大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

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大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

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A,日々の出来事

☆( 1年間366日分の日々の出来事  )

B,日々の恐怖

☆( 日々の恐怖 )

C,奇妙小説

☆(  しづめばこ P574 )                          

霧の狐道78

2008-06-30 19:04:16 | E,霧の狐道
 俺は、チラッと後ろを見た。
原爆頭は右手に運搬車の荷台に積んであったトウモロコシを持っていた。

“ うおっ、ヤバイぞ!”

俺は、さらに必死で立ち漕ぎでペダルを漕ぐ。

「 ぐおおおお~、坂がきつい!!!」

原爆頭がゼイゼイ言いながら、ジワジワ接近して来た。
俺は必死でペダルを漕ぐ。

“ ううううう!”

そして、後ろで声が聞こえた。

「 くらえっ!!」

トウモロコシが飛んで来て俺をかすめた。

「 うわっ!」

 俺に当たらなかったトウモロコシは、俺の自転車の前まで飛んで行って地面に転がる。
そして、そのトウモロコシは坂を下って、こっちに転がって来る。

「 おっと!」

俺は転がったトウモロコシを辛うじて避けた。
後ろで、さらに声がする。

「 くらえっ!!
 くらえっ!!
 くらえっ!!
 くらえっ!!
 くらえっ!!」

 トウモロコシたちが、後ろからドンドン飛んで来て前に転がる。
そのうちの一つが俺の後頭部に当たった。

「 いでっ!!」

俺の頭に当たったトウモロコシは、回転しながら前カゴにスポンと入った。
原爆頭が、叫んだ。

「 やった、やった、当たったぞぉ~!!」




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霧の狐道77

2008-06-28 18:35:23 | E,霧の狐道
 俺は商店街を抜けて、大通りに入る。
道幅が広くなり上り坂になった。
上り坂はさすがにキツイ。
それに向かい風だ。

「 ウググググゥ~~!!」

俺は自転車を漕ぐ足に疲れを感じた。

「 ぜぇ、ぜぇ、ぜぇ・・・・。」

 スピードが緩む。
後ろをチラッと見る。
ミニサイクルに乗ったカナトコ頭はヨロヨロと遥か後ろを走っている。
止まりそうなスピードだ。

“ あいつは、追い着くのは無理だな・・・。”

でも、運搬車の原爆頭が妙に早い。
もう、カナトコ頭のミニサイクルを追い越して、カナトコ頭の前を走っている。
 俺は、原爆頭の運搬車を見て驚いた。

“ ・・・・・!?”

自転車にモーターが付いている。

“ うわっ、変速機付きの電動ハイブリッド自転車!
 これは大変だ!!”

俺は前を向いて、必死で立ち漕ぎで自転車のペダルを踏む。

「 わっし、わっし、わっし!!」

でも、運搬車に乗った原爆頭が、猛烈なスピードで追い着いて来た。
後ろに、ゼイゼイ言う息が徐々に大きくなって来るのが感じられる。



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霧の狐道76

2008-06-26 19:04:26 | E,霧の狐道
 俺のアンパンマン自転車は、商店街の人通りを避けながら疾走する。
突然、大きな音が後ろで聞こえた。

“ ガッシャ~ン!”

振り返ると、金髪の原爆頭が通行人とぶつかって、ミニサイクルごと八百屋に突っ込んでいる。
散乱したリンゴやミカンが商店街をゴロゴロ転がっている。
 俺はチラチラと後ろの様子を窺った。
原爆頭と八百屋のオッチャンが掴み合いを始めた。
黒いカナトコ頭は、それを放っておいて追い駆けて来る。
俺は、前を向いて懸命に自転車を漕ぐ。

「 わっし、わっし、わっし!!」

後ろで、カナトコ頭の雄叫びが聞こえる。

「 にゃろぉぉぉぉぉ~!!」

 俺は、チラッと後ろを振り向いた。
口だけのカナトコ頭は、スピードも無くヨロヨロ走っている。

“ あいつの足では追い着けないだろな・・・。”

俺は少し安心した。
 でも、そのカナトコ頭の向こうに、原爆頭が八百屋のオッチャンを蹴っ飛ばして、今度は八百屋の運搬自転車に乗ろうとしているのが見える。

「 しぶといなぁ・・・・・。」




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霧の狐道75

2008-06-24 18:48:08 | E,霧の狐道
 俺はアンパンマン自転車にサッと跨って、急いで逃げ出した。
後ろから声が聞こえる。

「 こらぁ~!」
「 クソがき、待てぇ~!!」

ヤンキーのバタバタ走る足音と怒鳴り声が道路に響いている。

「 わおぉ~~~!!」

俺は、自転車の速度を上げた。
ヤンキーのバタバタ走る足音と怒鳴り声が遠ざかって行く。

“ ムフフフフフ、ヤンキーは走る体力無いからな・・・。”

俺は、余裕を持って振り返った。

“ ゲッ!!”

