大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

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大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

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A,日々の出来事

☆( 1年間366日分の日々の出来事  )

B,日々の恐怖

☆( 日々の恐怖 )

C,奇妙小説

☆(  しづめばこ P574 )                          

日々の恐怖 9月13日 40男の夏(2)

2024-09-13 11:25:14 | B,日々の恐怖





 日々の恐怖 9月13日 40男の夏(2)





 そして月日は流れ、俺がまだ鼻たれ坊主で、ファミコンが出るちょっと前の夏休みのことだった。
当事小4だった俺は、友達3人と一緒に朝から山へクワガタを取りに行った。
その辺りの山は一族(と言っても、親父を含めその兄弟)で所有している山だ。
だから普段からよく遊んでいた。
迷った事は一度もなく、その日も奥へ奥へと進んで行った。
 最初のうちは四人仲良く虫を捕っていたが、やはり虫の大きさで争いが起こり、

「 自分だけででっかいの捕ってやる!」

となり、それぞれがバラバラに虫捕りを始めた。
木を蹴飛ばしたり、登ってみたり、根元を掘り返してみたり、夢中になって虫を探していた。
 太陽も真上になり、お腹も減ったしそろそろ一度戻ろうかと辺りを見回すが、自分が何処にいるのか分からない。
まあ、小さい山だし、下って行けばそのうち知ってる場所に出るだろうと、斜面を下って行った。
 が、日が傾きかけても一向に下山できず、歩き疲れるわ腹は減るわで、歩くのを止めその場で泣き出した。
すると、突然目の前に男の子が現れた。
 本当に突然、パッと現れた。
それに驚きながらも、人が居たことに安心した。
見た感じも自分よりも少し大きいくらい。

「 なんだ、迷子になったのか・・・。」

短くそう言うと、その男の子は俺の手を引いて歩き出した。
手を引かれながらお互い自己紹介をし、話をしながら少し歩くと見覚えのある道に出た。

「 ここまで来れば分かるな?」

その言葉に頷き、ありがとうと言うと、

「 ○○(祖母の名前)によろしく。」

と、男の子はまた山に戻って行った。

” 何でまた山に・・・?”

と不思議に思いつつ、暗くなっていく中で家に帰った。
 家に帰り、実家の隣に住んでた祖母に今日あったことを話した。
すると、最初に書いた内容を俺に話してくれた。
そして次の日、祖母に連れられ墓参りに行った。









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日々の恐怖 9月1日 40男の夏(1)

2024-09-01 16:58:53 | B,日々の恐怖




 日々の恐怖 9月1日 40男の夏(1)




 40男の夏は妙に熱い。
もう100年は前のことだ。
父方の祖母には2歳離れた兄(俺の大伯父)がいた。
その大伯父が山一つ越えた集落にいる親戚の家に、両親に頼まれ届け物をしに行った。
山一つと言っても、子供の脚で朝一に出発すれば夜には帰って来られる位くらいの距離だ。
歩き馴れた山道で、大伯父はいつも朝一に出て、夕方ちょっと過ぎには帰って来ていた。
 しかしその日は、夜を過ぎても大伯父は戻らなかった。
向こうの親戚の家に厄介になっているのだろうと、両親はあまり心配もしていなかったが、
2日経ち3日経ったところで、そろそろ畑仕事も手伝ってもらいたいからと、親戚の家に大伯父を迎えに行った。
 が、大伯父は親戚の家に居なかった。
居ないどころか、来てもいなかった。
慌てた両親は、自分の村と親戚の集落の人に頼んで、両方から山狩りをした。
しかし、大伯父は発見されず、行方不明として処理をされた。
祖母10歳、大伯父12歳の夏だった。







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日々の恐怖 8月20日 監視カメラ

2024-08-20 15:36:06 | B,日々の恐怖





 日々の恐怖 8月20日 監視カメラ





 コンビニの店長さん(故)から聞いた話です。
最近のコンビニは死角を無くすために監視カメラだらけにしてるんだけど、
店長さんがいたコンビニも、通常より2台増設して万引きなどの犯罪対策に熱心だった。
(実際、深夜に発生した強盗未遂では犯人逮捕に繋がった)

