大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

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大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

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☆(  しづめばこ P574 )                          

霧の狐道268

2009-11-28 18:04:33 | E,霧の狐道
 俺はヤッパリ山本爺を触らないでおこうと思った。

“ 苦しいんだろな・・・・・。
 う~~~~ん、よし!”

俺は山本爺にお守りを貸してあげることに決めた。
盗って行ったとは思いたくない。

“ 貸してあげるけど、早めに返してネ!”

俺は盛り上がった布団に声を出さずに言った。
そして、山本爺の代わりに自分で自分に返事をする。

“ うん。”

もちろん、山本爺は微動だにしない。

“ まあ、これでいいか!”

 でも、お守りが無いとかなり不安だ。
俺はどうしたもんかと考えて良い考えを思い付いた。

“ そうだ!
 自宅に電話を掛けて、妹にお守りを持って来させよう!!
 おお、グッドアイデア!
 そうと決まったら、急がなきゃ!”







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霧の狐道267

2009-11-22 19:08:10 | E,霧の狐道
 俺は困った。

「 あっ!」

俺は思わず声を出して、その口を手で覆った。

“ 今の声、聞こえたかな・・・?”

俺は声を山本爺に聞かれたくなかった。
山本爺に動きは無い。

“ 山本爺が小物入れの前に立っていたんだ・・・・。”

俺は山本爺のベッドを見た。

“ 怪しい・・・・。”

山本爺は布団を被って動かない。

“ ・・・・・・・・・・。”

俺は山本爺を疑った。
あの感じは限り無くクロだ。

“ 絶対、そうだ・・・・。”

俺の疑惑は確信に変わった。

“ でも、なあ・・・・。”

確信に変わっても、山本爺を問い詰めることは躊躇われる。
それは、龍平の話を思い出したからだ。






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怪の記録

2009-11-17 23:04:47 | _4,怪の記録
小説“怪の記録”は読み易いようにbook形式になっています。
下記のリンクに入ってください。(FC2小説)

小説“怪の記録”




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霧の狐道266

2009-11-17 18:35:00 | E,霧の狐道
 山本爺は膨れた布団の中でジッとしている。
眼の端には入院手続きの書類が見える。

“ ま、いいか・・・・。
 取り敢えず、書類を書いてしまおう。”

 俺は“よっこらしょ!”っとベッドに座り直した。
そして、ボールペンを取るため引き出しを開けた。

“ あれっ、無い・・・。”

俺の引き出しから、由紀ちゃんのお守りが消えていた。

“ 確かに、ここに入れた筈なのに・・・。”

俺はベッドから降りて、小物入れの引き出しを大きく開け中を探した。

“ ガサガサガサ・・・。”

引き出しの奥から下に落ちたのかもしれないと、最下段の引き出しを引っこ抜いて奥を調べた。

“ ガタッ、ガサガサガサ!”

でも、探し物は見付からない。

“ 無い、無い・・・・・。
 ヤバイヤバイヤバイ!
 あれが無いと、あの女の子と楽しく遊ばなければならない!
 マズイ、これはとんでもなくマズイぞ!”






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霧の狐道265

2009-11-14 18:31:03 | E,霧の狐道
その姿は扉の陰に一瞬で消えた。
 車椅子はゴロゴロ進み、ナースステーションに到着した。
俺は井上さんから入院に関する書類を受け取り、軽く説明を受ける。

「 じゃ、これに必要事項を記入しておいてね!」
「 うん。」

相槌を打ち、受け取った書類を膝に乗せて、再び病室に出発だ。
井上さんに車椅子を押されて病室に戻る。
 病室に戻ると、山本爺はいつものようにベッドで布団を被っていた。
もう、果物を齧っている音は聞こえない。
布団も動かないので、起きているのか寝ているのかも分からない。
田中爺の方は、何処かに遊びに行ったようで姿は見えない。

「 よく書類を読んで書いてね!」
「 うん。」
「 じゃ、後で貰いに来るからね。」
「 うん。」

井上さんは、いそいそと出て行った。
でも、俺は山本爺が気になって生返事ばかりだ。
 俺には先程の山本爺の後姿が思い出される。

“ 俺の小物入れの前で何をしていたんだろ・・・?”




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霧の狐道264

2009-11-06 19:10:26 | E,霧の狐道

    お守り2



 今日も午前中、主治医の狸小路の診察を受けた。
俺は看護婦の井上さんに車椅子を押されてタヌキの所に行った。
鎖骨固定帯の調整と足の湿布が主な治療だ。
 治療をしながら、タヌキが言った。

「 昨日、夜に電話を掛けたんですけど、手術はダメだって言われました。
 でも、安心して下さい。
 必ず、説得して見せますよ。」
「 いや、説得も何も、手術はダメだって死んだお婆ちゃんの遺言で・・・。」
「 あれっ、お爺ちゃんじゃなかったのですか?」
「 いや、この前のは、母方のお爺ちゃんで、今度は父方のお婆ちゃんで
 すよ、ハハハ・・・。」

どうも、まだ、手術を諦めていないようだ。
机のスクリーンには、まだ俺のレントゲン写真がしぶとく貼ってあった。
 程なく治療が終わり、俺は井上さんに車椅子を押されて、4階の通路をナースステーションに向かって移動していた。
ナースステーションで入院当初の書類を貰うためだ。
途中、自分の病室の前を通過した。

「 あれっ・・・・。」

俺は、開いた扉越しに山本爺が俺のベッドの小物入れの前に立っているのを見た。

「 ん、何してんだろ・・・?」





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