ヤンキー二人は道端に止めてあったミニサイクルを盗み、跨ろうとしている。

“ ヤバッ!!”

 俺は、道路を疾走する。
まだ、ヤンキーの叫び声が後ろに付いて来る。

「 アンパンマン自転車、待ちやがれぇ~~!!」
「 絶対、ころ~すっ!」

後ろを見ると、ヤンキー二人は驚異的な回転でミニサイクルのペダルを漕いでいる。

「 うわっ、侮れぬっ!!
 ぬおォ~~~~!!」

俺は、スピードを上げて道路を疾走する。



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霧の狐道74

2008-06-22 19:31:05 | E,霧の狐道
 ヤンキーの黒いカナトコ頭とお揚げババアが話をしている。

「 どうしたん、婆ちゃん?」
「 ホント、腹立つクソガキなんじゃ。」
「 何が?」
「 お揚げを取られたんじゃ!」
「 にゃにぃ~!!」
「 年には勝てないねぇ。
 馬鹿にしくさって!
 極道の爺さんが生きていたらタダでは済まないのに・・・。」
「 いつもだったら、ボランティアでオヤジが付いて来るから一喝でき
 るのにな。」
「 そうさ、あいつ、“ヤバイ買い出し”でカンボジアに出張だしさ。
 いつも肝心な時はいないんだから・・・。
 ホント、参ったよ。」
「 そんなことなら、オヤジが出るまでも無い。
 よし、ワシに任せろ。」
「 さすが、婆ちゃんの孫、元気だねぇ~。」

そこに、金髪の原爆頭も参加した。

「 ワシも、手伝わせていただきやす。」
「 お、あんたもやってくれるのかい。」
「 ヘイッ!」
「 そいつは、何処へ行った?」
「 えっと・・・・・。」

お揚げババアが顔を上げて、俺と眼が合った。

“ ヤバッ!”



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霧の狐道73

2008-06-20 19:09:48 | E,霧の狐道
 俺は、ババアの相手をするのを止めた。
アホらしくて、聞いてられない。
俺は、ババアを特売の台に放置して、さっさとレジに急いだ。
そして、お揚げ代を払ってレジを通過した。

“ う~、危ない所だった。
 とんでもないババアだ。
 ま、俺の頭脳勝ちってとこかな・・・。”

俺は、大急ぎでスーパーの出口の扉を出て、左に急に曲がった。

「 おっと!」

 俺は、ウンコ座りをしたヤンキーの兄ちゃん二人を蹴っ飛ばしそうになった。
片方は金髪の原爆頭、もう一方は黒いカナトコ頭、地面を灰皿代わりにしてタバコを吸っている。
二人の見るからにアホそうな顔と、やけに短い学生服が目に付く。
 俺は辛うじて斜めになって、そいつらをすり抜けた。
チラッと見ると、眉毛の無い眼から“ケッ、クソがき光線”をこっちに向けている。
俺は、見ていない振りをして自転車置き場に急いだ。
 自転車置き場の奥まで行き、お揚げを入れたスーパーの袋を自転車の前カゴに放り込んだ。
そして、柱と自転車を連結している鍵を外し、スーパーを出発だ。
俺は一刻も早く脇社に行かなければならないのだ。
 俺が、自転車置き場の奥から自転車を押して出て来て、道路に出ようとしたとき、話し声が聞こえてきた。
俺は聴いたような声だと思って、スーパーの入り口の扉の方を見た。

“ ゲッ、お揚げババアだ!”



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霧の狐道72

2008-06-18 19:59:53 | E,霧の狐道
 突然、オババは、顔を俯けて息をつめた。
次に、ゴホッ、ゴホッと咳き込んで、左手を口に当てた。
でも、右手はしっかりとお揚げの袋を掴んでる。
そして、俺を上目遣いに見てガンを飛ばした。

“ オババ、眼は生きているぞ!
 騙されるもんか!”