「 時々カメラが止まるんだよね。」

店長さんは眉を八の字に傾けながら愚痴を漏らした。
カメラ自体や録画機器の故障で一斉に止まるのではなく、順番に止まるのだという。

「 どんな順番で?」
「 駐車場から自動ドア、本の棚がある窓際の通路からソフトドリンクのコーナー、
お菓子の棚、弁当のコーナー、自動ドア側とは反対のレジ、自動ドア、駐車場。」

つまり、誰かが入ってきて買い物をして帰る動線の順にカメラが止まるのだ。
 カメラの前を通りすぎると問題なく録画を再開するそうなのだが、
カメラには誰も映ってはいないんだとか。
時間は人の波が一旦収まる午後2時ぐらい。
曜日はまちまち。
 バイトやパートの店員さんは不気味がって、その時間帯には入りたがらない。
なので、2時から3時の1時間だけ店長さんが独りで作業する羽目に。

「 まさか昼間っから幽霊が出るとはねえ。」

買い物をしてるんだったら金を置いていってくれたらいいのにと、
その時の店長さんは冗談を交えるだけの余裕があった。
 後日、その店長さんが体調を崩して入院、店を辞めたことを同じコンビニで
働いてる店員さんから知らされた。
バイトリーダーやってる若い店員さんだけど、近い内に自分も理由をつけて辞
めるつもりだという。

「 なんで? そんなことしたらオーナーさんが可哀想だよ。」
「 店長からカメラの話聞いてます?」

うん、と頷くと彼は震えるような溜め息をつく。
そして退職を希望する理由をポツリと話してくれた。

「 何回修理しても、事務所内部を映してるカメラが止まったままなんですよ。」








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日々の恐怖 8月13日 ゆっくりと歩く女の人(2)

2024-08-13 16:25:28 | B,日々の恐怖





 日々の恐怖 8月13日 ゆっくりと歩く女の人(2)





 しばらくして、祖父母ともに相次いで死に、俺とオカンは介護から解放された。
正直、祖父母が死んだ時、俺はほっとした。
やっと死んでくれた。
もう夜中にトイレにつれていけと喚く人はいなくなったんだ。
その癖、わざと目のまでうんこもらして、お前のせいだと、さっさと処理しろと喚く人は消えたんだ、
と嬉しくて泣いてしまった。
 後ろめたさから、その後俺は祖父母のことについて話を一切しなかった。
オカンも同じような感じだったから、きっと同じように思っていたんだろう。
 俺は逃げるように実家から出て、一人暮らしをはじめた。
一周忌・三回忌・七回忌、すべて理由をつけて拒否した。
死んだことを喜ぶ人間が法事にでちゃいけない気がしたからだ。

 先日、祖父母の十三回忌が行われた。
嫁さんが一度くらい顔だしてあげなよ、というのではじめて法事に出席した。
その時初めてオカンと2人で祖父母について語り合った。
お互いつらかったね、でも頑張ったね、と、泣きながら語り合った。
そんな中、母が、

「 あまりにもつらすぎて、頭おかしくなって、夜、ベランダで洗濯物干してたら、
隣を女の人が通る幻覚までみてたわよ、私。
2階なのにね。
しかもしょっちゅう見えた、その人。
ホント頭おかしかったわ、あの頃は。」

と言った。
 ソレを聞いて、俺は当然驚いた。
俺もオカンに同じものを見ていたことを言うと、オカンも、

「 じゃあ、あれは幻覚じゃなかったの?」

と驚いた顔をしていた。
オカンも同じように、あの人が通っても何故か違和感なく、恐怖感もなく、
ただそれを見ていただけだったらしい。
不思議なことに2人とも、女の人だった、という事実は覚えていても服も髪型も覚えてない。
そして、毎回同じように隣の裏手に曲がっていく。
 未だにその人が何なのかわからない。
2人とも頭おかしくなってた可能性もゼロじゃないけど、一体何だったんだろう、アレ。
そんな異常な光景をみて恐怖を感じないのも、何故なのかもまったくわからん。
もしかしたら、今もその人同じところを毎晩のように歩き続けてるんだろうか?









