。
 暫くたって、伯母さんが家に遊びに来て、自分にお守りをくれた。

「 ○○ちゃんが、事故や病気をしないようにってお守りだから、いつも持っているんだよ。」

と言って、首からさげてくれた。
それから、風呂に入ったり、プールに入ったりする以外は、いつもお守りを身につけた。
 ある日、家に帰ると、伯母さんが遊びに来ていた。

「 ○○ちゃん、お守りどうした?」

と聞かれて、初めて無くなっていることに気が付いた。

「 あれ?どこかに落としちゃったのかな?
探してくるよ、多分学校かな?」

と出かけようとすると、伯母さんは、

「 あぁ、いいよ、いいんだよ。」

と出かけるのを止めた。

「 また持って来てくれるの?」

と聞くと、

「 もういいよ、役目が終わったんだからね。」

と、無くしたことは怒られなかった。
母親も怒っているかと思ったが、何も言わなかった。
 その後、妙な光の玉を見る事は極力少なくなったが、光の玉の話をすると、伯母さんがやって来てお守りを渡された。
中学生くらいの頃から、妙な光の玉を見ることは無くなった。
そして、伯母さんからお守りを渡されることも無くなった。
 母親が何を見たのかは、今でも分からない。
高校時代に一度聞いたことがあるけれど、

「 そんなこと、あったかねぇ。」

と忘れた風を装っている。
母親は四姉妹の一番末っ子で、母親の実家に住んでいる長女が、近くのお寺からもらって来たお守りを三女の家に郵送で送り、ソレを三女の伯母さんが自分に持って来てくれるのです。
 子供心に、なぜ長女の伯母さんが直接家に郵送しないのかが不思議でした。
米やら野菜やら色々送ってきてくれるから、住所を知らなかった訳でもない。
 夏休みに長女の伯母さんの家に遊びに行った時に、聞いた事もありましたが、ただ笑って、質問の答えは返って来ることはありませんでした。
それに、そばにいる他の伯母さんたちが、話を逸らすふうにも思えました。
なんとなく聞いてはいけないことなんだと子供心に思いました。










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