「 あっ!!」

俺は、突然声をあげて、右手で店の奥を指差した。

「 ん?」

オババは、とっさに店の奥を見た。

「 よっしゃぁ~!!」

俺は、オババの手が緩んだ隙に、お揚げを引っ手繰った。

「 あははは、オババ。
 お揚げは貰った!!!」

オババは、クソッと言う眼で俺を見て、お揚げの冷蔵ケースを蹴っ飛ばした。

“ ガンッ!”

オババの下駄に蹴られた冷蔵ケースが大きな音をたてる。
そして、オババは言った。

「 あんた、月夜の晩ばっかりと思っていると酷い眼に遭うちゅうのを
 知っておるか?」
「 うるさい、オババ!」
「 今晩、呪を掛けてやる。」
「 はぁ~~?」
「 夜中になったら、恐ろしいことが起こるよっ!」
「 何が起こるんだよっ!」
「 ふふふふふ、体中から、血が噴き出すんじゃ。」
「 鼻血だったら出たことあるけど・・・。」
「 そんな、生やさしいもんじゃないよ。」
「 じゃ、どんなんだよっ!」
「 体中に激痛が走って、そこらじゅうから出血するんじゃ。」
「 馬鹿か、オババ!」
「 それがイヤならお揚げを寄こすんじゃな!」
「 るせ~、ババア!」
「 死んでも知らんぞォ~。」
「 ばァろォ~!!」
「 そんなこと言ってられるのは、今のうちだけじゃ!」
「 るせ~!!」



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霧の狐道71

2008-06-16 19:19:38 | E,霧の狐道
 俺は、お揚げの袋を掴んで持ち上げた。
しかし、オババは俺が持ち上げたお揚げの袋を、俺が持っているにもかかわらず、右手で掴んで引っ手繰ろうとした。
俺はオババに言った。

「 何をするんですか!」
「 うるさい、クソガキ!」
「 えっ・・・?」

そして、オババは俺を睨み付けて厚かましくも言った。

「 わたしのお揚げをどうする気だい!」

俺は、オババの言葉に“ムカッ!”と来て強く言った。

「 違います!
 これは俺のです。
 俺が先に掴みました。」
「 何、言ってるんだ。」
「 俺が先に掴みましたよっ!」
「 何、言ってんだい、このクソガキは!
 あんた、頭、おかしいんじゃないの!
 わたしの方が先だよっ!」

お揚げの最後の一つを巡って、俺とオババの争奪戦が始まった。

「 これ、俺のです。」
「 何、言ってんだい。
 ホント、頭の悪そうなガキだこと!
 こりゃ、わたしの物だよ。」
「 これが無いと困るのです。」
「 うるさいねぇ~。
 わたしゃ、お揚げがいるんだよ。」
「 どうしても、いるんです。」
「 わたしゃ、これを買うためにわざわざ遠いところから来たんだよ。」
「 これが無いと立場がないんです。」
「 おまえの立場なんて、わしゃ知らんよ!
 わたしゃ、お揚げを食べないと、心臓の発作が起こって死んでしまうよ。」
「 元気そうに見えますけど・・・。」
「 わたしゃ、心臓が悪いんだ。
 もう先は長くないと言われているんだ。
 心臓には、お揚げが一番効くんだよ!」
「 いや、まだまだ、現役のように見えますが・・・・。」
「 うっ!」



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Photo Lounge64 サイコロ

2008-06-15 20:14:07 |      Photo群

Photo Lounge64 サイコロ 画像


  Photo Lounge64 サイコロ 

       「 錯覚かな・・・・。」          

   
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  Photo Lounge目次

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霧の狐道70

2008-06-14 17:00:31 | E,霧の狐道
 先程まで、特売の台の周りには誰もいなかったのに、いつの間にか忍者のように人が立っているのが眼の端に見える。
俺が顔を上げると、そこには赤地に金色の豹柄の作務衣を着ている怪しいオババが“お揚げ(本日、特売)”の表示を見ながら考え事をしていた。
下駄を履いて腕組みをしている。

“ う~ん・・・?”

サザエのような髪型だ。
所々尖がった角がツンツンしている。

“ 不気味・・・。”

俺は、オババを見ながら考えた。

“ いくつぐらいなんだろ・・・?”