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日々の恐怖 8月3日 ゆっくりと歩く女の人(1)

2024-08-03 12:30:18 | B,日々の恐怖





 日々の恐怖 8月3日 ゆっくりと歩く女の人(1)





 12年前の話です。
当時、俺はオカンと2人で父方の祖父母を介護していた。
 もともと祖父が事故で身体障害になり寝たきり、その後介護していた祖母が認知症になり、
長男である父が引きとったものの、本人は介護する気なし。
姉は既に結婚していて、弟はその話がでた直後に遠方の専門学校に入学を決めて逃亡。
仕方なく、母と当時大学生だった俺と2人で介護することになった。
 介護は想像以上にきつく、俺もオカンも交代で精神科に通いながらの介護で、夜は眠剤つかって寝ていた。
お互いギリギリのなか、俺も介護だけじゃなく家事も手伝うようになっていた。
 その日、夕方にうんこもらした祖母のパジャマとシーツを洗ったものを干すタイミングを失って、
夜10時過ぎに2階のベランダで干していた。
ふと気づくと、俺と同じ高さで、うちのベランダと隣の家の隙間を、ゆっくりと歩く女の人がいた。
2階と同じ高さで歩くなんて明らかにおかしいんだが、何故か恐怖感がわかず、

” ああ、俺本格的に頭おかしくなったんだなあ・・・。”

と思ってぼんやり見ていた。
 その人はそのままゆっくり横を通り過ぎて、隣の家の裏手のほうに曲がっていった。
彼女が消えてからも、

” 今のは幻覚か?幽霊か?
まあ、どっちでもかわらんか・・・。”

と妙に冷静に思って、洗濯物を全部干して、部屋に戻った。
 その後、夜、ベランダで洗濯物を干していると時々その女性が通るのを見た。
精神科の医者に伝えたところ、

「 時間も時間だから、半分寝てたんじゃないですか?」

と言われて、

「 そうですね。」

と答えた。








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日々の恐怖 7月29日 飲食店の紹介の仕事(4)

2024-07-29 16:32:51 | B,日々の恐怖





 日々の恐怖 7月29日 飲食店の紹介の仕事(4)





 無視して撮影続けて1時間くらい経った。
一発目の定食でシャッター押す前、モニターで店長と構図確認してたら、
フレームの左上からいきなり赤い何かがさっと入って引っ込んだ。
 一瞬だったけど、見えたのは真っ赤に爛れてる手だった。
ひどい火傷した状態の手。
ただ被写体と比較すると実物はかなり小さいし(3歳児くらいの大きさ)、
店長も一緒にモニター見てるんだけど何も言わないから、

” 見間違いかなぁ・・・・。”

と思って続けて、また30分くらい経った頃、いきなり店長が、

「 も~。」

って呆れたように呟いて上を向いた。
 で、厨房から戻ってくると小皿1枚。

” もしかして料理長が漬物間違えたかな?”

撮り直し勘弁、と思ったら塩盛ってる。
それ奥にちょこんと置いて、

「 すいません。」

と一言。
そんなことされても、苦笑いで、

「 いいですよ~。」

としか言いようがない。
でも、音はまだ聞こえていた。

「 あ~、う~。」

まあいいやと思いながら撮影終了した。
 で、撮影終わって撤収する時に店長が塩回収したんだけど、表面が緑黒い。
ほんの2、3時間くらいしか経っていない。

” 衛生的に大丈夫か、ここ?”

