日々の恐怖 6月8日 怪異(4)
中学生になると試験もあるから1人で勉強するスペースが必要だろう、というはからいで俺に1人部屋が与えられた。
相変わらずちょくちょく得体のしれない体験はしたが、実害はないので気にもならなかったし、嫌な感じはなかったので普通に生活を送っていた。
俺一人であんなの見た、こんなの見たというと気のせいだったり、思春期にありがちな妄想的な線も否めないが、家族全員が家で起こる怪異を肌で感じるレベルだった。
階段付近の電球が新品にも関わらず点滅しはじめる。
そうすると、上からズッズッと誰もいない部屋から足音がする。
修学旅行で空けているはずの俺の部屋で、明らかに人の気配がしていたこともあったそうだ。
もちろん、家族それぞれ自分の部屋にいて、誰も俺の部屋には入ってない。
泥棒とかだと困るので部屋を開けて確かめたようだが、部屋に異常はないとのことだった。
父親から聞いた話だが、コタツで眠り込んでしまった父が、真夜中に頬を撫でられて目を覚ました。
すると、見覚えのない女性が、コタツの上に寝そべるよう形で父親の顔を触っていたらしい。
目が合うと、そのまま下の方へ(この場合父親の足元の方と言うべきか)するすると消えたと言っていた。
母親から聞いた話は、深夜、俺の部屋で母親が書き物をしていたら、開いたドアの死角からシーツのような白い布をばさりと叩くのが見えた。
ちょうど洗濯物を干す時みたいに両腕で振るようなイメージだそうだ。
てっきり家族がイタズラをしたのだと思い死角に行くが、人はおろか白い布さえも無かった。
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