顔は横顔しか見えない。

“ オバチャンか、婆さんかどっちかな・・・?”

年齢は若ければ40歳、見ようによっては70歳くらいにも見える。

“ このオババも、お揚げを買いに来たのかな・・・?”

俺がオババを見ていると、オババも俺を見た。

“ ん・・・。”

オババの顔を正面で見た瞬間、俺は思った。

“ もう、年齢なんてどうでもいい。
 このオババ、タダモノでは無いぞ。”

 妙に眼付きの鋭い人相の悪いオババだ。
こう言う手合いは、係わり合いになってはいけない。
それに、オババに気を取られている場合ではないのだ。
俺は、お揚げを確保しなければならないのだ。

“ オババに取られないうちに、確保!”

俺は、特売の台に身を乗り出して、急いでお揚げの袋に左手を伸ばした。

“ よし、確保!”




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霧の狐道69

2008-06-12 19:27:37 | E,霧の狐道
 スーパーは人で混んでいた。
買い物カゴを持ってウロついているオバチャンや、買い物カートを押して通路を行き来するオバチャンをすり抜けて、冷蔵ケースのある辺りに向けて突き進む。

“ 何処だ、何処だ・・・・。
 確か、冷蔵ケースの、この辺りだったような気がするが・・・。
 お揚げ・・・、お揚げ・・・・・。”

 俺は冷蔵ケースの辺りをウロウロした。
でも、冷蔵ケースの中にお揚げが無い。

“ おかしいな・・・?”

俺は、特売のお揚げが無いのがおかしいと思ってスーパーの店員に聞いてみた。

「 えっと、特売のお揚げは、何処?」
「 あ、特売品は、あっちの台です!」

店員の指差す方向に、通路に置いた台が見えた。

“ お、あれか!”

 俺は通路に張り出している特売の台に急いだ。
特売の台には、ダンボールの台紙に白い紙が張ってあって、大きく“お揚げ(本日、特売)”と表示がある。

「 よし、よし!」

俺は特売の台に近付いた。
そして、中を覗き込んだ。

“ あった!
 でも、あと一つか・・・。”

 特売の台に残っている、袋に入ったお揚げは一つだけだった。
特売品だから、お揚げは、最後の一つを残して売り切れていたのだ。
しかし、俺の分が一つあれば、それで充分だ。
俺が特売の台を覗いていると、台を挟んだ向こう側に人影がチラッと見えた。

“ あれっ、誰かいるな・・・?”



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霧の狐道68

2008-06-10 20:57:37 | E,霧の狐道
 アンパンマン自転車は、スーパーへの道を疾走する。
俺の足は、見えないくらいの高速回転でペダルを漕いだ。
疾風をあげて走って来る俺の自転車を見て、ネコが三匹、塀に張り付いて避けてくれた。

“ えらいこっちゃ!
 今日、お願いしておかないと、また、夜が来る。
 夜が来ると、みんな寝る。
 また、みんなにの夢に俺が登場するぞ。
 そして、また、ろくでもないことを仕出かすんだ。
 う~ん・・・・。
  あっ、待てよ。
 由紀ちゃんの風呂の件がある。
 夢より前に、由紀ちゃんの風呂に俺が乱入するかも知れないぞ・・・。
 こりゃ、大変だ!!
 何としてでも、今日中にお願いをしなければ・・・。
  それには、お揚げがいる。
 お揚げをキープしなければならないっ!!!”

 俺はますます自転車のスピードを上げた。
周りの風景が後ろに飛んで行く。
ママチャリのオバちゃんを三人追い越した。


 スーパーに到着した。
自転車置き場にズラッと自転車が並んでいる。
俺は自転車に乗ったまま隙間を探す。

“ おっ、ここがいい!”

 自転車置き場の奥の柱の横に隙間がある。
俺は、そこに自転車をスッターンと入れる。
そして、柱と自転車をチェーン鍵で連結する。
次は、スーパーの中に突入だ。



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霧の狐道67

2008-06-08 19:47:09 | E,霧の狐道
 俺は、曰く付きの自転車に跨ってスーパーに急いだ。
この自転車は俺の年では、チョット恥ずかしい。
 俺の自転車の前カゴには、アンパンマンの顔がある。
そして、そのアンパンマンの顔は笑っている。
でも、その笑っている顔はとても善良には見えないのだ。
なぜなら、そのアンパンマンの顔の右半分には塗料の剥がれた傷がある。
これは、前の持ち主が何処かでこけたからだろう。
 正面から見ると、何か悪巧みを思いついてニヤッとしたような笑いだ。
見ようによっては、バイキンマンよりかなり凶悪に見える。
でも、貰い物だから仕方が無い。
 かあちゃんは、貰えるものは何でも貰う。
自転車は、近所のオバサンから、かあちゃんが貰って来た。
要らなくなった理由は、子供が大きくなって自転車を買い換えたと言うことだった。
でも、周辺の子供の噂では、どうも、この自転車を買ってから、その家ではろくでもない事が起こると言う話だった。
 俺は、それを笑い飛ばした。