と思って、ああだからこれだけスペースあるのに冷凍庫しかないのか、と合点がいった。
 場所的には江戸時代は刑場だったとか、昔近場で火事があったとかいう話を聞いた。
その店だけじゃなく地下街全体、割といるという噂だった。
居心地よさそうだから、いついちゃったのかもしれないです。










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日々の恐怖 7月21日 飲食店の紹介の仕事(3)

2024-07-21 12:30:50 | B,日々の恐怖





 日々の恐怖 7月21日 飲食店の紹介の仕事(3)





 とある地下街の和食店。
ここも長く続く繁盛してる店だ。
撮影メニューが多く、個室もない店舗で人の出入りがアイドルタイムでもそこそこあるから、

” 何処で撮影すんのかな?”

と思ってたら、厨房から降りられる地下室があるってことで、そこでやることになった。
厨房に入口ってなんだそれと思いながら、人1人強通れるくらいの階段を降りていくと、
蛍光灯一本の薄暗い空間だ。

「 こんなのあるんですね?」

と聞くと、どういう経緯で出来たのか知らんが地下街がオープンする前からあって、
元々別の所有者が別の用途で使っていたものを、場所がちょうど上だからってんで
つなげてもらったとか。

” そんなことあるのか?”

と正直思った。
 場所で言うとB4くらいになって、インフラ設備との兼ね合いもあるだろうし。
壁もちゃんとしたコンクリートではなく、でこぼこで地下室っていうより地下壕。
和食店なのでワインセラーがあるわけでもなく、業務用の冷凍庫と使わなくなった
古い机や椅子が置いてある以外、何もない殺風景な穴蔵だった。
 ロケーション的にあまりよくないけど他に場所もないし、照明増やしてとりあえず撮影開始した。
店長が料理を下に運んで来てチェック、撮影、上に引くの流れ。
 始めて30分くらい経った頃かな、時々変な音がするのに気づく。
機械音にも聞こえるし、人が「あ~」とか「う~」とか言ってるようにも聞こえる。

” 冷凍庫?”

と思ったけど、発生源が違うし、トーンが途中で変わるのでたぶん違う。
奥の何もないところから微かに聞こえてくる。

” まあいいや。”

とスルーしてパシャパシャ撮ってたら、突然耳元で、

「 あつい。」

って低い男の声がした。
正確には、

「 ヴァツォイ(ぼそっ)。」

みたいな感じ。
なんだなんだと周り見ても、店長と自分以外いない(この時は助手くんいなかった)。
で再開すると、またあ~う~聞こえてくる。









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日々の恐怖 7月13日 飲食店の紹介の仕事(2)

2024-07-13 09:40:20 | B,日々の恐怖





 日々の恐怖 7月13日 飲食店の紹介の仕事(2)





 その部屋だけリニューアルしてなくて、クロスも古いまんまだった。

” なんでだろ?”

と思って聞くと、普段は使わない部屋になっているとのことだった。
 理由は、そこで頻繁に出るかららしく、どうしてもという時以外は封印しているのだとか。
まあ実際、開けて中見た瞬間に嫌な雰囲気のする部屋ではあった。
空気がさらに重い。
店やってて開かずの個室なんかもったいないな、と思いながら撮影は終了した。
 帰り際、

” 何も起こんなかったな~。”

と思いながら階段を降りようとした時、後ろからついてきてる助手くんが、
荷物をひっぱりながら何もない空間に頭下げて、

「 ちわっす!」

とか言ってる。
店を出た後に、

「 従業員の女の人に挨拶したけど無視されましたわ~。」

とか言ってる。
どんな人か聞いてみると、

「 白い和服の女の人ですね~。」

なんて言ってるから、女性従業員はみんなチャイナ着てるだろ、と突っ込むのはやめて、

「 今度また撮影があったら、気づいてもらえるようにもっと大きな声で挨拶しろよ!」

と言っておいた。
助手くんは一連の話は知らないので、

” ああいたんだなぁ~。”

と思った。
 余談で、元店長から聞いた話。
店には結構広い地下室があり、そこを倉庫にしているんだが、地下室へ向かう階段の途中、
真ん中くらいの脇に何故かぽつりと窓が1つある。
もちろん開けても何もない。
何もないというか何かで塗り込めたような壁が出てくる。
ただ壁は薄く、向こうにどうやら部屋があるらしいが、もちろん入口はないし、図面にもない。
戦前は病院だったとか言う話で、それの名残かな?と店長は言っていた。
 こういう店をあと2、3店知ってるが、不思議なのは割とガチでお化け出るのに何処も繁盛している。
繁盛しているところには霊も寄ってくるのかもしれない。










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日々の恐怖 7月8日 飲食店の紹介の仕事(1)

2024-07-08 12:23:26 | B,日々の恐怖





 日々の恐怖 7月8日 飲食店の紹介の仕事(1)





 飲食店の紹介の仕事で、料理の写真や飲食店の室内を撮影をしている。
場所バレすると不味いんで、フェイク入れながら話すけど、そこは割と歴史ある大型中華料理店で、
5階建のビル全てがその店になっている。
特にそこの3階に出るという噂があって、仲の良い店長や関係者から色々話を聞いた。
 聞いた話を要約すると、

3階の一室だけ突然停電。
停電後に、光った白い和服の女性が部屋に入ってきて消える。
深夜誰もいない3階から1階の事務所に内線が入る。出たら、水が滴る音だけがする。
部屋の下見の際にお客さまが見てしまう。(たいてい白い和服の女性)
宴会予約の客が、屋上に首のない人間がいっぱい立ってるから入れないと言って入店拒否。
飾ってあった絵に描かれた女性が店内を歩いていた。(複数人目撃)

などだった。

「 お祓いしないの?」

と聞いてみると、一応はしてそれからはまだマシになったらしい。

 仕事は、3階の部屋を全面リニューアルしたから撮影して欲しいというのものだ。
仕事柄、ごくたまに変なものが撮れてしまうことがあるが、今日ももしかしたら写るかもな、
と思いながら助手を連れて店へ行った。
 中休みの時間だったので客は誰もいない。
で、3階に行くと、そこだけ空気が膜を張ったみたいに湿っていて重い気がした。
 試しに4階に上ってみると普通。
厨房はというと5階。
空調回ってんのかなと見ると、回ってる。

” こりゃ本物かなぁ・・・・・。”

と思いながら仕事開始した。
 リニューアルした部屋を順番におさえて行く。
ぱっと見だけだと変なものも写っていないので安心した。
 それで、最後に一番奥の部屋に行こうとすると、

「 あ、そこはいいですよ。」

と言われた。












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日々の恐怖 6月30日 コンビニ(6)

2024-06-30 12:34:38 | B,日々の恐怖





 日々の恐怖 6月30日 コンビニ(6)





 そこまで話して作業に入った俺は、

” どうやら、あいつ、生きているみたいだし・・・。
それにしても、呪い殺す話は、どうなったのかな?
ま、違う方向からのバチはあたったみたいな気もするけど・・・。”

と思いつつ、客も退けた深夜に件の出来事をオーナーに作業をしながら聞いてみた。

「 いや実は、大体5時過ぎに来るおばさんがいて・・・・。」

そこまで言うとオーナーの顔つきが変わった。

「 何!?あのおばはんまだ来とんか!?この店!!」
「 いや・・・、え?知ってんすか?」
「 何時頃や!来んの!?」
「 5時、過ぎぐらいっす」
「 もうすぐやん・・・・。」

オーナーはおもむろに豚まん二つを袋に取りだすと、

「 後捨てといて!!
食いたかったら食ったらええし!!」

そういうと、雑誌コーナーの写真週刊誌と共にバックに大急ぎで消えて行った。
 仕方無く一人で淡々と作業をこなしていると、

” ピポピポ~ン。”