“ ばぁ~ろぉ~、禍を転じて福となす!
 ガハハハハハハ!!”

ホント、半年間、俺が乗っていても、特に支障は無い。
最も、ろくでもない事は、日常茶飯事だから、この自転車が原因かどうかは分からない。
 でも、不満が無いわけではない。
中途半端なサイズの自転車で、スピードがあまり出ないのだ。
とにかく、早くペダルを漕がなければならないのが面倒だ。


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霧の狐道66

2008-06-06 19:18:17 | E,霧の狐道
  4、お揚げ

 放課後、俺は急いで家に帰った。
目的は、冷蔵庫のお揚げだ。
俺は、家に入るなり、鞄を玄関に放り出して台所に急ぐ。
そして、冷蔵庫を開けて驚いた。

“ あれっ、あれっ、あれっ、ない!!
 何てこった!”

俺は、キョトンと俺を見ている、かあちゃんに言った。

「 お揚げは何処だぁ~。」

俺の慌てぶりを見ながら、暢気にもかあちゃんは言った。

「 残りの半分は、お昼にうどんに入れて食べてしまったわぁ。」
「 ゲゲッツ!!
 何てことをするんだ。」
「 いいじゃん、キツネうどん、おいしかったよ。」
「 あ、そうだ!
 かす汁に入れるから、スーパーで買って来るって言ってただろ。」
「 あ、忘れてた。
 かす汁は、明日ね。
 お揚げ、買って来てないわ。」
「 しまった・・・・・!」

 お揚げが無いと俺の計画は始まらない。
俺はかあちゃんに言った。

「 かあちゃん、お金、お金!
 スーパーに行って買って来る。
 今、無性にお揚げが食べたい。
 食べなければ、死んでしまう。」
「 何、大袈裟なこと言ってるんだい。
 まあ、いいよ、ほら、お金。」
「 ああ、助かった。
 スーパー、行って来る。」
「 慌てて怪我しないようにね。」
「 よっしゃ~!!」



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霧の狐道65

2008-06-04 19:11:26 | E,霧の狐道
 とにかく、急いで、あのキツネのイタズラを阻止しなければならないのだ。
そうすれば、先生やクラスの連中の夢に俺が登場することも無くなる。
由紀ちゃんが、俺が覗いたと疑っている風呂の件は、今回はアリバイがあったから良かったけれど、次にアリバイ無く起これば、もう、取り返しがつかなくなる。
ホントに、出来るだけ早い方がいい。
今日の放課後、俺は大急ぎで脇社に行くことにした。

“ よし、お稲荷さんの大ボスに決まりだ!”

俺は、“これはグッドアイデアだ”とニヤッと笑った。
そのとき、突然、隣の席の女の子が叫んだ。

「 先生、神谷君、笑ってます!」

それを聞いて、山下先生が言った。

「 また、神谷か。
 何を思い出してニヤニヤしているんだ。
 また、エッチなことを考えてたんだろ。」
「 違います。
 風呂なんか覗いていません!」
「 えっ、お前、風呂を覗いていたのか?」

由紀ちゃんが、前の方の席から振り返って、俺を睨み付けた。

「 ち、違います。」
「 俺は、風呂の話なんて一言も言ってないぞ。」
「 その、例え話・・・。
 そう、例え話ですよ、えへっ・・。」
「 何だか、よく分からないが、授業中ニヤニヤするのは止めろ!」
「 ハイハイ。」
「 ハイは、一回。」
「 はあ~い。」

 俺は、突然、話を振られて動揺してしまった。
振り返った由紀ちゃんの顔は、疑いに満ちていた。

“ マズイ、とても、マズイ・・・・。”

その日は、由紀ちゃんは俺を避けて一言も口をきいてくれなかった。



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