来客を知らせるチャイムが店内になり響く。

「 いらっしゃい、ま・・・・。」

あのおばさんだ。
 いつものようにカゴに水風船を詰めている。
しばらくしてレジに来た。

「 合計で○○円になります。」

しかし、代金が出て来ないので顔を上げた。

「 っ・・・!!」

俺は言葉を失った。
何故か顔が泥だらけで、おばさんはニヤニヤ笑っている。
おもむろにおばさんは、レジ横に置いてある割り箸を掴むとマイクのように持ち、

「 ややご~、悲しいややご~、仕事をしておくれ~♪」

と、自作っぽい気味の悪い歌を歌い出した。
ボ~然と立ちつくす俺の目の前で割り箸を置き、ニタニタ笑ってこう言った。

「 兄弟がいっぱいいるからねぇ。
気ぃつけんとな。」

 相方は頭も良かったし、人当たりもいい。
おもしろいし遊びも知っている。
ルックスも良いし、仕事の要領も良い。
その反面どこか人を見下したような感覚があり、特に女に対してはそうだった。
その報いを受けたのかどうかはわからない。
その後、相方はどうなったのかは知らないし、一切連絡は取って無い。
オーナーに聞いても、

「 気にするな。」

の一点張りで何も教えてくれない。
いまだにそのおばさんは、うちの店に来ては相変わらず、

「 子供がねいっぱいいるんよ。
機嫌のええ時はいいんやけどね。」

と、訳のわからない事を呟いている。

おばさんの言う呪いで相方に天罰が下ったのかどうかは知らないが、
最近何故か、やたらと大量のライターまで買うようになった。








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日々の恐怖 6月20日 コンビニ(5)

2024-06-20 15:49:25 | B,日々の恐怖





 日々の恐怖 6月20日 コンビニ(5)





 俺は相方に質問した。

「 で、どうなったの?」
「 おばはんと一緒にトンネル往復して・・・。
なんか途中でお菓子バラまいてましたね。
頭おかしいっすよ。」
「 それからなんとも無いの?」
「 全然。
俺小さい頃はそういうの見えてた気ぃするんすけど。
あのおばはんは、多分偽物っすよ。」
「 あのおばさんがよく言う兄弟って、その幽霊のことなんかな?」
「 さぁ・・・・。
中華まんもう捨てます?
どうせ売れないでしょ?」
「 食っていいよ、10時間以上経ってると思うけど。」

だそうで、俺が、

「 それ、やばいんじゃないか・・・・?」

と相方に聞いてもヘラヘラ笑ってるだけ。
本人が何とも無いと言うのだし、多分そのおばさんも怖がらせるつもりでやったんだろうと思っていた。

 それから数日経って、その相方とのシフトの曜日になったが、時間になっても相方が来ない。
いつもは一時間前ぐらいに来て、店内の雑誌をバックに持ち込んで読んでいる奴だったんだが、
その日に限って5分前になっても来ない。
 俺が、

” おかしいなァ~?
なんで来ないんだ?
ひょっとして、あいつ、呪い殺されたとか・・・・。”

と思いつつ、電話しようかと思った矢先、オーナーがひょっこり顔を出した。

” 丁度いい、聞いてみよう!”

俺はオーナーに聞いてみることにした。

「 あれ?オーナー、どうしたんですか?
えっと、○○は?」
「 あ~、あの子なぁ。
辞めた、というかクビにした。」
「 えっ!
店内不正ですか?」
「 いやなぁ・・・・。
なんか、あの子に孕ませられた女の子の親が怒鳴り込んで来てなぁ。」
「 あらぁ・・・。」
「 そうこうしてたら、二人組の若い姉ちゃんが入って来て。
その片割れが、
『 ここに○○言う奴おるやろ!?そいつ出せ!!この子赤ちゃん出来たんや!!』
と・・・。」
「 奇跡のバッティングですね・・。」
「 そしたらTちゃん(休日の昼間に入ってるバイトの女子高生)が泣き出してなぁ。
『 ○○君、私と付き合ってんのにぃ~!!!』
やとさ・・・。」
「 そうなんですか、あいつ。」
「 んで、とりあえずあいつ辞めたことにして客帰らせて・・・。
あいつに電話して、今日付けでクビ、と。」
「 大変ですね、オーナーも。」
「 何を他人事のように。
ワシ腰やってるから、レジしかやらへんで。」
「 ハァ!?ちょっ!!」










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日々の恐怖 6月13日 コンビニ(4)

2024-06-13 21:05:36 | B,日々の恐怖





 日々の恐怖 6月13日 コンビニ(4)





 それから数日経ったある日、そのことを相方に聞いてみた。

「 え!?行ったのお前!?」
「 ハイ暇だったんで、バイクで。」

おでんの具を仕込んでる俺の斜め前で、相方はホット飲料を補充しながら普通にそう答えた。

「 よくやるね。
で、おばさんいたの?」
「 いませんでした。
帰ろうかと思って振り返ったらババア登場。」
「 怖っ!!」
「 さすがにビビリましたよ。」
「 で、どうなったの?」

コンニャクの水切りをしながら、俺は背中で相方の話を聞いていた。

「 よう来たね。
私はあんたが今日ここに来ることを分かっていた、なんちゃら、かんちゃら・・・。」
「 気味悪りぃな。
で、トンネルがなんちゃらっては・・・・?」
「 あぁ、それなんすけどね。
俺も初めて知ったんすけど、ホントにトンネルがあったんすわ。
多分、昔に使われてたかなんかじゃないですかね?」
「 どうしたの、それから?」

浮かんでくるコンニャクをつつきながら、興味津々に俺は聞いた。

「 おばはんが言うにはですね、そのトンネルは・・・。」

 以下、相方がおばさんから説明された事を掻い摘んで説明すると、そのトンネルはその昔、
配送のトラックが主に使っていたトンネルで、ある時人身事故が起こった。
で、後はお決まりのパターンで、それ以来幽霊が出るとの噂が立った。
 しかし、当時そのおばさんは、そのトンネルを通らないことにはかなり迂回して通学せねばならず、
どうしても使う必要があった為、霊感のあるという近所のお婆さんに親子で相談した。
すると、おばさんはお婆さんから、

「 あそこは霊の溜まり場になっている。
トンネルに一人で行って、入り口で頼みなさい。
今はあなた達の居場所だが、元は皆のもの。
私は通学に使うだけだから、騒ぐ事は無いし悪さもしない。」

と言われたそうだ。
 おばさんは、言われた通りにすることにした。
その旨を、お婆さんに伝えると、お婆さんはおばさんに向けてこう告げた。

「 霊達は、
このトンネルを通る時は声を出さないように、また、通る時は必ず一人で通るように。
もし、お前が声を出せばお前を呪い殺す、誰かと通れば傍にいるものを呪い殺す。
そう言っている。」

おばさんはその言い付けを頑なに守っていたそうだが、ある日、貧乏をバカにする同級生の女の子に我慢が出来ずに、
トンネルのことを教え、連れて行ったそうな。
結果何も起きずに笑われて終わりだったそうだが、数日後にその子は病気になり、やがて亡くなったと。

そんなことがあって以来、そのおばさんは気に食わないことがあると、
そのトンネルに人を連れて行っては呪い殺して来たそうだ。










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日々の恐怖 6月9日 コンビニ(3)

2024-06-09 09:16:31 | B,日々の恐怖




 日々の恐怖 6月9日 コンビニ(3)




そんな事を考えてポカーンとしていると、相方がおばさんに向かって、

「 怖いことですか~?
良いですねぇ、僕好きですよそういう系統。
でも、おばさんが住んでる所の方が怖いですよ。」

そういって左の方向に指を指した。

「 おばさんの家、○○でしょ?」

○○というのは、いわゆる店の近辺にある大きな施設の事で、
日曜の昼間は、決まって付き添いの人と一緒に老人がお買いものに来る。

「 おい、お前な・・・・・。」

さすがに焦った俺が相方を咎めようとすると、おばさんが、

「 あんたトンネル連れて行く。」

急にそう言いだした。
 それに対して相方は、

「 ハァ?トンネルっすか?心霊スポット??
 まぁ、いいっすわ。
 ○○に電話入れるから。
 おばちゃん、そこおっちんしとき。」

と言って、電話の子機に向かって歩きはじめると、おばさんは財布から二つ折の紙をレジに置いて出ていってしまった。

「 お前なぁ・・・・。
これ、おばさんなんか置いていったぞ。」
「 お、ラブレターっすか?
ついに熟女キラーの境地に辿り着いた俺を褒めて下さいよ。」

相方は相変わらず軽口を叩きながらその紙を開いた。
横から覗きこむと、ミミズが這ったような線で地図らしきものが書いてあった。









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日々の恐怖 6月2日 コンビニ(2)

2024-06-02 10:09:23 | B,日々の恐怖





 日々の恐怖 6月2日 コンビニ(2)





 バックから相方が出て来て、俺のレジ補助につく形で、おばさんのお買い上げ商品を袋詰めをし出した。
突然、おばさんが相方に話し掛けた。

「 あんた初めて見るねぇ。」
「 あ、○○と言います。
いつも一応店の中にはいるんですょ~。」

相方はかなり明るい奴なので、いつもの調子で、悪く言えば馴れ馴れしい口調で話し出した。
 俺が、

「 ○○円になります。」

と言うと、おばさんは財布から1万円札を取り出してレジに置き、相方を見てこう言った。

「 あんた、怖いもん見た事ないやろぅ。」

突然のおばさん強い口調に、俺も相方もギョッとした。
相方が、怪訝そうに、

「 ハイ・・・?」

と答えると、

「 いっぱい、いっぱい悲しい。
あんたあかんよ。」

店員二人沈黙。

「 うちが喋り出したら皆そんな顔しよる。
うちが日本語使えへん思てるんちゃうか?」

相方が俺の方を見て、人差し指をコメカミ辺りに当ててグリグリやり出した。

” このおばはん、やっぱ頭おかしいっすよっ!”

そういうジェスチャーだった。
 俺は同意する事も咎める事も出来ず、おばさんに目線を移した。
おばさんは続ける。

「 あんた、怖い思いしなあかん。
気ぃつけた方がええよ。
いっぱい兄弟おるから。」

また兄弟の話しだ。

” 兄弟ってのは一体なんなんだろう。
自分の親戚の事か子供の事か、はたまたヤクザの親分の嫁さんだったりするのだろうか?”













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日々の恐怖 5月30日 コンビニ(1)

2024-05-30 17:21:48 | B,日々の恐怖





 日々の恐怖 5月30日 コンビニ(1)





 うちのコンビニに、週3回毎朝5時過ぎにやってくる初老のおばさんがいる。
週3回全て俺が入ってる日、決まって俺が店内で一人で作業してる時に来る。
雨の日でもズブ濡れになりながら来る。
 毎回水鉄砲、水風船、関連性の無い漫画やレディコミ、お菓子をカゴ一杯に詰めてレジにやってきては、

「 子供がね、いっぱいいるんよ、いっぱい。」
「 ○○言います私。」
「 機嫌のええ時はいいんやけどね。
また、かんしゃく起こすさけね。」

などと、聞いてもいないのに訳の分からない事を一人で喋っている。

” あぁ・・・、若年層の認知症かなぁ・・・。”

自分の子供が小さい時の事で時間が止まってるんだろう。
そんな事を考えて適当に接客していた。

「 ○○円になります。」

と言うと、ピタっと話しを止めてキチンと代金は支払うし、店にとって害は無い。
 なぜかそのおばさんが来店する前後には、他の客が来店しない。
おばさんが帰ると日が昇り始める。
不思議はあったが、所詮偶然だろうと思っていた。
 その事を相方に話すと、

「 今度その人が来たら呼び出しボタン押して下さいよ。」

と言うので、ある日、そのおばさんが来た時に、レジに付いている呼び出しボタンを押した。










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